第4回「人権問題シンポジウム」
第4回人権問題シンポジウム(主催、関生支部・人権部)が12月7日、エルおおさか南館で開催されました。
「プレサンス冤罪事件」
今回は、「プレサンス元社長冤罪事件における権力犯罪と人質司法~取り調べ可視化が浮かび上がらせた日本の刑事司法の闇~」がテーマ。プレサンス冤罪事件に携わった秋田真志弁護士を講師に招いた学習会です。
「刑事弁護をやりたい」
関生支部・西島人権部長の司会で学習会はスタート。講師の秋田弁護士は冒頭、「刑事弁護をやりたいとこの間、弁護士活動をおこなってきた」と述べたあと、司法試験合格してから弁護士資格を取得、登録。そして、信楽列車事故やWinny事件(SBS、赤ちゃんの虐待冤罪事件)の主任弁護人などを手がけ、2019年にプレサンス事件の副主任弁護人として活動してきたことなど多くの冤罪事件に携わってきたことを話しました。
「高裁逆転無罪判決を勝ち取った」
そして、秋田弁護士は、映画「Winny」とプレサンス元社長の書籍「負けへんで」と元裁判官で人質司法を研究し、現在、KADOKAWA事件に携わっている西愛礼弁護士の書籍を紹介しました。
直近では、今西貴大さんの冤罪事件(2歳の娘の虐待暴行事件)で、11月28日に高裁無罪判決を勝ち取ったことを報告しました。
「地検特捜部の取り調べは『特別公務員暴行陵虐罪』」
パワーポイントを使った講演では、プレサンス事件における大阪地検特捜部の検事の取り調べが「特別公務員暴行陵虐罪」に該当するとして、「付審判」(大阪地方裁判所の審判に付する)が大阪高裁で決定されたこと。取り調べ時の「検察なめんなよ」発言や机を叩く行為など、被疑者への脅迫ともとれる発言が、可視化媒体から判明したと解説しました。
「無罪判決で浮かび上がった検察の問題点」
続いて、秋田弁護士は、公判前整理手続から公判を経て無罪判決を勝ち取ったことを話しました。無罪が確定しても検察側は、「反省・検証なし、謝罪なし」と検察庁の態度を厳しく指摘。そして、休日の弁護人接見の制約(拘置所では、日曜日は弁士接見ができず、土曜日も午前中のみ)を使った恣意的な証書作成をはじめとする検察側の浮かび上がった問題点を示しました。
刑事訴訟法の「訴訟記録の公判前非公開」や「目的外使用の禁止」、「刑事確定訴訟記録法」などの法整備を改める必要性を訴えました。
「検察庁(国)に求められる姿勢」
「無反省」体質からの脱却、国民に対し真実を明らかにし、自らの襟を正すこと、必要な刑事証拠の任意の提出など検察庁(国)に求められる姿勢を示し「弊害防止の配慮は可能」だと指摘しました。
「国賠訴訟、可視化媒体の提出」
国賠訴訟では、検察官の陳述書や証言が、言い訳にもならない「意味不明」で、4人の検事は全員「反省なし」が判明したことなど苦言を呈したあと、可視化媒体(取り調べの撮影記録)の提出について最高裁で認めさるまでの攻防など、プレサンス元社長冤罪事件が浮かび上がらせた問題点を解説しました。
「可視化制度を活かすための法制度、再審法の改正に声を上げよう」
終盤、秋田弁護士は、取り調べ可視化制度を活かすために、可視化媒体によって権力行使の適正さを検証できる法制度が必要であり、「刑事開示証拠目的外使用禁止規定、刑事確定訴訟記録法の見直し」「確定記録の保管を検察官の裁量に委ねない第三者機関の創設」を確立するために市民のみなさんから声を上げて欲しいと問題提起しました。加えて、袴田事件にみられる多くの冤罪事件が発覚したことで「再審法の改正」を求める声を上げることの行動を提起して講演を終えました。
「逆転無罪判決!今西貴大さん」
講演を終えた秋田弁護士が、シンポジウムに参加している今西貴大さんを紹介し、今西さんが登壇しました。
今西さんは、冤罪により2歳の養子を虐待した罪に問われ、一審大阪地裁判決は懲役12年でしたが、控訴審の大阪高裁では一審判決を取り消し、逆転無罪の判決が出されました。
今西さんは、6年間に突然、殺人犯として逮捕され、理由も分からないまま警察署に入るところをマスコミから撮影されたこと。5年半の長期勾留を強いられ、拘置所では独房に閉じ込められてきたことなど、思い返すことはたくさんあるが、先週、無罪判決を勝ち取れたことに弁護団の尽力と多くの支援者の活動に感謝していることを述べました。
そして、今西さんは「でも、検察が最高裁に上告しない判断をするまで私はまだ被告人だ」と話し、「今西貴大さんの大阪高裁無罪判決に対する上告を断念するよう求める署名」の協力を訴えました。
「次回、第5回は『LGBTQ』をテーマに仲岡弁護士が講演」
会場からの質疑では、関生支部・平田執行委員、上林弁護士、関生支部・武谷副委員長の質問に対して、秋田弁護士が応答するという活発な議論が展開されました。
関生支部・西島人権部部長がまとめを提起して、本日のシンポジウムはお開きになりました。
次回の第5回人権問題シンポジウムは、仲岡しゅん弁護士を講師に「LGBTQ」を学びます。25年3月に予定していますので、多くの参加を呼びかけます。
労働組合活動を犯罪扱いさせてはなりません
「京都事件」は、ベスト・ライナー、近畿生コン、加茂生コンの3つの事件(労働争議)を併合審理する刑事裁判です。労働争議の解決金を受領したことが「恐喝」とされています。
争議解決にあたって、会社側に解雇期間中の未払い賃金、雇用保障、組合の闘争費用などを解決金として支払わせることは、裁判所や労働委員会でも当然の実務として定着しています。ところが、警察・検察は、関生支部は労働組合を名乗る反社会勢力で、金銭目当てで活動してきたそんなストーリーで前代未聞の事件を仕組んだのです。
企業の団結権侵害に対する抗議行動や団体行動を犯罪扱いする警察・検察の暴挙を許せば、憲法28条が保障した労働基本権がなかった時代への逆戻りです。裁判所は毅然たる姿勢で無罪判決を出すべきです。すべての労働組合のみなさまに署名活動へのご協力をよびかけます。
署名活動の実施要領
提 出 先:京都地方裁判所第2刑事部
署名の種類:団体署名を実施します(個人署名ではありません)
署名用紙は、 ココをクリック
集約と提出:第1次集約 9月末日(10月中旬提出)
第2次集役 10月末日(11月中旬提出)
最終週役 11月末日(12月中旬提出)
送 り 先:〒101ー0062
東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
フォーラム平和・人権・環境気付
関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
TEL:03ー5289ー8222
【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
▼Spotify ココをクリック
▼Apple ココをクリック
▼Amazon ココをクリック
関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー
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