ミソジニーを防ぐための学習と実践を
良い女性と悪い女性を区別し、悪い女性を罰するという政治的な現象をミソジニー(女性嫌悪)といいます。
良い女性とは、男性に対して、「惜しみなく与え、ケアし、愛し、気を配ってくれる存在」です。その女性としての努めを怠ったり、無視したりする者に対しては、社会的な承認を撤回するという罰が下されるのです。とりわけ、男性に体系化された「特典や特権」を女性は奪ってはならず、それを奪おうとする女性には容赦ない制裁が待ち受けることになるのです。

「ミソジニーが根深いアメリカ」

ヒラリー・クリントンは、4年前のアメリカ大統領選の敗北宣言で「これを見ている小さな女の子たち、あなたが価値のある力強い存在で、この世界で夢を追いかけて達成するチャンスに恵まれるべきだということを、けっして疑わないでほしい」と訴えました。
ところが、ヒラリー・クリントンは著書で、「これほど多くの人に拒絶されたのは、大統領選に立候補したからだ」「仕事では評価されても、男性のものとされる仕事を求めて競り合うとなると、事態は一変し、『不正直で信頼できない』というイメージにそれまでの業績はすべてかき消されてしまう」「わたしは多くの人が、それこそ何百人もが、私のことを嫌いなのだという結論に達した」と、大統領選の敗北について記しています(「WHAT HAPPEND 何が起きたのか?」)。
ケイト・マン氏は「権力的地位というのは、男性にコード化された典型的な特権だ。アメリカという世界大国の大統領という地位をめぐる競争は、最も激しいミソジニーを引きおこす磁場といえるだろう」と述べています(著書「ひれふせ、女たち」)。

「政治は女性の居場所ではない」

日本の政治においてもミソジニーは頻発しており、多くの女性議員が標的にされ、女性議員を貶めることで、政治は女性の居場所ではないというメッセージが発せられています。また、性差別や性暴力について告発する女性に対して、罵詈雑言が向けらています。

「学習と実践が求められる」

ミソジニーはアメリカだけはなく、家父長的な価値観が支配的な社会ではどこでも起こることを念頭に置いた学習と実践が、私たちに求められています。

※上智大学法学部教授・三浦まりさんの著書には多くのことが学べます。「日本の女性議員:どうすれば増えるのか」「私たちの声を議会へ」「生きづらさに立ち向かう(共著)」など。

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