2月14日、フォーラム平和・環境・人権をはじめ全日本港湾労働組合、全国一般労働組合全国協議会、全国コミュニティ・ユニオン連合会と全日本建設運輸連帯労働組合の代表者と数名の弁護士で、大津地方裁判所、滋賀県警本部、大津地方検察庁に要請書を提出しました。

今回の事件(平成30年わ第417号事件、および平成30年わ第445事件)は、関生支部がおこなった組合活動を、滋賀県警組織犯罪対策課が刑事事件に仕立て上げたきわめて悪質な労働組合弾圧事件です。
建設現場における施工業者の違法行為を調査して、行政機関等に告発したり、直接施工業者に是正を申し入れること さらにはその事実をビラにして配布するなどの活動は、建設現場ではたらく労働者や近隣住民の安全と安心を守ると同時に、建造物の品質確保を実現することを目的とした、産業別労働組合としてはごく当たり前かつ正当な組合活動にほかなりません。
いうまでもなく憲法28条は団結権、団体交渉権、団体行動権の三権からなる労働基本権を保障しており、労働組合法第1条2項は労働者の社会的地位向上や労働条件改善等を実現するための正当な組合活動を刑事罰の対象としないと定めています。本件における滋賀県警と大津地検の捜査・起訴は、これら憲法・労働組合法の根幹をないがしろにするものであり、私たちは到底容認することはできません。
滋賀県警は今月5日にも、ビラまきをした組合員を15人も逮捕したうえ、今後もさらなる逮捕、追起訴を公言しており、捜査そのものが労働組合の存在を敵視し、破壊することを目的とした不当なものだということを示しています。

大津地方裁判所

不当逮捕を許可した裁判所の責任も重大であり、すでに起訴して裁判がはじまっている武委員長ら組合役員と組合員を不当に勾留しつづけることなど、司法による重大な人権侵害である。そして、組合つぶしを意図した滋賀県警と大津地検の政治弾圧に司法が加担するもである。

○滋賀県警の不当な逮捕令状請求については、憲法28条および労働組合法第1条2項に照らして許可しないようにされたい。
○勾留中の関生支部役員らに対する接見禁止をただちに解除するとともに、速やかに保釈を許可されたい。
○すでに起訴された被告らの裁判については、憲法2 8条および労働組合法第 1条2項に照らして迅速かつ公正な裁判をおこない、速やかに無罪判決を下されたい。

滋賀県警本部

一連の事件における滋賀県警組織犯罪対策課の捜査は、これら憲法・労働組合法の根幹をないがしろにするものであり、私たちは到底容認することはできない。
滋賀県警は今月5日にも、ビラまきをした組合員を15人も逮捕したうえ、今後もさらなる逮捕を公言しており、捜査そのものが労働組合の存在を敵視し、破壊することを目的とした不当なものだということを示している。

○憲法28条および労働組合法第1条2項を遵守し、関西地区生コン支部の正当な組合活動を敵視することをただちに止め、異常な弾圧を中止されたい。

大津地方検察庁

滋賀県警は、組織犯罪対策課が担当して捜査をしている。犯罪的な活動を行う暴力団など捜査の対象にする課である。その部署が労働組合を捜査することは異常な事態である。まさに国策捜査である。
検察庁は、警察の行き過ぎた捜査を抑制し、警察の捜査を正常化させる機関である。そんな検察が警察の捜査を拡大したり、支援することはおかしい。
いま裁判所は、捜査機関の捜査の行き過ぎをチェックできる状態でないなかで、異常事態を抑制して是正させるのは検察の仕事である。この間の違法な捜査を是正していただきたい。

○本年2月5日に滋賀県警が不当逮捕した15人の組合員については、起訴せずに速やかに釈放されたい。
○さらなる逮捕、追起訴は、正当な組合活動と関生支部の存在を敵視し、破壊することを目的にしたものにほかならないので、ただちに断念することを表明されたい。

その後、記者会見が教育会館で行われた。

全日建中央本部小谷野書記長

昨年8月から現在までの不当弾圧について説明された。湖東生コン事件(恐喝未遂19人逮捕)大津協組事件(7人逮捕)。そのほかにも関生支部に対する不当弾圧は述べ55人の組合役員と組合員が逮捕された。ひとつの地域のなかで労働組合にかけられた不当弾圧では、この四半世紀で最大のものであり、不測の事態だと考えるとのべた。

平和フォーラム平和・環境・人権

関生支部にかけられた不当弾圧は、人権を脅かす課題であり見過ごすことはできない。これからは全国的に運動を展開するために参加した。
関生支部を狙い撃ちにした、警察権力・検察権力、裁判所が一体となった労働組合に対する不当弾圧であり労働組合つぶしに匹敵する行為である。
労働三権は憲法で守られている権利であり、不当弾圧は労働組合として命が脅かされるような問題であり、非常に憤りを感じている。特に、憲法28条および労働組合法第1条2項でも謳われている「労働組合の活動は保証され、刑事罰にはならない」とされているが、今回、3つの権力が介入してきている。本来、法を守り法に従わなければならない3つの権力は法を踏みにじり、労働組合に介入し弾圧を仕掛けていることを見過ごすことはできない。
一連の事件は、昨年12月のストライキが発端。ストライキは、労働組合の組合員の賃金労働条件を向上させることと協同組合の民主的な運営を求めたものである。この間、中小零細企業の集まりである協同組合を立ち上げ、セメントメーカーや大手ゼネコンに抑圧された業界を立て直すために、労働組合が協力した。そのことによって、生コンの価格を上昇させることに成功し、段階的に賃金の向上させていくという約束を反故にし、長年にわたり協議を重ねてきたが据え置かれてきた。そためのやむにやまれずストライキに突入したということが経緯である。
また、現場における法令が守られていなかったり、そのことによって建物の品質が保てなくなるなどの行為に対して、労働組合としてしっかり摘発し、改善を求めていきことが、建設産業に携わる労働組合の使命である。建設現場の安全確保や建設現場の品質確保、建設基準を守らせていく行動を行ってきた。この活動に取り組んでいる労働組合に弾圧を仕掛けることは本末転倒である。直ちに逮捕された組合役員と組合員の釈放と無罪を勝ちとるために、全国的に取り組む。
この不当な弾圧の実態をマスコミの方に取り上げてもらいたい。

