残業規制のしわ寄せを管理職に負わせるな

残業規制のしわ寄せを管理職に負わせるな

コロナ騒動の陰で、安倍政権の「働き方改革関連法」のメインである「残業時間の上限規制」が4月から本格的に施行されました。残業時間の上限規制は月45時間・年360時間と定めており、今年4月からは中小企業にも適用され、違反すれば罰則もあります。一方、労働現場では、中間管理職が部下の働き過ぎを防ぐ使命と減らない仕事の間で板挟みになり、部下のかわりに仕事を抱えて過労に陥るなど、中間管理職の過労死が懸念されます。

「管理職の仕事量が増えている実態」

人材派遣の大手企業が昨年、大企業で残業時間の上限規制が始まった2019年4月以降の残業時間を中間管理職に尋ねたところ、約60%が「変わらない」と答え、「増えた」との回答が10%以上ありました。
部下の残業削減の影響を尋ねると、30%超が「仕事量の増加を感じる」と答えたことから、「従業員の業務負担の一部を、管理職が負担していると推察される」とみています。

「管理職の過労死が、加速する」

労働問題に詳しい笠置裕亮弁護士は、「日本の中間管理職は、自分の現場業務を抱えながら部下の面倒もみる『プレイングマネジャー』型が多いとされ、ただでさえ働き過ぎに陥りやすい構図があり、『残業規制の影響で部下に長時間労働をさせれば自身の評価に響くようになり、やむなく部下の仕事をかぶるケースも増えている』『もともと脳や心臓の疾患による過労死は40代以上の管理職に多く、この傾向に拍車がかかりかねない』」と残業時間の上限規制の負の側面を指摘しています。

「名ばかり管理職」

「管理職にしわ寄せがいきがちな背景のひとつには、経営者と一体的な立場にある労働基準法上の『管理監督者』であれば、働き方に裁量があるとして労働時間規制が緩められており、残業規制の対象からも外れてしまうことがある。そのため働き方改革関連法の施行に伴い、管理監督者であっても、労働時間は客観的な方法で把握しておくことが事業主に義務づけられた。しかし、実態は『大企業でさえ、管理職はおざなりな記録しかないことも多い』のが実情」
「管理監督者とは言えないような『名ばかり管理職』が、管理職に名のもとに残業をかぶるなど厳しい働き方を強いられている場合も多い。『管理職の命を守るためにも、経営側は全ての働き手の労働時間をしっかりと把握したうえで、過重な負担を抱えている場合は速やかに業務量を調整するべきだ』」と問題提起しています（笠置裕亮弁護士）。

「労働組合の役割が求められる」

一般社員の残業を減らしても、職員が回らなければ、結局は管理職の負担が大きくなるのは、ほとんどの中小企業に共通します。
中小企業では、労務管理を経営側に任せるだけでは不十分です。管理職を含む労働者の命と権利を守るためには、職場の点検を労働組合が担うことが重要です。労働組合が全労働者の利益代表者と位置づけ、役割を果たしましょう。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ　
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大阪府労委で組合側の完全勝利命令！←藤原生コン運送不当労働行為事件

またもや、組合側勝利命令！←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件

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