関西生コン型の労働運動とは何か 木下武男(元昭和女子大学教授)
…No.2からのつづき
「生コン以外でもできる。プロ野球選手会も」
こういう労働組合は、ヨーロッパでは常識ですが、日本ではほとんどないです。関西生コン支部は例外的だと思いますが、ないわけじゃない。プロ野球選手会です。プロ野球労組ですね。職種別結集という点で親戚なのです。2004年近鉄とオリックスが合併でひとつになることに反対して闘ったのです。プロ野球選手というひとつの職種のまとまりで団結したのです。あの時、古田会長でした。プロ野球労組は、業種別職種別ユニオンです。プロ野球機構という経営者団体を団体交渉の相手にしています。
今も団体交渉をやっています。1軍の選手、1430万円、2軍の選手、420万円年俸です。2軍の下積み選手、その人たちの賃金を上げるために、彼らはひたすら頑張って交渉している。球団別ではなく、全球団に同じような労働条件で規制する。関生方式です。
「重層的な下請け構造を逆手にとった武委員長の生コン方式」
このようにすれば、日本の労働者の生活や労働条件は向上していく。日本的経営が華やかりし頃、年功賃金でみんな自動的に賃金が上がった。今でも連合の大企業は上がっています。しかし、そうでない人たちが圧倒的に増えた。重要なのは、これまであげた業種の人たちは、業界の構造によって労働条件が大きく決まるということです。ひとつ一つの事業主が儲かった、儲かってない。そうじゃないのです。
生コン業界は、セメントメーカはセメントを高く売りつける。作ったものを売る相手は、ゼネコンで買い叩く。両方から挟撃されて、セメントは高く、作った製品は安くなる。この業界の構造を変えるために、武委員長は業界で頑張ったのです。協同組合で業界をまとめたが、まさに今の攻撃はこの協同組合にかけたのです。中小の企業が協同組合を作って大資本と闘っていく。これが日本の経営者にとって一番怖い。なぜならこのやり方は、日本の重層下請け構造にメスを入れることになるからです。
これをもし建設産業でやられたら、下請け構造の収奪で儲かっているゼネコンが打撃を受ける。運輸産業もそう。だから下請け構造でやっているところでは、業界ごとにまとまって大企業と闘っていく、これが武さんが言っている、中小企業と一緒に闘うこと、一面闘争・一面共闘という根本なんです。
欧米では重層下請け構造は基本的にはありません。商取引がフェアだからです。日本はアンフェアで構わないのです。元請けは下請を買い叩くのです。武委員長は生コン業界をまとめて大企業と闘う方式を編み出したのですが、日本的な環境のもとで「本当の労働組合」を根付かせようとする、ここが非常に優れた発想だったと思います。
関生方式で注目すべきところは、個々の企業ではなく、業界の構造にこそ労働条件の根源があることに目を向けさせたことです。コンビニ業界でもエステも自販機もそうです。自治体の非常勤職員も同じことです。
春闘はうまくいかない、労働運動もどうやっていいかわからない。だけれども、生コンのように闘えばできるということを教えています。このような時代のなかで、関西生コン方式はまさしく一点の光だったのです。私たちもできるかもしれないお手本を示した。絶対に火を消してはいけないし、我々も支援して、もっと関西生コンのような労働運動を広げていく。これが日本の労働運動がずっと後退していくなかで切り返していくステップになると思っています。
東京でも支援する会を作ろうという動きがありますので、直接に支援するのはもちろん、同時に関生の運動に学びながら一緒に闘っていければと思いながらこの映画を見ました。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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OURPLANET(動画)「労働組合の自由を奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟←ココをクリック
IWJ 国家賠償請求提訴についての記者会見 2020.3.17←ココをクリック
関西生コン労組、違法捜査と国など提訴 執行委員長ら恐喝容疑巡り「長期勾留は恣意的」 2020年3月17日 20:42 京都新聞←ココをクリック
大阪府労委で組合側の完全勝利命令!←藤原生コン運送不当労働行為事件
またもや、組合側勝利命令!←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件
公判が日程変更や中止になっています。確認お願いします。
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)
内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「?関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
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