婦人保護事業-学んだことを実践しよう

GHQ(占領軍総司令部)の「公娼廃止に関する覚書」により、国家が売買春を管理する「公娼制度」が、1946年に廃止されました。ところが、日本政府は買売春制度の実質的な存続を図り、地図上に赤線で囲まれた一定地区(旧遊郭街が姿を変えた「特殊飲食店街」)で、「私娼」が売春を行うことを黙認しました。

「赤線解散式が実施された」

女性たちは、「個人の自由意思で売春を行う」者と見なされ、日本社会の婚姻制度を守る「性の防波堤」として「性的搾取」にさらされました。その「赤線(集娼地域)」が、1958年の売春防止法完全施行を前に進められた業者の転廃業によって解散することになり、「赤線解散式」が実施されたのです。

「婦人保護事業の始まり」

しかし、赤線が解散しても街角に立つ、「闇の女」と呼ばれた女性たちは多く、業者は「風俗営業」として息を吹き返します。彼女たちは親の死別や離別、暴力被害、家族関係の悪化、貧困、病気など様々な困難を抱えていました。その「闇の女」を「婦人福祉施設」に「収容保護」して、帰郷や結婚、就労させたのが、「婦人保護事業」の始まりです。

「処罰だけでなく『救済』も必要だとした」

売春防止法は、売春・買春とも禁止ですが処罰しません。売春あっせん業者と街角で売春を勧誘した者だけが「売春助長行為」として刑事罰の対象となります。
売春防止法は売る側だけを処罰することによって売春防止を図る刑事法です。しかし、貧しさや孤立を背負った女性たちには、処罰だけではなく「救済」も必要だとつくられたのが婦人保護事業でもあるのです。女性たちは「要保護女子」として「保護更正」の対象となりました。

「婦人相談員たちの活動」

東京都新宿区で婦人保護事業草創期から30年以上婦人相談員を務めてきた兼松佐知子さんの著書『閉じられた履歴書』(1987年)には、新宿2丁目で行われた「赤線解散式」の様子が描かれています。
1956年の売春防止法に伴い、1957年1月、東京都内の福祉事務所に配置された42人の婦人相談員の一人が兼松さんでした。兼松さんは「婦人相談員たちは相談を呼びかけるも、返ってきたのは女性たちの冷ややかな視線だけだった」と語ります。

 

「学習したことを実践しよう」

私たち労働組合は、婦人保護事業をテーマにして、その背景や本質を学ぶことが必要です。学習の実践と具体的な行動で、改憲と戦争政策を推し進める菅政権を打倒しましょう。

戒能民江(かいのうたみえ)さんのお話しを参照しました。
戒能民江さん-お茶の水大学名誉教授、厚生労働省「婦人保護事業等の課題に関する検討会」座長、ジェンダー法学、女性に対する暴力研究。著書に『婦人保護事業から女性支援法へ-困難に直面する女性を支える』

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「関生事件」が揺るがす労働基本権
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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20

業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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