社会的連帯経済の確立を目指して行動しよう
アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)協定が2020年11月15日、署名されました。
自由貿易協定(FTA)の一種であるRCEPは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国で構成する巨大なFTAで、世界のGDP(国内総生産)と人口の約3割を占めます。

「インドが離脱した理由」

当初、RCEP協定の交渉に参加していたインドが離脱した理由は、「農産物や工業製品の自由化によって農民や労働者が打撃を受ける」「医薬品や種子の特許権の強化は、農民から種子を奪い、貧しい人々から医薬品を取りあげる」と、国内から強い反対の声があがったからです。

「日本が加害国になる恐れ」

TPP(環太平洋経済連携協定)は、多国籍企業の要求に沿った「自由化」や「特許権の強化」が盛り込まれているなど、新自由主義の市場原理主義を後押しする最も悪質な協定です。
RCEPでは、「知的財産権」と「投資家と国家の紛争解決規定」(ISDS)が交渉で問題になっていました。TPPに並ぶ知的財産権が導入されれば、インドが離脱した理由の一つである「医薬品や種子の特許権の強化は、農民から種子を奪い、貧しい人々から医薬品を取りあげる」ような問題が現実化し、農家に打撃を与えることになります。
投資家が国家を訴え、多額の賠償金を獲得することを可能にする条項が「ISDS」です。
日本はTPP並の規定を迫りましたが、国境なき医師団やアジア各地の農民が強く反対したことから、「知的財産権」と「ISDS」の導入は見送られました。
日本政府が今後も、知的財産権とISDSの導入に向けた意欲を示していることなどから、ISDSは「継続協議」に、種子は「玉虫色」の決着となり、火種は残ったままで、日本がアジアに対して「加害国」になる恐れがあります。

「野菜や果実の関税撤廃」

「米などの重要品目は守った」「国内農業への影響はない」と日本政府は宣言し、重要品目については、関税削減・撤廃から除外するとされていますが、さらなる自由化のための見直しを5年ごとに行うことがRCEP協定に明記されていることから、将来も除外される保証はないのです。
野菜や果実については、冷凍枝豆、キウイなどの関税を撤廃し、キャベツ、トマト、アスパラ、ゴボウなどは中国に対して撤廃を約束しましが、日本の野菜輸入先で第1位の中国は「日中韓FTA交渉の促進」を主張していることから、野菜や果実のさらなる関税撤廃に追い込まれる危険性があります。

「超巨大なFTAを推進する菅政権」

菅首相はRCEPに続いて「アジア太平洋自由貿易圏(FTAPP=エフタープ)の実現をめざす」と宣言しています。アメリカ・中国・ロシアを含む21カ国の「FTAAP」は世界貿易額の5割、GDPの6割を占める超巨大なFTAです。
具体的実効性のある経済政策を何ら示せない菅政権が、超巨大なFTAを推進するのは危険です。

「社会的連帯経済、共生・協同の社会づくりを目指した行動を」

新自由主義が破たんを迎えている昨今、持続可能な経済と社会の安定ために、グローバル化から脱却し、健全な経済活動や食料の主権を優先する政策が最も必要なことが、コロナ危機によって示された教訓です。
社会的連帯経済の確立と共生・協同の社会づくりを目指して、私たち労働組合が先頭に立ち、市場原理主義の経済を推進する時代遅れの菅政権を退陣に追い込む行動を展開しましょう。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

ハーバービジネスオンライン
「関生事件」が揺るがす労働基本権
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関西生コン事件ニュースNo.50  ココをクリック

なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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