京都事件第1回公判

連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判が1月28日、京都地裁で開かれました。長期間にわたる公判前整理を経た第1回公判です。

「3つの事件を併合した審理」

京都事件は、恐喝・強要未遂などとされている「ベストライナー事件」「近畿生コン事件」「加茂生コン事件」の3つの事件を併合したものです。

「検察側のストーリーを描いた起訴状」

第1回公判は、裁判長から「公判前整理で決めていた確認と新たな公訴事実、冒頭手続き、人定質問、黙秘の権利、証拠調べ、冒頭陳述、争点整理、実際の証拠調べ、3通の起訴状のうち1通は訴因変更」などと審理の進行が述べられたあと、人定質問に続いて、検察官による「起訴状」が朗読されました。起訴状の朗読の内容は、検察側のストーリーを描いたものでした。

 

「正当な組合活動であり、犯罪に当たらない。無罪だ」

裁判長が黙秘権の説明をしたあと、被告人とされているT氏と湯川委員長の冒頭陳述です。被告人とされている2人は「正当な労働組合活動であり、犯罪には当たらない。よって無罪だ」としっかり陳述しました。
次に、弁護人からの冒頭陳述。弁護人らは「2人が言ってたように、無罪だ」と陳述しました。

「関生産別運動の具体的事例を述べた」

証拠調べの手続きでは、検察官が「関生支部の組織形態・態様、犯行時の状況、第2の犯行、その他関連事項」など、検察側の描いたストーリーを1時間にわたり述べました。
そして、弁護人側の冒頭陳述です。弁護人らは「前提として、労働事件として判断されなけらばならない」としっかり主張。続いて「生コン産業の構造と課題」「関生支部は産業別、業種別の労働組合であり、集団交渉で産業別協定を締結している」「生コン産業の集約事業は個別ではできず、労働組合の協力が必要」など、関生支部の産業別労働組合運動と生コン産業における政策提言を具多体的な事例をもとに述べました。

「灰孝争議は、京都地裁の仲介で和解した」

また、弁護人らは「ベストライナー争議、近畿生コン争議」の背景事情を詳細に述べ、「灰孝争議は、京都地裁の和解で紛争が解決した。多額の解決金も支払われた」ことや「JRなどの争議で和解金を認めている」「中央労働委員会でも和解が成立すれば、解決金の項目をつけて、数万円から数億円の解決金が支払われている」ことなどを強調。「数十年にわたる労使関係のなか、解決金の一部を切り取っている」と本件は、労使関係における解決金であり、恐喝という犯罪にあたらないことを歴史を振り返って主張しました。

「関生に打撃を与えるための弾圧」

さらに、弁護人らは「2017年のストライキ以降、大阪広域生コン協組と関生支部が決別し、大阪広域生コン協組が主導する加盟社による解雇などの不当労働行為の数々」「89人が逮捕され、57人が起訴されるという関生支部への一連の弾圧で労組員が刑事事件に問われている」「逮捕後の644日にわたる身体拘束、組合事務所立ち入り禁止や組合員との接触禁止の保釈条件、組合員の身体拘束での組合脱退勧奨や取り引きなど、関生支部に打撃を与えるため」の権力弾圧の実態を述べました。

「恐喝・強要の構成要件にはあたらない」

そして、弁護人らは「本事件の不当、違法性」を述べたあと、「ベストライナー、近畿生コン、加茂生コン(村田建材)の事件は、恐喝・強要の構成要件にはあたらない。刑法35条の適用がある。労組法1条2項の正当なものである」と締めくくりました。
永嶋弁護士のパワーポイントを使った陳述に、傍聴人はよく理解できたことでしょう。

「時間切れ、弁護側の証拠調べは次回に続く」

裁判所から最終の公判前整理として争点が示されました。争点は①公訴権の乱用(6点)。②各当事者の主張(検察側、弁護側の主張)です。
証拠調べの取り調べでは、検察側から「供述調書、防犯カメラの音声反訳と映像の写真、捜査報告書、検察官調書」など253点(甲)が示されたあと、加茂生コン事件の防犯カメラ(事務所内)の映像が上映されました。
次に、弁護側から弁号証として「生コン産業の構造と課題について」詳細な資料や書籍が示されました。書籍の説明で弁護人らは「1995年の阪神淡路大震災によるコンクリート構造物の崩壊について、関生支部は震災以前から生コンの品質について警鐘を鳴らしていた」ことが記載されているなどを紹介しました。
時間切れとなり、弁護側の証拠調べの取り調べを残して、本日の公判は終了しました。

「湯川委員長、闘う決意を新たに」

公判終了後、弁護団から本日の公判の総括が報告されました。位田弁護士は「2人は無罪だとしっかり主張した。本件は、労働事件、労働組合の正当な行為であり、無罪だ。検察側の冒頭陳述は検察の描いたストーリーを縷々述べていた。弁護側の冒頭陳述では、生コン産業の構造、産業別労働組合運動の意義、公訴権の乱用、国家的不当労働行為をしっかり主張した。事件とされているものは労使交渉なかでできたものであり、数年前のことを事件化している。無罪をめざして全力を尽くす」と話しました。
永嶋弁護士は「検察側の冒頭陳述は、全体的に筋がおかしい。どこの労働組合も行っている争議の解決に伴う解決金。解決金の額は数億円の支払いもある。これが犯罪だということを許してはいけない。無罪を取る」と話しました。
当事者の湯川委員長は「仲間のみなさんの傍聴支援に感謝する。ようやく始まった京都事件、長丁場となるが仲間のみなさんの結集が必要だ。今回の事件も大阪広域生コン協組が背景にある。大阪広域生コン協組と闘う決意を新たにした。裁判闘争、労働運動に全力で挑む。引き続き、支援を願う」とあいさつと闘いの決意を表明しました。

「傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」

午前、午後という長時間にわたる公判に、傍聴支援に来てくださった仲間のみなさんに感謝します。寒さが厳しくなってきたさなか、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさん、本当にありがとうございました。
次回の第2回公判は、2月24日(木)、終日です。弁護側の証拠調べと検察側のK氏の証人尋問です。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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関西生コン事件ニュースNo.67 ココをクリック
関西生コン事件ニュースNo.68 ココをクリック 
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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