「変形労働時間制」を廃止にする運動をつくろう

昨年、施行された「働き方改革関連法」は、企業に客観的な方法で労働時間を把握するよう義務づけ、「サービス残業」の削減を狙いました。

昨今、「変形労働時間制」(他の時期に労働時間を減らして穴埋めすれば、残業代などを払わずに労働者に長時間の勤務をさせられる)を導入する職場が増えています。

「労働者の負担が重くなる制度」

労働時間の上限は、原則「1日8時間、1週40時間」と法律で決まっており、これを超えて働かせる場合は、労使で協定を結び、超えた分の残業代などを払う必要があります。
「変形労働時間制」は、一定の条件の下でこの縛りを外すことができます。たとえば、ある日の労働時間が8時間を超えても、別の日に労働時間が短い日を作るなどして超えた分を吸収すれば、時間外労働をしたことにはならなくなり、1ヵ月・1年など一定の期間をあらかじめ定め、その期間全体でみたときに、1週あたりの平均労働時間が法定の40時間以内に収まっていれば、残業代を払う必要はなくなるのです。
繁忙期や閑散期が季節や時期によって比較的はっきりしている業種での適用が想定されているのに、実際は、24時間体制の職場や長距離トラックの運送会社など、勤務時間が長くなりがちな業種でも採用され、連日忙しくなる時期には、労働者の負担が重くなっています。
変形労働時間制に詳しい大久保修一弁護士は、「残業代を払わないで済ませるために、安易に変形労働時間制を導入したり、脱法的に運用したりするケースも見られる。制度の使い方次第では、法律の趣旨が骨抜きにされかねない」と指摘しています。

「教職員の負担増が懸念」

「変形労働時間制」を導入する企業は増えています。厚生労働省によると、2019年の導入率は62.8%(フレックスタイム制を含む)で2015年より9.8ポイント増えました。業種別では1千人以上の製造業(86.7%)や、運輸・郵便業(78.1%)などが高くなっています。
また、4年間での導入率の伸びをみると、教育・学習支授業(69.3%)の21.7ポイント増など、教育分野では「私立校で導入例が多い」ことが労働組合の調査によって明らかになっています。
学校現場では教職員の長時間労働が課題になっており、夏休み期間などに休日を固め取りさせることで、普段の「働き過ぎ」のつじつまを合わせる狙いがあります。昨年の法改正で、来年度から公立校も自治体ごとに1年単位の変形労働時間制の導入が可能になったことから、教職員の負担が増えることが予想されます。

「ユニオン加入で勝訴」

東京都内のハイヤー会社で配車業務を担う男性3人は、12時間におよぶ夜勤など複数の勤務パターンからなるシフト制で働き、変形労働時間制が適用されていました。しかし、昼夜をまたぐ長時間勤務に疲れ、労働組合プレカリアートユニオンに加入し、適用されていた変形労働時間制は無効だとして、未払い残業代を求めて東京地裁に提訴したところ、会社側に全額の支払いを命じる判決が出ました。
判決は、「変形労働時間制の導入には、就業規則に勤務パターンごとの始業・終業時刻や休憩時間、勤務パターンの組み合わせの考え方、勤務シフト表の作成手続きや従業員への周知方法を書き込む必要があった。だが、この会社の就業規則はこうした記載を『全く欠く』うえ、従業員にも周知されていないとして、適用は無効」と判断。
弁護団の新村響子弁護士は、「就業規則には『詳細は勤務シフトによる』などとだけ書き、あとはシフト表を配るのみで変形労働時間制を適用する企業は多い。今回の判決は、こうした手法での変形労働時間制の導入は無効になる可能性があることを示しており、『実務への影響は大きい』。また変形労働時間制の適用が認められなかったことで、1日8時間を超えた労働時間は全て時間外労働となり、判決は、この部分の賃金は全く支払われていないことになると判断した。『変形労働時間制が無効になった場合に残業代をどう計算するか、しっかりとした理屈と共に述べた裁判例は少なく、意義がある』」と評価しました。

「変形労働時間制を廃止にする運動を」

私たち労働組合は、企業が労働者に残業代を払わないで済ませるために、安易な変形労働時間制の導入を見過ごさず、しっかり監視することが重要です。そもそも「変形労働時間制」などは労働者を搾取するための制度であることから、廃止にする運動を展開しましょう。

ー 速報 ー
一昨日、奈良地裁で開かれた裁判のなかで、吉田生コン分会の1名の仲間の解雇撤回を確認しました。
昨日、9月17日より職場復帰することができました。
解雇撤回を勝ち取れたのも、日頃からの多くの方のご支援のおかげです。

1名の職場復帰は勝ち取れましたが、吉田生コン社からの攻撃が終わった訳ではありません。
また、もう一人の仲間の解雇撤回を果たす日まで闘いは続きます。
これからもご支援よろしくお願いします。

吉田生コン分会

 

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ 
PDF

デモクラシータイムス
【竹信三恵子の信じられないホントの話】
ヘイトの後に警察が来た~関西生コン事件
←ココをクリック
関西生コン事件ニュースNo.40 ココをクリック
「関西生コン事件」国家賠償請求訴訟 関連記事
OURPLANET(動画)「労働組合の自由を奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟←ココをクリック
IWJ 国家賠償請求提訴についての記者会見 2020.3.17←ココをクリック
関西生コン労組、違法捜査と国など提訴 執行委員長ら恐喝容疑巡り「長期勾留は恣意的」 2020年3月17日 20:42 京都新聞←ココをクリック

大阪府労委で組合側の完全勝利命令!←藤原生コン運送不当労働行為事件

またもや、組合側勝利命令!←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件

労働組合やめろって警察にいわれたんだけどそれってどうなの(憲法28条があるのに…) 単行本 – 2020/3/6
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)

内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「?関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
アマゾンでも購入することができます。

こちらから