関西合同労働組合弾圧「刑事事件第2回公判」大阪地裁・岸和田支部3/4

関西合同労働組合にかけられた権力弾圧をめぐる刑事事件(暴力行為に及んだとされている)の第2回公判が3月4日、大阪地裁・岸和田支部で開かれました。傍聴支援には、15人超の闘う仲間が結集、連帯ユニオンからは、関西地区生コン支部の組合員3人が公判の傍聴に参加しました。本日の公判は、証拠調べで検察側の証人尋問です。

「『使用者側が隠し撮りした動画』の証拠調べ」

第2回公判は、はじめに、検察側から、「使用者側が隠し撮りした動画」を暴行事実の証拠として取り調べ。動画の映像は、裁判官、検察官、弁護人(と被告人とされているK組合員)のみしか見られず、法廷の傍聴人には、音声のみで映像を見ることはできませんでした。

「『遮蔽措置』証人席に衝立を設置するという物々しさ」

続いて、検察側の証人尋問です。証人には「遮蔽措置」が取られました。尋問が始まる前に、裁判所の廷吏(職員)が衝立を用意し、傍聴人からは姿が見られないようにしたのです。この「遮蔽措置」は、検察官が裁判所に求め、裁判官が認めたのでしょうが、闘う労働組合に悪いイメージを抱かせ、レッテルを貼るという、検察権力による労働組合弾圧の狙いが見られます。

「警察にすぐに相談しなかったのは、真意を確かめるため」

検察側の証人は、老健施設の施設長です。主尋問で施設長は検察側のストーリーに沿った証言をおこないました。
検察官のK組合員による利用者への暴行事実の質問に、施設長は具体的に答え、さらに強調して答えていました。また、施設長の「(施設側の)弁護士に相談したところ、『今後も続くかもしれないので、引き続き動画を記録して証拠保全するようにと指導された』『「警察にすぐに相談しなかったのは、真意を確かめるため』などと答えていたのが印象的でした。施設側と施設側の弁護士が、労働組合をつぶすために事件を作り上げようとしていた様子が垣間見られたように感じます。

「反対尋問、弁護人の鋭い追及に証人は動揺を隠せない」

弁護側の反対尋問では、K組合員の弁護人・七堂弁護士が、施設長の証言の矛盾を追及し、K組合員の行為は「暴行ではなく通常の介護業務」であることを主張しました。さらに、七堂弁護士は、施設長に対して、施設側の労働組合つぶしが狙いであったことを追及しました。
弁護人の「(被害者とされている)利用者の部屋に『穴の開いた段ボール箱を置いて、その中にカメラを設置した』のは施設長の指示か」との質問に施設長は、「自分は指示していない。2人(職員)がきめたことだ」などと証言。
「その動画を見て、K組合員に注意、指導したのか」との質問に施設長は「思い当たることはないか?」とK組合員に注意したと答えましたが、弁護人の「なぜ、具体的に注意しなかったのか」との質問に施設長は「K組合員が、思い当たることはないというので・・・」とはっきりと答えませんでした。
「警察に被害届を出した後(翌日)にKK組合員に事情聴取するというのは逆ではないのか」との質問に施設長は「弁護士さんに相談していた」などと答えていました。
また、弁護人の「本人に動画を見せて注意しなかったのはなぜか?」との質問に施設長は「K組合員に)見せるつもりだったが、警察が『捜査に支障を来すので』と言われたので本人には見せなかった」と証言しました。

「組合員が退職すれば、労組との団交に出なくてもいい」

最後に、七堂弁護士は「関西合同労働組合は、施設では唯一の労働組合であり、労働組合との団体交渉に施設長は出席してる。K組合員が退職すれば、労働組合はなくなり、施設長も労働組合との団体交渉に出なくてもいいことになりますね」との質問に施設長は「はい」と答えていました。
この施設長の証言で、K組合員の暴行とされている刑事事件は、労働組合つぶしの弾圧であることが明確になったのではないでしょうか。

「施設側の弁護士が、優先席で傍聴」

検察側のもう一人の証人、施設の職員の証人尋問を終えて第2回公判は終了。施設側の弁護士が「優先席」に陣取って傍聴していたのは、関生弾圧事件の公判で、大阪広域生コン協組の執行部が「証言の監視」に傍聴しているのと同じ構図ではないでしょうか。

「黙秘は争う姿勢の基本、無罪判決を勝ち取るために全力をつくす」

公判終了後の総括集会では、七堂弁護士が本日の公判のポイントを詳しく説明してくれました。七堂弁護士は支援者の質問に一つ一つ答えたあと、「黙秘は争う姿勢の基本。ビデオ映像で事実認定する恐さがあるが、無罪を勝ち取るために全力をつくす」「当面は、長期勾留を強いられているK組合員の保釈を勝ち取ることだ」と決意を表明しました。総括集会のあと、護送車で拘置所に戻されるK組合員を支援者全員が激励して、本質の支援行動はお開きとなりました。
次回の第3回公判は、弁護側の証人尋問と被告人質問です。4月27日(水)、10時から大阪地裁・岸和田支部です。K組合員の被告人質問がありますので、多くの仲間の結集を呼びかけます。

「労働組合つぶしの権力弾圧を粉砕しよう!」

関西合同労働組合にかけらている労働組合つぶしの権力弾圧を粉砕し、不当な長期勾留を強いられているK組合員を取り戻すために、共に闘いましょう。
※ K組合員は、3月8日に保釈が決定し、取り戻すことができました。長期の勾留から解放されて、本当によかったです。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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関西生コン事件ニュース No.71 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.72 ココをクリック
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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