強権的な個人情報の収集を許さない

新型コロナウイルスに対処する新たな武器として、位置情報や行動履歴など一人ひとりのデータを集積する「ビッグデータ」の活用が加速するなか、日本政府は3月末に携帯電話会社やIT大手などに保有データの提供を要請しました。

「ヤフー、携帯電話各社、グーグル」

厚生労働省と協定を結んだ「ヤフー」は、同意を得た利用者の位置情報や購買履歴、検索履歴をスマートフォンのアプリを通じて収集し、それを分析して国や自治体に提供しています。
携帯電話各社は、基地局を経由して集めた利用者の位置情報やGPSのデータを分析した「人口変動データ」を公開しています。
グーグルは、地図アプリ「グーグルマップ」で位置情報の提供に同意している利用者の動きを分析し、「職場」「駅」「公園」など6種類の場所での人の移動の増減を、日本を含む131の国や地域で公開しています。
ヤフー、携帯電話会社、グーグルは時系列で人の流れなどがわかるため、外出自粛の効果の検証やクラスター発生の推測ができることから、店舗の営業時間や公共交通機関の運行などの検討に活用しています。

「LINEの全国調査」

国内で8400万人が利用する通信アプリ「LINE」は厚生労働省とともに、健康状態などを尋ねる全国調査を実施しました。3月31日から4月1日の調査で、約2400万人の回答では、37度5分以上の発熱が4日以上続いていると答えた人が約2万7千人に上ることがわかりました。
発熱者を職業別に分析したことで、密集・密閉・密接の「3密」が避けられない職場では感染リスクが高まる可能性があることが裏付けられました。

「濃厚接触者のデート場所も収集?文書流出、中国当局に批判」

中国・上海で新型コロナウイルス感染患者の濃厚接触者を調査した際に作成されたとみられる文書がSNSに出回り、その詳細すぎる内容に「行きすぎた個人情報の収集だ」と、批判が広がっています。
中国では他にも当局が感染防止対策として収集した個人情報が流出する騒動が起こっており、不信が高まっています。
問題となっているのは、「濃厚接触者についての調査状況」と題された文書。上海で11月9日に感染が確認された患者の濃厚接触者とされた男性に関するものとみられ、10日から中国のSNS「微博」で拡散しました。
文書には男性の氏名、住所、電話番号、身分証番号、身長や体重に加え、自宅の間取りやBMI(体格指数)、恋人の氏名などの情報も記されていました。
さらに男性がデートした場所や日時、銀行でローンの手続きを行ったことなども記録され、マスクの脱着状態についても「地下鉄と銀行では着用、コーヒーショップでは着用せず」などと事細かに把握されていました。
こうした情報は、あちこちに設置されている監視カメラや男性のスマートフォンの位置情報を駆使して割り出したとみられ、SNSには驚きの声があふれました。
上海の衛生当局は「公式資料ではない」としていますが、ネット上では「ウイルス感染の混乱に乗じて、個人情報の収集がここまで常態化していることが恐ろしい」「どさくさに紛れて収集した私たちの個人情報の管理はどうなっているのか」と、当局への不信を訴える投稿が相次いでいます。
河南省開封市でも、感染した小学校教諭の氏名や交友関係、移動履歴がSNSのグループチャットで拡散する騒ぎがありました。
相次ぐ個人情報の流出に、ネット上では「新型コロナ対策の名の下に行われている法的根拠のない個人情報の収集は見直すべきだ」との意見も出ています。(2020年11月14日付朝日新聞面)

「強権的な監視システム」

外国では、政府当局がデジタル技術を活用して市民の行動監視を強めています。
中国は、強権的なデジタル監視システムを駆使し、行政が感染者の行動を追跡するビッグデータ分析チームを設置し、感染者が使った交通機関の便名や座席番号、駅や空港の出入場記録を集めて、行動を割り出しています。監視カメラの映像をもとにしたとみられる分刻みの動きも公表するなどして、73万人以上の濃厚接触者を割り出すなど、「指名手配犯」の様相を呈しています。

「韓国は、電子腕輪の装着」

街中の監視カメラが感染者の行動を追跡している韓国では、クレジットカードの利用履歴やスマホの位置情報を組み合わせ、10分以内で感染者の行動履歴を特定します。自宅隔離中にスマホを持たず出歩く感染者が増えたため、隔離命令を守らない感染者には任意とはいえ「電子腕輪」を装着させているのです。

「自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」

欧州は、個人情報の厳格な保護法制「一般データ保護規則(GDPR)」を定めていますが、イタリアやスペインでの感染爆発で様子が変わりつつあります。
欧州16カ国を含む30ヵ国を対象に、調査会社ギャラップが3月に実施した意識調査では「ウイルスの拡散防止に役立つならば、自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」と答えた人の割合が75%に上りました。

「個人情報の管理には限界がある」

携帯電話会社やアプリ運営会社は、日ごろから利用者の位置情報や買い物履歴などを集め、広告やマーケティングに利用してきました。
携帯電話会社やIT大手企業が保有する個人データを日本政府に提供して活用する仕組みは、感染症対策に応用するとして、行政との連絡のための電話番号の入力などが想定されることから、病歴などの個人情報の目的外利用や漏洩が危惧されます。
専門家や学者は「責任主体の明確化や、政府と関係機関とのデータのやり取りの透明性確保は大前提。その上で、データ利用を監視する第三者機関の設置やデータ保存期間の設定など乱用を防ぐ仕組みの整備が必要」と提案していますが、諸外国や日本国内の例を見ると、個人情報の管理には限界があるのが明らかです。

「強権的な収集を許さない行動を」

新型コロナウイルス感染の流行や大規模災害への対応のため、個人のデータを活用する流れが速まっています。情報量の収集のために、国民に強制するようなことを許してはいけません。私たち労働組合が警鐘を鳴らし、強権的な個人情報収集を阻止するための行動を展開しましょう。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ 

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なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が12月10日発刊される。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
今年も残り少なくなりました。皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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