「広がる新たな闘いの条件。バブル崩壊、ゼネコン疑獄、連立政権時代」

1992年から93年は、日本社会の歴史的転換点となりました。バブル経済の破綻、日米経済摩擦、自然環境の危機、社会の荒廃などによって、日本の戦後体制の骨格をなしてきた経済成長万能主義や大企業神話の崩壊が国の内外で明白となってきました。
大企業本位の経済社会体制の亀裂の中からは、容赦ない大量首切りで労働者を苦しめる赤裸々な資本の理論が躍り出てきました。
さらに、佐川急便、金丸、ゼネコンと続く戦後最大の疑獄事件が、腐敗しきった政・官・財の癒着構造を浮き彫りにしました。
93年7月の総選挙では、国民の怒りと力が長年の自民党一党独裁政治を打ち壊しました。同年8月、政治革新を求める国民の声を反映して、しかし一面では新たな保守体制づくりを狙う支配層の意図を受けて、社会党が参加する連立政権が発足しました。
時代の激変の本質を見抜き、闘いの新たな条件を生かして、連帯労組は89年以来の運動の前進基調を加速させていくのです。

「大型『全国争議』の勝利解決」

運動の大きな前進のさきがけとなったのは、拠点闘争や長期大型争議の相次ぐ勝利解決でした。
1991年12月には、新潟・小杉土建、92年6月には、兵庫・三荒尼崎に続いて、同年11月には、「全国争議」と位置づけて闘った滋賀・灰孝闘争が5年9ヶ月ぶりに、そして、93年5月には、新潟・旭コンクリート闘争が3年6ヶ月ぶりに高い水準で勝利解決をおさめました。
不屈の闘争の勝利は、各地の仲間に限りない勇気と励ましを与え、運動の前途を照らし出しました。同時に、連帯労組の闘争力と組織力の充実を内外に示したのです。

1992年6月1日に解決した三荒尼崎闘争
三荒尼崎分会の勝利解決は、セメントメーカーの労務対策機関・弥生会による1983年以来の労働条件改悪攻撃に決着をつける意義をもちました。
1992年11月18日に解決した灰孝闘争
京都・滋賀の有力生コン業者・灰孝グループとの闘争は、5年9ヶ月かかって勝利解決しました。8人の不当解雇、延べ300人の懲戒処分、3件の刑事弾圧による11人の不当逮捕、組合への35件の損害賠償請求など、空前の組織攻撃に対する総力戦となりました。

「不況はチャンス」

「不況や経済危機は労働側の攻勢のチャンス」春闘も92年、93年と引き続き高レベルの賃上げや制度要求を勝ち取り、沈滞ムードの他労組とは好対照となりました。
経済成長や企業利益の成果配分を要求する企業内労働運動の限界を突破し、差別なき適正賃金・労働条件を実行できる業界構造への変革を求めた諸活動の成果です。
一方、続出する倒産・閉鎖企業において労働組合主導による自主管理・自主生産の取り組みも急速に進展しました。「企業はつぶれても労働組合が強固な限り大丈夫」との共感が広がりました。

「巨大銀行の責任追及で勝利。三立電機闘争が新たな運動モデルに」

1989年2月から94年6月の三立電機闘争は、連帯労組の新たな躍進の時代を告げる闘いとなりました。
日本一の巨大銀行・第一勧銀を単なる背景資本にとどまらず、争議の当事者と位置づけ、全国14都府県で集中行動を展開。幅広い労働組合の共闘と国会をはじめ自治体議員団の支援を得て、質の高い勝利解決おさめました。

