医療従事者の過酷な実態を改善するために
新型コロナウィルスの感染者が増えている医療現場では、マスクや防護服も足りないなか、長時間労働で医師や看護師らの過労死が懸念されています。その背景には感染症対策に必要な準備をせず、人手不足を放置してきた政府の責任があります。
「医師や看護師らの過酷な現状」
医療従事者の産業別労働組合「日本医療労働組合連合会」森田しのぶ中央執行委員長は会見で、「マスクは1週間か2週間に1枚。防護服もなく、いわれのない誹謗中傷や差別はなくならず、不安から退職を考える人も出ており、看護師や介護職員らの厳しい状況は悪化している」と訴えています。
日本医療労連の調査では「患者への対応に通常の倍以上の人員が必要で、妊娠中の人まで夜勤が必要とされているところもある。多くの差別やハラスメント被害にあっても、医療従事者は直接反論しにくい」などが報告されています。
医師の長時間労働は以前から問題になっており、厚生労働省の調査によると、勤務医の4割が過労死ラインである月平均80時間超の時間外勤務を強いられていました。また、医師が労働者として扱われず、無給や安い報酬で働かされていることも問題となっています。
医師が個人で加盟する「全国医師ユニオン」の植山直人代表は、「医療従事者の過労死が増える可能性がある」と警鐘を鳴らしました。
「医師や看護師、病床や報酬も減らした」
日本の医師数や看護師は主要7ヵ国で最も少なく(OECD)、大規模な病院における感染専門医も適正数の半分で大きく不足しています(日本感染症学会)。
政府は感染症の病床も減らしてきました。感染症病床数は2018年10月時点で、1998年の病床数と比べて5分の1まで減っており(厚生労働省の医療施設調査)、医療界も「供給過剰になる恐れがある」などどとして医療抑制に同調してきました。
感染症対策には施設の整備や資材の確保など費用が必要なのに、政府は病院の収入の基準となる診療報酬も抑えてきました。
専門家は、経済界の意向もあって診療報酬を抑えてきたことで、危機に弱くなったと指摘し、「普段からお金をかけていないと危機時に医療が崩壊し、経済が大ダメージを受けてしまうということが今回の教訓だ」と話します。
「政府は放置してきた」
感染症対策の必要性がわかっていたのに、政府は事実上放置してきました。総務省行政評価局は「国際的に脅威となる感染症に十分な注視が必要」だとして、厚労省に課題を指摘し、調査のうえ改善するように2017年12月に勧告しました。
感染症患者は、国や都道府県が指定する一定の条件を満たした医療機関に入院する決まりがあるのに、行政評価局の調査では、指定医療機関の医師や病床数の不足や、院内感染対策が不十分なケースが多数あったのです。厚労省は実態調査をしているとのことですが、結果の報告がありません。
「団結して闘い要求を実現しよう」
このように、政府は医療費を抑えるためなどとして、医師や看護師を十分増やしてこなかったことや、感染症対策に不備があることもわかっていたのに、対策が遅れたことが、医療従事者の過酷な労働と医療崩壊の危機を招いたのです。
常日頃から非常時の準備を整えておくことが重要なのに、新自由主義的な発想で、「無駄」としてカットするやり方が通用しないのが、今回のコロナショックで、はっきりしました。厚労省が「無駄だから」として減らしてきた保健所や病床が必要なものだったことが明らかになったのです。
テレワークのできない、現場での仕事は低賃金の労働者が多いことから、格差の改善が必要です。貧しい人ほど感染のリスクが高く、そこから感染が広がり、社会全体の問題になるからです。
これらの問題を解決するためには、医療現場の労働者が団結して改善を求めて闘うことが必要です。労働者の団結と具体的な行動を展開して要求を実現しましょう。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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公判が日程変更や中止になっています。確認お願いします。
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)
内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
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