全国コミュニティ・ユニオン連合会

中小企業では独裁的な経営者などと衝突することがあるが、労働組合として適正に権利を行使していく手段として、ビラまきや親会社・関連企業に対して申し入れやトラック産業であれば荷主などにも申し入れを行う。労使関係のなかで解決できない問題があればこのような労働運動も必要となってくる。社会的に訴える手段を、威力業務妨害とでっち上げて、組合員を次々逮捕している。このことを聞いたとき驚きと同時に危機感を感じた。
今回の事件は、大阪・滋賀をきっかけに日本中に広げようとしている捉えて、注目している。
警察の逮捕する姿を見て労働組合に対する扱いではなく、暴力団に対しての扱いであるとしか言わざるを得ない。異常な状態である。
今回の事件を警察・検察・裁判所どのように扱うのか全国の労働組合が関心を持っている。
労働組合に対して弾圧がこのように行われている滋賀・大阪は治外法権のような状態になっているのではではないのかと危惧する。
労働組合の権利は世界中に圧倒的多数認められている。その権利を認められない。また、その権利を行使すると逮捕されるという異常な事態になっている。

永嶋弁護士

大阪に事件はストライキ行動を、威力をもって業務を妨害したとする威力業務妨害。滋賀の事件は、工事現場の法令違反の指摘や会社周辺にビラをまくことで恐喝・威力業務妨害とされている事件である。いずれも労働組合が憲法で保障された権利の侵害である。
憲法28条は、団体で行動することを保証するもの。組合が団体で行動したことが事件にされている。
取調官に、「自分の企業だけで労働運動をしていれば良い」などと言われている被疑者がいるが、生コン産業のミキサー乗務する労働者の七割は日々雇用労働者(非正規)である。雇い主も中小零細企業である。労働者の賃金労働条件を守るためには、団体行動権が必要である。
ゴーンさんの事件を例えに出すと、最初の事件で逮捕、起訴されてから間を開けずに次の事件で逮捕された。40日ほどの勾留で世界中が大騒ぎし、取り調べには弁護士が立ち会えないだけでも問題とされている。今現に逮捕されている組合員は、起訴されてから3ヶ月経ってから追起訴・逮捕拘留されている。さらに検事は追起訴を考えていることをほのめかしている。証拠隠滅の恐れがあるから保釈がきかない。そして証拠隠滅の恐れがなくなった来た頃になくなった頃に滋賀県警と大津地検は次の逮捕しようとしている。異様な捜査と裁判が繰り返されている。法廷で裁判官が「次の追起訴はいつですか?」の質問に検察側が「3ヶ月先」と答えるなど異様な裁判である。
昨年の8月の逮捕と今年の2月に逮捕された事件は同一の事件である。8月に逮捕された事件の操作が進行して、企業側の人で判決が確定している人もいる。逃げる恐れや証拠隠滅する恐れがあるといって勾留を続けている。捜査の進め方、起訴の進め方は極めて異様な事態で進行している。このことをマスコミの皆さんには注目してもらいたい。

全国港湾労働組合

日本の労働組合は、ほとんどが企業内労働組合である。自動車産業でも日産は日産の企業内労働組合でありトヨタはトヨタの企業内労働組合であり、各企業ごと賃金労働条件が違う。全港湾と全日建連帯労組は、このような企業別労働組合を克服するために産業別労働組合を確立するために運動を進めてきた労働組合である。港湾の場合は北海道から沖縄まで港で働く労働者を中心に組織している。
関生支部は、関西一円の生コンの労働者を中心で組織している。
中小零細企業である生コン産業は、生コン価格を決められない狭間産業であり、生コン価格が下がれば賃金労働条件を引き上げられるような企業基盤がない。このことから、労働組合として、価格の安定や競争が起こらないように中小企業を協同組合に束ねる政策を打ち出した。協同組合と労働組合の連合体で産業別の労働条件を確定することに取り組んできた。これまで9000円代の生コン価格がここ2年間で15000円代まで上昇させることができた。生コンの価格の値戻し・値上げが成功したら、セメント輸送運賃や生コン輸送運賃の値上げを約束していた。その約束を反故にされたのでストライキに突入した。
産業別の労働運動として、労使関係のない職場にも抗議の声を上げる運動を展開してきた。このことを威力業務妨害に当たるとしている。同一賃金同一労働を掲げ取り組むことが産業別労働運動である。当たり前の労働運動に対しての弾圧は、これからの労働組合に広がることをおそれている。

記者質問
Q:これまでコンプライアンス活動を正当な労働運動と認める判例があったのか?
A:民事事件であるが、コンプライアンス活動について「違法ではない」という判例があり、企業が違法な威力業務妨害に当たるので差し止めを求めたが、裁判所は、社会的に相当な行為であるので違法ではないという判決が出ている。Q:今回の事件で罪の軽い罪に問われているにもかかわらず勾留期間が長い事件などはあったのか?
A:威力業務妨害や恐喝未遂事件ではありません。

質疑が終わるまでの間に、一斉に記者が会場を飛び出そうとしていたので確認したところ、滋賀県警の不祥事が起きたらしく現場に向かうとのことだった。