関西労働組合交流センター連続学習会「関西地区生コン支部の解雇撤回闘争に学ぶ」
関西労働組合交流センター主催の連続学習会「関西地区生コン支部の解雇撤回闘争に学ぶ」と題した学習会が2月7日、エル大阪で開催され多くの闘う仲間が結集しました。
「職場と地域での闘いを実践するために、本学習会に学ぼう」
関西労組交流センター代表・木下さんの司会で学習会は開会。木下さんは「先日の全国労組交流センター総会では、代議員による活発な討論で新たな方針が確立された。私と武谷さんは引き続き共同代表に就任した。本学習会の講師陣は、関生支部の現場で闘う仲間が勤める。全港湾大阪支部からは、副委員長をはじめ複数の仲間が参加している。国内では、戦争情勢が緊迫しているなか、台湾有事を煽り中国侵略戦争に向けた軍事化が進んでいる。戦争絶対反対で闘う労働組合の役割が問われている。関生弾圧を許さないと昨年12月12日、全国12カ所で同時アクションを闘った。これは団結と連帯が力を生み出している証だ。権力弾圧と解雇攻撃は厳しいが、新たな闘いに挑戦している関生支部を支えるだけではなく、職場と地域で闘うことを実践するために、本学習会に学ぼう」とあいさつしました。
「30数年前の映像」
はじめに、30数年前の「松尾生コン(現・ナニワ生コン)闘争のDVDが上映されました。当時の春闘交渉が決裂したことから、ストライキに入った関生支部。そのストライキに対して経営側は多数の応援を呼び(体育会系の若者など)、重機などで宣伝カーを押しのけたりして、ピケを破り生コンの強行出荷した様子が描かれているものです。
「関西労組交流センターとの共同行動には感謝しかない」
DVDの上映後、関生支部の4人が登壇。冒頭、武谷書記次長から「日頃の関西生コン支部弾圧への物心両面にわたる支援にお礼を述べる。特に、奈良や北摂、泉州の仲間たち、関西労組交流センターとの共同行動には感謝しかない。権力弾圧を粉砕し、大阪広域生コン協組の組合つぶしを粉砕し、仲間の解雇、雇い止めを撤回させ勝利するまで闘う。本学習会では多くの質問をいただきたい」と述べて、マイクを講師陣に譲りました。
「現場闘争で解雇・雇い止めを撤回させ勝利するまで闘う」
最初に、大阪Aブロック・ナニワ生コン分会長が講演。ナニワ生コン分会長は「先ほどの映像に見られるように先輩たちの激しい闘いがあってこそ、私はナニワ生コンに入社(優先雇用協定)できた。2017年のストライキでは、逮捕、起訴された後、ナニワ生コン社は私を懲戒解雇してきた。しかし、この懲戒解雇は労働委員会から無効とされ不当労働行為がなかった状態に戻せとの命令が出されている。しかし、ナニワ生コン社はこの命令に従わない。スト事件で大阪地裁は有罪判決を出しているが、控訴審で無罪を勝ち取るために全力を尽くす。また、ナニワ生コンをはじめ藤原生コン、泉北ニシイ、五一、光榮・昌榮闘争を現場で闘い解雇・雇い止めを撤回させ勝利するまで闘う決意だ。引き続きの支援を願う」と権力弾圧と不当な懲戒解雇の経過を話し、勝利するまで闘う決意を表明しました。
「保育園に提出する就労証明書を求めた『強要未遂では無罪』となっている」
奈良ブロック担当の安井執行委員は、関西労組交流センターの仲間、特に奈良の仲間の支援行動に感謝を述べたあと、『無罪とったぞ!』と発言。続いて、安井執行委員は「残念ながら私は罰金30万円だった。しかし、加茂生コン事件の保育園に提出する就労証明書を求めた強要未遂では無罪となっている。大阪高裁は、『社会生活において保育園に提出する就労証明書を会社は出す義務がある』などと画期的な判決を出した。検察側が上告しているが、この判決を最高裁で判断するのは初めてのことであり、興味深いものである。これが犯罪と判断されると労働組合活動ができなくなる。ストライキ事件では、全港湾の先輩たちの判例(南港ゼネスト刑事事件、産別ストライキが認められている)を広げることと、大津地検の検察官による『組合脱退勧奨』を糾弾していただきたい。直近では、滋賀県警の組織犯罪対策課の刑事が『おい、安井!活動やめろ!』などと正当な組合活動を妨害している。これは、明らかな労働組合つぶしであり、国家的不当労働行為だ。権力弾圧を粉砕し、仲間の解雇撤回を勝ち取るまで闘う決意だ。今後とも支援を願う」と加茂生コン事件の控訴審勝利判決の具体的な内容を詳しく話し、今後の闘いへの支援を要請しました。
