浪速建資産業闘争、大阪市へ「申入書」を提出

連帯ユニオン関西地区生コン支部・北大阪Bブロック(連帯・関生支部)は9月7日、大阪市・松井一郎市長に対して、「不当労働行為企業に対する大阪市、地方行政指導と措置について」と題した申入書を提出しました。

「担当課の職員は、丁寧で真摯な姿勢で対応した」

当日は、連帯・関生支部の北大阪Bブロック組合員・ナニワ生コン分会長とN執行委員、武谷書記次長の3人が、大阪市・松井一郎市長に宛てた「申入書」を担当課の職員に提出しました。
コロナウイルス感染対策を施したテーブルでは、大阪市・契約管材局制度課の職員3人が対応。北大阪Bブロック組合員・ナニワ生コン分会長とN執行委員、武谷書記次長の申し入れの趣旨説明に対して、申入書の項目を質問して確認するなど、職員らは真摯な姿勢で応対してくれました。
職員らは、私たちが提出した申入書に対して、「1ヵ月後に文書で回答する。回答書は直接、手渡しする」と約束してくれました。
また、職員らは、「回答書を労組に提出した後、労組からの申し入れがあれば、回答書についての団体協議を大阪市役所内で行う」と説明してくれました。
コロナ禍のなか、忙しいなか、時間を取って私たちに真摯に対応してくれた、大阪市・契約管材局制度課の職員のみなさんに感謝します。
本日の申し入れ行動に賛同して、申入書に連名していただいた、多くの労働組合に感謝します。

浪速建資産業闘争とは
「不当労働行為企業と認定された」
大阪市東淀川区に所在する、浪速建資産業社が、連帯・関生支部の組合員を不当に解雇した事件について、大阪府労働委員会は昨年、「懲戒解雇を撤回し、現職復帰させること。団体交渉に応じること」などと命令し、労働組合法に違反する「不当労働行為企業」と認定しました。
ところが、浪速建資産業社の経営陣(ナニワ生コン社と同じ経営者)は、現在においても、大阪府労働委員会の命令を履行しない態度をとり続けています。

「大阪広域生コン協組の労働組合つぶしが背景にある」

大阪府に所在する生コン企業の100%近くが加盟する「大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域生コン協組)」が、2018年から始めた「労働組合つぶし」が背景にあります。
浪速建資産業社と連帯・関生支部は、長年、円満な労使関係を築いており、労使が協力して展開する「生コン産業政策運動」を推進し、生コン価格や輸送運賃の適正化が実現したときには、労働組合が要求している「非正規の正規化など労働条件の改善」を約束していた企業でした。
ところが、大阪広域生コン協組の執行部から「労働組合つぶし」の協力を強くもとめられ、圧力をかけられた浪速建資産業社の経営陣は、連帯・関生支部の組合員を解雇したのです。
しかし、大阪広域生コン協組の労働組合つぶしが背景にあるとしても、大阪府労働委員会から不当労働行為が認定され、命令が出されたことについて、真摯に受けとめ、速やかに命令を履行することが、浪速建資産業社の経営陣が「法律を遵守」し、「社会的な責任を果たす」ということなのです。

「府労委の命令は有効であり、浪速建資産業社は『命令履行』義務がある」

大阪広域生コン協組の圧力もあり、浪速建資産業社は、中央労働委員会に再審査申立をおこなっていますが、大阪府労働委員会の命令は有効であり、「命令履行」義務があるのです。

申入書

コロナ禍の厳しい状況のなか、大阪市役所では、市長をはじめ職員のみなさんが懸命に業務や任務に従事されていることに敬意を表します。
私たちは、民間の労働者で構成している労働組合です。大阪市に対して次のことを申し入れます。

1.大阪市にある企業「浪速建資産業」(本店住所、大阪市東淀川区菅原4丁目6番5号)の私たち労働組合の対応が大阪府労働委員会から「不当労働行為」(令和2年9月28日付)と認定されました。この企業に対する大阪市の対応について回答を求めます。

