MBSドキュメンタリー『労組と弾圧』
貧困ジャーナリズム大賞を受賞
MBS(毎日放送)が昨年3月に放映したドキュメンタリー『労組と弾圧~「関西生コン事件」を考える』が、貧困ジャーナリズム大賞2024の大賞を受賞。2月15日の授賞式で、制作を担当した伊佐治整ディレクター(写真)は「先行する『ここから』があるなかで、テレビ局としてやるべきことは、やはり「反対側の当事者」を取材することだと考えた」と話した。
<選評>
のべ11名もの無罪確定者を出した労働組合弾圧、関西生コン事件は、その異様さや規模にもかかわらず、マスメディアは沈黙をつづけてきた。そうしたなかで、本作は地上波で初めて、しかも渦中の関西地域で制作・放映されたことが高く評価された。先行作品として、日本の労働政策による貧困を指摘した書籍『賃金破壊』(2022年、本賞候補作、著者が審査委員だったため辞退)、ドキュメンタリー映画『ここから』(2023年貧困ジャーナリズム賞)があるが、本作は、元警視総監、無罪判決を出した裁判官、経営側、SNSによる組合へのヘイトスピーチを拡散した団体幹部などを直接取材して生々しく映像化し、先行作品の蓄積を大きく進めたことでも大賞に推された。(一般社団法人反貧困ネットワーク)
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関生支部の産業別労働運動㉑
「奈良県における関生支部の活動経過(2)」
【…前回からの続き】
ここでも生コン工場の新設対策として、関生支部と奈良県生コンクリート協同組合連合会が連携して新設対策に取り組めたことは特徴的であり、生コン産業政策運動の奈良方式と言われた所以です。
特に、奈良県南部生コンクリート協同組合およ奈良県東部生コンクリート協同組合は、関生支部との直接的な労使関係がない企業の協同組合にもかかわらず、関生支部と協調し、セメントメーカーや販売店、行政などへの要請をそれぞれの立場で取り組むなど、労使が連携したことで、生コン工場新設の撤回という大きな成果につながりました。

「協組連合会の拡大・強化が前進した」

もう一つの成果の要因は、コンプライアンス・チームを形成し、対象企業のコンプライアンスを徹底的に調査した結果、公共工事における加水行為の摘発や、○適マークの剥奪など、大きな打撃を与えたことです。それらのことから関生支部とサンコーレミテック社との間で生コン工場の新設問題について話し合いの窓口ができました。
このことをきっかけに、奈良広域マテリアル協同組合が奈良県生コンクリート協同組合連合会加盟に傾き、奈良県生コンクリート協同組合連合会の拡大・強化が前進しました。

「適正価格の実現に向けてストライキを通告」

このような成果を獲得しながらも、生コン価格の値戻し・適正価格の収受は具体的には進んでいませんでした。
そのため、関生支部・奈良ブロックは各生コン協同組合が値戻しを打ち出し、実施しないのであればストライキを行使することを表明したのです。
関生支部・奈良ブロックのストライキ通告により、生コン価格の値戻し・適正価格の実施に対して、なかなか行動しようとしなかった各生コン協同組合は、生コン価格の値上げ(値戻し・適正価格)を具体的な実行期限を定めて、ゼネコンや販売店等に通知しました。

「労使共同の取組で運動が前進した」

生コン価格の値戻しが徐々に進み現実味を帯びてきた2016年10月1日、奈良県生コンクリート協同組合と奈良県南部生コンクリート協同組合(9社)が統合され、奈良県中央生コンクリート協同組合が発足。新たな協同組合の運営がスタートすることになりました。
この統合は、関生支部・奈良ブロックが主体となり、奈良県南部生コンクリート協同組合の販売店をターゲットに具体的な行動を展開したことが要因です。
奈良県中央生コンクリート協同組合の設立により、当時、1㎥あたり12000円前後だった生コン価格が、15800円を打ち出すことを実現しました。
また、この間、継続して取り組んでいたアウト(員外社)対策・越境(他エリアへの生コン納入)対策の効果があらわれ、県外の有力アウト3社の越境について、今後、アウト3社は一方的に越境納入せず、奈良県中央生コンクリート協同組合と調整することを合意しました。
これらの関生支部・奈良ブロックと奈良県中央生コンクリート協同組合の労使共同の生コン産業政策運動が前進したことにより、2017年には中南和協同組合とマテリアル協同組合が奈良県生コンクリート協同組合連合会に加盟しました。さらに、生コン価格を17200円(1㎥)に引き上げることを実現したのです。

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

「TBSドキュメンタリー映画祭 2025」開催決定 
現代を取り巻く重要な社会問題を考える5作品と「戦後80年企画」の3作品が発表されました。関連記事:ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』
予告映像 ココをクリック
予告編一覧 ココをクリック

そのなかで、伊佐治整ディレクター『労組と弾圧』が上映されることが決定しました。
『労組と弾圧』
労働組合員が「ストライキして逮捕」。ミキサー運転手の労働組合「連帯労組関西地区生コン支部」、通称「関生(カンナマ)」を狙った事件。知られざる戦後最大規模の「労働事件」の真相に迫る。【予告編 『労組と弾圧』】 ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』開催概要
大 阪:テアトル梅田:3月28日(金)~ 4月10日(木)
京 都:アップリンク京都:3月28日(金)~ 4月10日(木)
名古屋:センチュリーシネマ:3月28日(金)~ 4月10日(木)
東 京:ヒューマントラストシネマ渋谷:3月14日(金)~ 4月3日(木)
福 岡:キノシネマ天神:3月28日(金)~ 4月10日(木)
札 幌:シアターキノ:4月開催
加茂生コン事件差し戻し審 無罪判決を求める署名のよびかけ
加茂生コン事件差し戻し審完全無罪判決を獲得するべく、12月17日から新たに加茂生コン事件署名活動がスタートしました。
京都事件については団体署名でしたが、加茂生コン事件については各地の要望をふまえて個人と団体の2種類の署名活動に取り組むことになりました。
「関西生コンを支援する会」は、署名活動用に加茂生コン事件とはなにかを描いたニュース号外(漫画新聞)を発行しています。
提 出 先:大阪高等裁判所第3刑事部
署名の種類:団体署名と個人署名の2種類
署名用紙は、団体署名 ココをクリック  個人署名 ココをクリック
集約と提出:第1次集約  1月末日
      第2次集役    2月末日
      最終週役      3月末日

送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者
【竹信三恵子のホントの話】

デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
▼Spotify ココをクリック
▼Apple ココをクリック
▼Amazon ココをクリック

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
お問い合わせはコチラ ココをクリック

 

ー 公判予定 ー

2月26日  京都3事件(判決)  京都地裁   

10:30~

関西生コン事件ニュース 109(加茂生コン事件、判決は来年4/17 12/19大阪高裁差し戻し審が即日結審) ココをクリック
関西生コン事件ニュース 101(東京新聞「こちら情報部」) ココをクリック
東京新聞「こちら情報部」

保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 ココをクリック