「関生組合員という自信と誇りを持って、活動している」
加茂生コン事件の控訴審で無罪判決を勝ち取った奈良ブロック・吉田生コン分会長は「私の組合歴は40年を過ぎた。この間、関生組合員という自信と誇りを持って、活動している。加茂生コン事件の無罪判決は当然のことだが、3年間、闘ってきたことが無駄ではないことを実証した。大阪広域生コン協組の組合つぶしと結託した吉田生コン社をはじめとする奈良の生コン業界。組合員は10分1となったが、残っている10分の1の組合員は本気で闘うメンバーだ。だから敵側も本気で攻撃してくるが受けて立つ。上告審では、安井執行委員と共に2人の無罪を勝ち取る。昨年からの闘争で成果があがっているが、不当に解雇されている仲間も多くいる。この成果を追い風として、流れを変える。私は吉田生コン社から2回、クビを切られた。仮処分は勝利したが会社は本訴で争う姿勢を示している。予備的解雇の理由はなくなったが、会社は無罪判決でも私の職場復帰に抵抗している。私は、必ず職場に帰る。吉田生コン社で闘っているもう一人の仲間も私の職場復帰を待っている。私が職場に帰ったとき、吉田生コン社長の顔を見るのが楽しみだ。その日が来るまで全力で闘う」と関生支部組合員として自信と誇りを持って活動していること、資本・権力の攻撃に怯まず受けて立ち、解雇撤回職場復帰を勝ち取るまで闘う決意など話しました。
「会場からの質疑と、労働現場の闘争報告」
現場で闘う関生支部3人の講演後、会場からの質問を受けました。「DVD映像の解説を」「組合員が減少しても、残っている組合員が組合つぶしに闘っているというキーワードは」「2010年のストライキの過酷さは」「職場の団結を維持するためには」「職場で一人で闘っている仲間への支援、団結維持などの決め手は」「激しい攻撃と闘争のなかでの組織拡大の成果について」「関生の産別運動とは」など、会場から7人の仲間から質問があり、その質問にそれぞれが答えました。
質疑応答のあと、労働現場の闘争報告では、奈良日教組、高槻医療労組、セクハラ・パワハラ解雇闘争の仲間から闘争報告と闘争方針が示されました。
「検察の弾圧を労働学校として学習会に取り組んでいく」
全港湾大阪支部・國分副委員長からは「交流をしっかり日々、実践することで、団結が生まれる。1976年の弾圧(南港ゼネストが刑事事件とされた)を学び直す方針だ。検察が行った弾圧を労働学校として学習会の開催に取り組む。皆さんと共に闘うことを表明する」とあいさつがありました。
「失ったものも多いが、それ以上のものをもらった」
あらためて、関生支部の3人から一言づつコメント。ナニワ生コン分会長は「関西労組交流センターの仲間に感謝する」。安井執行委員は「みなさんの支援があったからこそ、加茂生コン事件の無罪判決が勝ち取れた」。吉田生コン分会長は「この間の攻撃では、失ったものも多いが、それ以上のものをもらった。みなさんの支援行動に感謝する」と関西労組交流センターの仲間をはじめ学習会に参加している闘う仲間に感謝の意を表しました。
「労働運動で社会をひっくり返すために、次のステップに進もう」
木下代表が本学習会のまとめ。木下さんは「この間の闘争で、関西労組交流センターと関生支部のつながりが深まった。弾圧が共闘をつくりあげたのはいい機会だ。改憲と戦争の時代に、団結破壊の攻撃がかけらている。労働運動で社会をひっくり返すために、次のステップに進もう」と労働者が主人公の社会づくりをめざす方針を提起しました。最後に、木下代表のかけ声で「団結がんばろう!」を参加者全員が唱和して学習会を締めくくりました。
すべてのお話しや質疑での答弁は活字にできないものもありますので、機会があれば直接、お尋ねいただければと思います。今回の学習会は、笑いを交えながら、いい雰囲気で進められました。経営側の労働組合つぶしの攻撃や警察・検察の弾圧によって、闘う労働組合の共闘がつくり出されました。闘う労働組合の共闘で、権力弾圧をはね返し、権利侵害反対闘争に勝利しましょう。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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