国連人権理事会『ビジネスと人権』と不当労働行為企業

国連は2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」を定めました。この指導原則は、取引先も含めて人権侵害を防止・是正・救済するよう求め、企業には人権を尊重する責任があるとして、サプライチェーン(供給網)全体で問題が起きていないかを調べる「人権デューデリジェンス(DD)」を実施することも求めています。

国連の動きを受けて、日本政府は2022年9月、日本の全ての企業に、取引先など供給網を含めて人権侵害の有無やリスクを特定・評価し、対処する人権監査(人権DD)の指針を公表。2023年4月には、政府調達の入札参加企業に人権尊重への取り組みを求める方針を決めました。

「ビジネスと人権作業部会の声明」

国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が今夏、訪日調査を実施(7月28日、関生支部を訪問)。
作業部会は政府や自治体、企業、労働組合、市民活動家らから聞き取りをし、8月4日の「国連ビジネスと人権に関する指導原則」についての記者会見で声明を出しました。
声明は、人権侵害を受ける恐れがある女性や性的少数者、障がい者、先住民族、被差別部落、労働組合などの具体的な例を挙げ、日本の企業と人権について包括的な課題が多角的に取り上げられ(関生事件にも触れている)、独立した人権救済委員会の設置を日本政府に求めています(最終報告は来年6月)。

「ジャニーズ問題とビジネスと人権」

ジャニーズ問題では、広告などの見直しを決めるよりどころにするのは、取引先の企業でも人権侵害があれば、救済のために介入していく「ビジネスと人権」の考え方です。
日本でもグローバル企業を中心にここ数年、人権侵害がないか調べて対策を取る「人権DD」を導入する企業が増え、取引先の企業に人権侵害があれば、被害救済するために介入していくという考え方が国際標準となっており、取引先として影響力を行使することが求められます。

「不当労働行為が認定された企業」

地方自治体が発注する工事に、都道府県労働委員会から不当労働行為と認定され、救済命令が出されている企業が建設資材を納入している実態があります。
労働委員会から不当労働行為が認定された企業は、中央労働委員会に再審査申立しているとの理由から命令を履行していませんが、初審命令を履行した上で、再審査申立するのが本来のあり方なのです。
地方自治体としても、下請け・資材搬入業者に不当労働行為が認定されている企業を元請けの契約問題として、放置するということは、不当労働行為企業に寛容だと受け止められます。取引停止も視野に入れつつ監視する姿勢を取らない限り、影響力は発揮できません。
地方自治体には、取引先に対しても人権侵害がないかを調べて対策を取る「人権DD」を実施し、関与を続けて企業を改善していくことが必要で、不当労働行為企業への対応について、入札参加資格業者やすでに落札して工事を進めている元請け業者に対して国連人権理事会の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく具体的な指導を求めます。

関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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関西生コン 作られた「反社」労組の虚像【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで組合員の苦悩、決意を竹信三恵子さんが詳しく紹介されています。
動画 動画閲覧できます ココをクリック

ー 公判予定 ー

11月16日 京都3事件      京都地裁   

10:00~

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2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 ココをクリック
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待望の新刊
検証•関西生コン事件❷
産業別労組の団体行動の正当性

A5判、 143ページ、 定価1000円+税、 旬報社刊
『検証•関西生コン事件』第2巻が発刊された。
巻頭には吉田美喜夫・立命館大学名誉教授の論稿「労使関係像と労働法理」。企業内労使関係に適合した従来の労働法理の限界を指摘しつつ、多様な働き方を基盤にした団結が求められていることをふまえた労使関係像と労働法理の必要性を検討する。
第1部には、大阪ストライキ事件の鑑定意見書と判例研究を収録。
第2部には、加茂生コン事件大阪高裁判決の判例研究を収録。
和歌山事件、大阪スト事件、加茂生コン事件。無罪と有罪の判断は、なぜ、どこで分かれたのか、この1冊で問題点がわかる。

[ 目次 ]
刊行にあたって—6年目の転機、 無罪判決2件 が確定 (小谷野毅)
序・労使関係像の転換と労働法理 (吉田美喜夫)
第1部 大阪ストライキ事件
・関西生コン大阪ストライキ2次事件・控訴審判決について (古川陽二)
・関西生コン大阪2次事件・鑑定意見書 (古川陽二)
・「直接労使関係に立つ者」論と団体行動の刑事免責 (榊原嘉明)
第2部加茂生コン事件
・労働法理を踏まえれば無罪 (吉田美喜夫)
・労働組合活動に対する強要末遂罪の適用の可否 (松宮孝明)

割引価格あり。

お問い合わせは sien.kansai@gmail.comまで