「大企業支配の終わり『産業民主化』で労働者・中小企業主導型経済へ」

「ヤミ献金の構造根絶へ政策提起」時代の大きな流れは、少数の強者が大多数の国民や民族を支配する体制の終わりを告げています。経済や社会のしくみでいえば、大企業中心の体制から労働者・中小企業主体の産業構造へと転換すること、つまり産業の民主化、業界の近代化が求められているわけです。
この歴史的流れを先取りして、連帯労組は新たな環境のもとで力強く政策闘争を展開しました。
ゼネコン疑獄の発覚後、ただちに問題の本質を解明し、疑獄を生み出す産業のしくみを変革する政策方針を各方面に提言。行政、業界、大手ゼネコンにその実行を求める運動を進め、労働者の共感を集めています。
1994年2月、五十嵐建設大臣との交渉では、重層下請け構造により労働者の賃金が合法的にピンハネされ、ヤミ献金の原資となっていることを指摘。大臣から「(組合の提起を踏まえて制度を)改善していきたい」との回答を得ました。
94年7月10日・11日には、建設産業政策研修会を開催。同年9月22日には、野坂建設大臣との交渉など旺盛な運動を展開しました。

「生コン産業の危機突破。業界再建へ労働組合・中小企業が大同団結」

構造的危機による倒産や企業閉鎖が続出する生コン業界。連帯労組・関生支部は1992年、もっとも矛盾の集中している近畿地方をモデルに取り上げ「業界再建に向けた緊急政策」を発表。労使の共通課題として取り組むことを、工業組合・協同組合、各企業に求めると同時に、関係行政と交渉を重ねました。
連帯労組・関生支部の政策提起は関係者の共感を広げ、94年春、中小企業の大同団結、労使の協同事業、労働組合間の共闘など業界新秩序確立への画期的なうねりが始まりました。
関係労働組合の全国的ネットワークも展望して、94年5月には「セメント・生コン政策全国研究集会」を開催しました。

「『お上』の横暴許さず。注目集めた東候物産闘争」

活気ある運動と頼もしい組織力。そんな連帯労組に期待を寄せるのは、労働者だけではありません。中小企業から持ち込まれる相談にも、国や大企業の不正や横暴と闘うという一致点にもとづいて、全力で解決に努めてきました。
その代表例が、東候物産闘争です。本州と四国結ぶ橋、本四架橋にともなう国・公団・神戸市の理不尽な道路計画によって、中小企業36社の営業権と2000人の労働者の雇用と生活が破壊されようとしていました。
連帯労組、労働者、中小企業の共闘で土地強制収用反対期成同盟を結成。1993年12月12日に、500台のミキサー車やダンプで自動車パレードを敢行し、立ち退きを迫られる現地に結集(500台の自動車パレードはテレビで放映された)するなど、集中した共同行動で強制収用をストップさせ、対等な対話による解決を確認しました。この画期的な成果に各界から熱いまなざしが寄せられました。

「社会の民主化へ。求められる労働組合の役割を自覚」

政治の革新を裏づけるものは社会の民主化であり、労働組合はその担い手として期待される存在です。
住民との対話や納得を得ずに強行される大規模公共工事の見直し。日本の侵略戦争によって朝鮮、韓国、アジア諸国から強制連行した人々への謝罪と戦後補償を求めて、1994年6月国会前の座り込みを。同月PKO反対で衆議院面会所に座り込むなど、軍事大国化と有事立法制定の企みをストップさせ、在日朝鮮・韓国人らへの差別と排外主義と闘い、民族共存を実現することなど、連帯労組は積極的に参加してきました。

「魅力ある組織へ」

魅力ある組織づくりを目的に、組合員・家族の期待にこたえ、未組織労働者の駆け込み相談にも即応できる体制づくりが進んでいます。

この間の「関生支部の歴史」1~6回は、1994年12月30日発行の「連帯10年」から編集しました。

滋賀 恐喝未遂事件
第8回 公判
日時:2019年2月7日 10:00~12:00
第9日 公判
日時:2019年2月22日 10:00~17:00
場所:大津地方裁判所
大阪 威力業務妨害事件
第1回 公判
日時:2019年2月1日 13:30~
場所:大阪地方裁判所 大法廷 201
滋賀 大津生コン協組 威力業務妨害事件
第1回 公判

日時:2019年2月28日 11:00~12:00
場所:大津地方裁判所

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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明日1月30日出版!
ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…) 単行本 – 2019/1/30
連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
内容紹介
レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
いま、まっとうな労働運動に加えられている資本による攻撃と「共謀罪のリハーサル」ともいえる国家権力による弾圧の本質を明らかにする!
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