個人事業主が労組結成、雇用制度を勝ち取る

楽器大手ヤマハの子会社で全国で英語教室を展開する「ヤマハミュージックジャパン」の講師たちが、労働組合を結成し、会社と交渉した結果、雇用制度を導入する方針を組合側に提示するという成果を勝ち取りました。
講師たちは会社の指示で社員と変わらない働き方をしながら労働者の権利を持たない「個人事業主」です。個人事業主が労働者として雇用される道を切り開いたのです。

「個人事業主の講師たちが労働組合を結成」

講師たちは「ヤマハ英語教室」で働き、会社と1年更新の委任契約を結び、教材の選定や勤務の時間や場所などについて会社の指揮命令を受け、働き方の裁量はほとんどないのに、労働者として扱われないため休業補償や最低賃金などの制度が適用されません。
不安定で法的保護も受けられない状態の改善をめざし、一部の講師が2018年、「ヤマハ英語講師ユニオン」を結成。実態は労働者であることから、雇用契約の締結を求めて団体交渉に臨み、今年2月、会社側から21年度中を目標に講師らと雇用契約を結ぶ制度を導入する基本方針が文書で伝えられました。現在、講師全員と雇用契約を結ぶよう会社側と交渉を続けています。

「名ばかり事業主の労組が要求を実現した」

約1200人いる講師全体の約1割が加入する労働組合「ヤマハ英語講師ユニオン」の執行委員長の清水ひとみさんは、「今年2月、10回目となる団体交渉で会社側が組合側に示した『基本合意書案』に、雇用方針が明記された。労働法なんて知らない『素人集団』が訴え続け、やっと会社が重い腰を上げた」と、1年余りの交渉を振り返り、「雇用が実現する見通しになったのは前進だが、名ばかり事業主は他にもたくさんいるはず。働き手が一方的に損をしない環境づくりにつながれば」と語りました。

「個人事業主、その実態は雇用労働者」
清水さんは大阪府内などの教室で20年以上講師として指導してきました。会社からは、教材やCDを指定されたりレッスン30分前に到着するよう求められたり、毎月の勉強会や定例会議の出席を求められていました。
源泉徴収票に「給与所得者」とあるのに、長時間働く同僚の講師でも厚生年金や雇用保険の保険料が差し引かれていないのが不思議だったことなど、同じ疑問を持った講師仲間が2018年に労働局に相談すると、「あなたたちは労働者じゃありません」と返答され、労働者としての権利を持たないまま働いていたことを知り、「労働者として認めてほしい」と強く思ったそうです。
講師仲間と一緒に弁護士に相談すると、労働組合の結成を勧められ、わずか10人あまりの講師たちで2018年12月、大阪府寝屋川市の貸会議室で結成大会を開催。労組の基礎知識を独自で勉強し、労組結成と団体交渉を求める通知書を会社に送ったのです。団体交渉では、会社側の役員や管理職らと向き合い、役員らの発言を一字一句メモし、「前回はこう言いましたよ」と突きつけながら交渉を重ねてきました。

「コロナ感染拡大で、組合員が急増した」

新型コロナ感染拡大を受けて教室は3月ごろから休講。雇用契約なら少なくとも6割の休業手当を受けられるのに、「個人事業主」だとする会社側からは、2月分の報酬のたった2割の「見舞金」が一度だけ支払われたのみ。新型コロナ感染の拡大で、自分たち「名ばかり事業主」の立場の弱さを痛感したと。
個人事業主向けの「持続化給付金」も、事業主とはみなされず対象外となる可能性が高いことなどから、新型コロナの感染拡大で今後の生活に不安を抱く講師の間で支持が広がり、2月時点で約80人だった組合員は現在、140人まで急増したそうです。

「団結することで得られた成果」

私たちの先輩たちは、法的な権利や保護を受けられない、請負や個人事業主など「名ばかり事業主」の働き手を集めて労働組合をつくり、団体交渉と団体行動を展開して要求を実現してきました。
今回のように個人事業主が労働組合を結成し、会社との団体交渉で雇用制度を勝ち取るという、まっとうな労働者が団結して闘い、個人事業主という不安定な働き方を改善させたことに、私たちは改めて学び、実践することが必要です。
労働基本権の重要性を再認識し、産業別、業種別、職種別の労働組合運動を展開しましょう。まっとうな労働者は、闘う手段と方針を望んでいます。今こそチャンスです。労働組合の必要性を訴え、組織を拡大しましょう。

※ 名ばかり事業主
会社側と委託契約や請負契約などを結び、自分の裁量で働く「個人事業主」として扱われながら、実際は勤務場所や時間、仕事の進め方などを会社に管理された働き手。労働基準法や最低賃金法の対象外とされ、労災など各種保険の適用や長時間労働の規制、残業代支給など労働者としての法的保護が受けられない。

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