12.17関生支部から学ぶ学習講演集会(No.1)
「関生支部のような労働組合を創っていくことが大切だ!」
2020年12月17日、東京都内で関西生コン弾圧を許さない東京の会主催で「関生支部から学ぶ」学習講演会が開催されました。木下武男さんが講演し、活発な意見交流の場となりました。
「関生支部のような労働組合を創っていくことが大切だ!」
10月8日の武建一委員長との座談会を解説しながら、また、それをどのように実践的にとらえるべきなのか、そのようなお話しをします。
10月8日、大阪で開かれた全国支援する会の連絡会の時に、「関生支部を戦後労働運動は孤立させてきた。孤立させてきたことによって弾圧がなされてきた面も見る必要がある」と発信しました。これまで、労働運動は「関生支部はすごい」と遠くから眺めていて、「関生支部から学ぶ」「あのような労働組合をつくる」こうした姿勢は一貫して欠けていたのではないか。今こそ、この大弾圧の中で関生支部のような労働組合を創っていくことが大切だと思います。
「Ⅰ 産業民主主義と産業別労働組合-働き方・暮らし方」
武委員長との座談会では大きくは、一つは非常に基本的な産業別労働組合とは何かを理解する上で欠かせないテーマが話し合われました。それとあと一つ今後の生コン業界について武委員長が考えていることです。
「1.産業民主主義と『権力万能論』」
最初は基本的なことですが、関西生コン支援「東京の会」の結成集会のとき、熊沢誠さんが「産業民主主義」という観点を強調されました。「産業民主主義」という言葉は、日本の労働運動の中ではなかなか出てきていません。常識だから出てこないのではなく、この言葉が何のことだかよくわかわないからで、その状況こそが問題なのです。
憲法28条は十分ご承知のことと思いますが、大事なのは憲法28条の内実です。関生弾圧でも、憲法28条にある労働組合の団結権の侵害だということは皆さんよく強調されます。それは、ものごとの表面、制度的な保障であって、中身が何なのかということです。それが「産業民主主義」なのです。
「産業民主主義」とは、労働者の労働生活条件は、国家権力や経営者が一方的に決定するのではなく、労働者・労働組合が対等な関係で参加し、決定することを保障する制度なのです。
労働者・労働組合なしに、権力や経営者が一方的に決定してはならないということです。産業の中の民主主義、つまり労働者・労働組合が対等な関係で参加して交渉してやりなさい、という意味で民主主義なんです。
「産業民主主義」は「労働者・労働組合を対等な関係として認める」、そして「交渉して決着のつかない時にはストライキも合法的である」、このことを認めているわけです。
今回の弾圧の本質は、それが合法ではないと権力が判断したことです。産業民主主義の真っ向からの否定なのです。だから。憲法28条の否定という制度を踏みにじることの奥にある、産業民主主義の否定という事態がとんでもないことなのです。
この労働条件は、労使の対決で決着させるこの産業民主主義が日本の労働運動で定着してこなかったことは、「権力万能論」と関連していると私は思っています。この言葉は氏原正治郎という戦後の労働問題研究で高名な方のものです。総評労働運動を念頭に置いて言っています。「労働問題は、国家の政策や立法において、原則として片付けてしまうのではなく、国家の権力的統制の前に、当事者の自主的組織化と統制によるべきであり、権力万能論は避けなければならない」と。
ここで氏原さんが言っている「国家の政策や立法」も労働組合の政策制度闘争として団体交渉と同じ労働組合の機能ですが、氏原さんが言いたい万能論は「政治権力を獲得することによって労働者の働き方は改善する」「それですむのだ」という、戦後一貫して労働運動の中に座っていた考え方です。
政党や政派が権力を握ること、それをめざすことは、それが使命なので当然のことです。だけど、「労働組合がそのことによって初めて労働者の働き方、暮らし方が良くなる」と考えたら自己否定であり、「権力万能論」に陥るということです。
労働組合には労働組合としての役割があるのです。それが産業民主主義の中で、関生支部がやったような高い到達点を実現する闘いなのです。
そうではなくて、戦後の総評は「総評・社会党ブロック」によって社会党中心の政権を獲得する。産別会議や全労連は「共産党のフラクション」を通じて労働組合を動員しながら政権を獲得する。そのことによって働く者の暮らしは良くなる。これらが本音だったのであり、戦後労働運動の根底に流れていた考え方です。
しかし、関生支部はそうではない。「自分たちは実力によって高い労働条件を勝ち取ってきた」、これが関生支部の基本的で重要なところです。労働組合は労働組合として闘う。政党にお任せしない。政党は政党でそういう労働組合の切実な課題を引き受けながら、政治を変え、政治権力に立ち向かっていく。そういうことを分担し連携し合っていく。これが関生支部が切り開いた産業民主主義の考え方だと私は思っています。
※「月刊労働運動2021年2月号」の記事。発行責任者・編集者から許可を得て掲載しています。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
「関生事件」が揺るがす労働基本権
<労働裁判が働き手を素通りするとき> ココをクリック
641日勾留された武委員長が語る
「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一
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