国連ビジネスと人権の作業部会が関生支部を訪問
国連人権理事会「ビジネスと人権の作業部会」が7月28日、関生支部事務所に訪れ、関生組合員と面談しました。
「国連人権理事会作業部会の訪日と目的」
「ビジネスと人権」に関する国連人権理事会の作業部会が7月24日から初めて日本を公式訪問しました。作業部会の専門家は来日中に、日本政府と日本企業が人権をめぐる義務や責任にどう取り組んでいるかを調査します。
調査にあたる作業部会は、2011年に国連人権理事会で承認された国際的な枠組みである「国連ビジネスと人権に関する指導原則」にもとづいて設立されました。
企業活動による人権侵害を防ぐ取り組みを各国に促すことを目的としています。
今回は、国連人権理事会に委員として任命された人権の専門家5人のうち、タイとナイジェリア出身の2人が調査にあたりました。国連や政府から独立した立場で日本政府と企業の取り組みを調査し、評価します。
作業部会の2人は専門家は、東京、大阪、愛知、北海道、福島などを訪問し、省庁や地方自治体の関係者、市民活動家や労働組合、企業の代表者らと面会したのです。
「関生の訴えを真摯な姿勢で聞く作業部会」
関生支部事務所を訪れた作業部会の2人(専門家と事務官)は、最初に関生組合員からの訴えを真摯な姿勢で聞いていました。そして、作業部会の2人から関生組合員に、いくつかの質問が出され、その質問に答えるというやり取りがおこなわれました。
最後に、関生組合員が作業部会の2人に、勧告の具体的な内容を伝えて面談は終了しました。
「記者会見」
8月4日に開催された日本記者クラブ主催の「国連ビジネスと人権に関する指導原則」についての記者会見では、移住労働者や技能実習生問題、原発労働者の下請け構造による低待遇問題、正規も含めて男女の賃金格差、非正規の7割が女性という問題、雇用主がヘイトスピーチを繰り返すなど韓国人・中国人労働者に対する差別の事例、障がい者、アイヌの人々などの先住民、部落、LGBTQI+の労働問題など、日本の企業と人権について包括的な課題が多角的に取り上げられました。
「関西生コン事件」
記者会見で明らかにされた所見は、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のホームページに掲載されています。「国連ビジネスと人権の作業部会ミッション終了ステートメント」で検索すれば、所見の日本語版を知ることができます。
その7ページ上段に「労働組合-作業部会は日本で、外国人技術労働者を支援する労働組合の間で、積極的な実践が行われているのを目の当たりにしました。しかし私たちは引き続き、労働組合結成に際する困難、さまざまな部門でストの実施を含む集会の自由に対する障壁、さらには労働組合員の逮捕や訴追の事例などについて、懸念を抱いています」。PDF ココをクリック
労働組合について、「さらには労働組合の逮捕や訴追の事例などについて、懸念を抱いています」というくだりは、関西生コン事件のことです。記者会見の内容は、ユーチューブで「国連『ビジネスと人権』ワーキンググループ会見2023.8.4」を検索すれば知ることができます。
今回。訪日した国連ビジネスと人権の作業部会は、来年の6月に報告書を提出します。
世界の人権侵害を防ぎ、国連加盟国の人権順守を支援する国連機関。国連総会での投票で選ばれた47ヵ国が理事国を努める。全加盟国の人権状況を約4年半ごとに審査するほか、個人や団体、NGOからの重大かつ組織的な人権侵害の申し立てを取り上げる。人権侵害が疑われる場合、専門家による調査の機会を設けることが多い。理事会の決議に拘束力はないが、国際社会の意思として重みがある。
関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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ー 公判予定 ー
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検証•関西生コン事件❷
産業別労組の団体行動の正当性
A5判、 143ページ、 定価1000円+税、 旬報社刊
『検証•関西生コン事件』第2巻が発刊された。
巻頭には吉田美喜夫・立命館大学名誉教授の論稿「労使関係像と労働法理」。企業内労使関係に適合した従来の労働法理の限界を指摘しつつ、多様な働き方を基盤にした団結が求められていることをふまえた労使関係像と労働法理の必要性を検討する。
第1部には、大阪ストライキ事件の鑑定意見書と判例研究を収録。
第2部には、加茂生コン事件大阪高裁判決の判例研究を収録。
和歌山事件、大阪スト事件、加茂生コン事件。無罪と有罪の判断は、なぜ、どこで分かれたのか、この1冊で問題点がわかる。
[ 目次 ]
刊行にあたって—6年目の転機、 無罪判決2件 が確定 (小谷野毅)
序・労使関係像の転換と労働法理 (吉田美喜夫)
第1部 大阪ストライキ事件
・関西生コン大阪ストライキ2次事件・控訴審判決について (古川陽二)
・関西生コン大阪2次事件・鑑定意見書 (古川陽二)
・「直接労使関係に立つ者」論と団体行動の刑事免責 (榊原嘉明)
第2部加茂生コン事件
・労働法理を踏まえれば無罪 (吉田美喜夫)
・労働組合活動に対する強要末遂罪の適用の可否 (松宮孝明)
割引価格あり。
お問い合わせは sien.kansai@gmail.comまで。