2.大阪市は、労働組合が申し入れした「浪速建資産業」への指導要請に対して「入札登録業者ではないから、指導できない」と口頭で回答されましたが、この企業は、建設資材の生コンクリートやセメントを建設現場に納入する運輸会社です。
公共工事は、入札を経て決定した建設会社が施行します。その元請けである建設会社から、下請けの建設資材業者である生コンクリート企業やセメント販売企業に生コンクリートやセメントが発注されます。その生コンクリートやセメントを建設現場に納入するのは運輸会社です。
このように、元請けが下請けに建設資材を発注し、その建設資材を運輸会社が納入するという構造の中で、その下請け業者が労働組合法違反の不当労働行為企業と労働委員会から認定され、不当労働行為がなかった状態に戻せとの命令が出されています。
元請けの建設会社は、下請け業者に法令遵守を徹底されていることでしょうが、下請け企業の法令違反が発覚した場合は、元請け会社が責任に問われるのは当然のことですから、「入札登録業者ではないから、指導できない」のではなく、公共工事の発注者として、元請け会社とともに、その下請け会社である「浪速建資産業」に対しても、大阪市が相当の指導を行うべきです。改めて回答を求めます。

3.次に記しているのは、「不当労働行為企業を『公共事業の指名から排除』」する旨の大阪府知事や大阪市長の回答です。大阪府や大阪市の回答を踏まえた大阪市の回答を求めます。
(1)不当労働行為企業を「公共事業の指名から排除」する旨の大阪府知事の回答
回答 公聴第75号 昭和48年7月24日 大阪府知事 黒田了一

総評全国金属労働組合 大阪地方本部 委員長 伊藤国治殿

1.公共事業を発注するに際して、指名競争入札に参加させる業者につきましては、その業者が労働関係法令に違反しておれば、一定期間指名から排除するようにいたします。
この場合には、労働関係法令を管轄しております行政機関等からの法令違反の告発、処分通知等に基づき行います。
2.企業誘致につきましては、今後本府が誘致または用地分譲を行います場合には、ご要請の趣旨を十分配慮してまいりたく存じます。
3.知事表彰につきましては、大阪府表彰規則に基づいて行っているところでありますが、表彰候補者に公害問題、労働基準法違反、不当労働行為等の府民感情にそぐわない事実がある場合には、表彰の対象から除外することといたします。
4.各種団体等が主催される行事、催物などに対する祝辞、祝電、メッセージ等の依頼が極めて広範囲にわたっておりますが、その取り扱いについては、前各項の趣旨に基づき、十分配慮してまいりたいと存じます。以上

(2)大阪府公聴第6号 1977.4.7
物品の買い入れにつきましては、要請書の「労働基準法、最低賃金法、家内労働法、職業安定法、労働組合法並びに公害条例に違反した業者」に対し関係法令を所管している行政機関の処分決定があった場合その内容に応じて一定期間指名停止の措置を行うこととしております。
また、公共事業における工事契約に際しましては、建設労働及び環境保全に関する法令等に違反することのないよう行政指導に努めているところでありますが、関係行政機関等から法令違反行為についての告発、処分通知があった場合は、一定期間指名から排除する等の厳正な措置を講じております。
大阪府知事 黒田了一

(3)建設工事に当たり、不当労働行為企業の「指名留保」をする旨の大阪市長の回答
大阪市総務第786号 1977.3.18
本市においては、中小企業の保護育成のため工事発注、物品購入、その他の契約にあたって、その受注の拡大のため積極的に努力を重ねています。
特に建設工事の施工にあたっては、建設業法、労働基準法等関係法令を遵守するよう、毎年入札参加資格承認時に有資格者全員に対し「建設工事の適正な施行の確保について」を通知することにより、その周知徹底を図っています。
なお、関係法令に違反する行為があり労働基準局等主務官庁から通知があったときには、指名留保等の厳正な措置を含め、違反をおこさないよう指導を行っています。
大阪市長 大島靖

上述した1項から3項までの要請について、大阪市の回答を求めます。お忙しいところ申し訳ありませんが、1ヵ月以内に文書で回答してくださるようお願いします。
なお、回答の文書は、日程調整のうえ、大阪市役所庁舎内で手交していただきたいことを申し添えます。

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- お知らせ -
10月7日、和歌山広域協事件の公判ですが、変更の可能性があります。
分かり次第、お知らせします。再度、ご確認ください。
挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20
業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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