アメリカ大統領選挙を注視して行動を

アメリカ大統領選挙(11月3日)では、現職のトランプ大統領と民主党の大統領候補ジョー・バイデン氏(オバマ政権で副大統領)による激戦が繰り広げられています。
そのさなかトランプ大統領は、世界保険機関(WHO)からアメリカが脱退すると正式に国連に通知(7月6日)。アメリカの医師会からは「新型コロナを打倒するための科学、公衆衛生、世界的な協調における大きな後退だ」などと厳しく批判されています。

「トランプ発言に批判が集中」

「4月にはウイルスは消える」などと発言し、楽観視していたトランプ大統領は「国家非常事態宣言」を3月13日に発令し、戦時中の大統領のような姿勢で、新型コロナ対策に取り組んでいることを国民に示すための記者会見を頻繁に行いました。
この「パフォーマンス」によって、バイデン氏に差をつけられていた支持率も挽回しつつありましたが、「消毒剤の注射が有効だ」など非科学的な発言や、死者が14万人を超えているのに、独立記念日(7月4日)の演説では「新型コロナの99%は無害だ」という発言が批判されています。

「新自由主義の医療政策」

コロナ禍以前のアメリカの経済は、2017年12月の「減税」と「雇用法」による大幅な企業減税と所得税減税の効果により、株価は史上最高となり、設備投資も上昇するなど、2008年のリーマン・ショック後の経済対策によって好景気が拡大している状況でした。
ところが新型コロナ危機で景気が一気に悪化し、失業者の急増や企業の緊縮財政、医療危機が発生するなど、アメリカは1929年の大恐慌以来の不況にさらされています。
トランプ政権の医療政策が、アメリカの新型コロナ感染の爆発的な拡大に影響を及ぼしていることは明らかであり、トランプ政権の医療政策は、市場原理主義に基づく「競争が医療の効率性を高める」とする新自由主義によるものなのです。

「メディケア・フォー・オールを目指して」

バイデン氏と民主党の候補者指名を争った民主的社会主義者のバーニー・サンダース上院議員は、コロナ危機で撤退を余儀なくされましたが、その「メディケア・フォー・オール」(すべてのアメリカ人に健康保険を)という訴えが、アメリカ国民の支持を獲得しつつあります。
サンダース上院議員は「全国民を対象に将来的なワクチンの接種、検査、治療は政府が負担すべき」と主張しており、バイデン氏とともに、医療制度を含む政策協議の統一作業チームを結成しました。統一作業チームでは「メディケア・フォー・オール」を目指すとともに、高齢者向け公的医療保険の対象を65歳から60歳に引き下げる改革や、連邦最低賃金を時給15ドル(約1600円)にするなどの選挙綱領づくりが進みつつあります。

「大統領選挙を注視して行動を」

学者や専門家は、アメリカの大統領選挙の傾向として、「失業者が少なく、経済の状況が良好なら現職の大統領が有利で、失業者が増え、経済の状況が悪化すると野党候補が有利」と分析しています。この傾向から見ると、トランプ大統領の再選は、厳しく映りますが、楽観視は禁物です。
私たち労働組合は、11月のアメリカ大統領選に対して、日本のマスコミが報道しない情報や事実を発信することが必要です。アメリカ従属の安倍政権を倒すためにも。

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