保釈の原則と安倍政権 前編

保釈は、被告が社会生活を営みながら、裁判で十分な防御活動を行うためにあります。推定無罪の原則に基づくもので、刑事司法の適正さを保つうえで欠かせない措置なのです。

「保釈制度の趣旨を原則に」

「無罪を推定する」とのもと、逮捕・起訴されても、仕事や家庭生活を維持したまま裁判を受けられるようにするのが保釈制度の趣旨です。刑事訴訟法上、起訴後に請求があれば保釈するのが原則ですが、罪を認めないと「証拠隠滅を疑う相当な理由」があるとして退けられる例が多く、日本は「人質司法」と国際的にも批判を浴びています。
一審判決までに保釈された被告の割合を表す「保釈率」は70年代に50%を超えていましたが、徐々に減少。2003年には12.6%まで落ち込みました。
しかし、冤罪事件への反省や2004年に導入が決まり、2009年から開始された市民が加わる裁判員制度が転機となり、被告も弁護人と十分な準備をする必要があるとの認識が広まったことから、2018年の保釈率は33.3%まで上がるなど、改善の方向に進んできています。保釈制度の趣旨からするとこの流れを後戻りさせてはいけないのです。

「人権を侵害している人質司法」

ただ、実際に保釈されるのは罪を認めた人が大半なのです。2018年の最高裁の調査では、初公判の前に保釈された人は「自白した人」の24.6%に対し、「否認した人」は11.6%にとどまっています。
長期の身体拘束により行動の自由を奪うことで、警察・検察側に有利な供述を得ることが目的です。黙秘や否認する被告に対しては、警察・検察の言うがままを認めている裁判所、この「人質司法」が現在も頻繁におこなわれているのが現状です。

「検事総長の姿勢」

検察トップの稲田伸夫検事総長が2月19日、全国の高検検事長や地検検事正が集まる会議で、刑事事件の被告の保釈について、「必要な場合には躊躇することなく抗告し、積極的に裁判所の適正な判断を求めてほしい」と訓示。裁判所の判断に不服があるときは反論する姿勢を強調しました。
裁判所は近年、推定無罪の原則に基づき、積極的に保釈を認める姿勢をみせており、保釈される被告の数は増加傾向にあります。一方で昨年、実刑が確定した保釈中の男やカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したりするなど、保釈をめぐる問題が相次いでいます。稲田総長は「収容業務は、保釈の急激な増加で困難さを増している」とも指摘しました。

…後編につづく
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