全国金属機械労働組合・港合同の闘いと歴史

関西労組交流センターが主催する連続学習会が9月11日、全国金属機械労働組合港合同・執行委員長の中村吉政さんを講師に招き「全国金属機械労働組合・港合同の闘いと歴史」をテーマとした学習会がエル大阪で開催され、多くの闘う労働者が結集しました。

「大阪都構想を粉砕した中村委員長の行動力」

関西労組交流センター共同代表の木下さんの司会で学習会は開会。昨年、港区を中心に具体的な行動(自転車に都構想反対の幟をくくりつけて港区全域を走り回った)を先頭に立って展開し、大阪維新の会の大阪都構想を粉砕した港合同・中村委員長が登壇しました。
中村委員長は、レジメと闘争年表などの資料を示し、港合同の闘いの歴史として、「関西経営者協会の攻撃(春闘でのガイドライン設定)、細川闘争(暴力ガードマンとの863日の闘いと不当労働行為企業の公共事業発注停止)、九条シャーリング闘争(住金物産との使用者概念拡大闘争、御堂筋を埋める地域結集の行動)、矢賀闘争、田中機械闘争(工場占拠・破産法突破闘争と自主生産)、南労会闘争(逮捕者8人、40数ヵ所の家宅捜索など大弾圧を乗り越えて、2013年3月、大阪地裁にて勝利的和解)」を、当時の情勢や背景を交え、闘争現場の実態などを詳細に話されました。
また、「1999年からの相次ぐ支部・分会への倒破産攻撃」「金属機械・ゼンキン連合の組織統一と港合同排除の攻撃」を話したあと、「官民連帯・地域共闘がつくられ、争議の支援や大阪港軍港化反対闘争」「総評南大阪地区評議会、総評港地協を経て、南大阪平和人権連帯会議、港地区平和人権連帯会議」など地域の特徴を話されました。

「さんざん苦労する(3396日)闘争」

中村委員長の職場でもある矢賀闘争では、「寮生11人で矢賀制作支部を結成、その2ヶ月後に大阪港軍港化反対集会デモで、当時の支部委員長が逮捕された。支部委員長逮捕後、4日間にわたり港警察署を包囲して奪還したこと。組合嫌悪の経営側からは『偽装閉鎖攻撃』『労務屋を導入し、一時金協定を破棄』などの攻撃がかけられたが、集中した抗議行動で労務屋を追い出した」ことが話されました。
さらに、中村委員長は「債権確保の強制執行の攻撃に対して、背景資本への抗議行動などを展開して勝利。その後、倒産争議を3396日間の闘いを経て決着した」ことを述べ、10年にわたる長期争議闘争を「さんざん苦労する(3396)」と名付けたと話されました。

「不当な権力弾圧を乗り越えて」

また、中村委員長は闘争過程では「1999年6月、保険金詐欺事件をでっち上げた、役員を含む5人の組合員が不当逮捕されるという権力弾圧がしかけられた。後に、懲役8ヶ月、執行猶予3年の不当判決が出された」と、当時の弾圧を話されました。

「女性組合員が全面に立ち、資本・権力と対峙」

矢賀闘争では、「職場の大半を占める女性組合員が、資本側や権力側の攻撃に対して、最前線に立って対峙する行動があった」とのエピソードが印象的でした。関西では女性活動家が強いのは、このような闘いの歴史を継承しているからでしょう。

「困難な闘争がなぜ続けられたのか?」

困難な闘争が継続された理由を中村委員長は「組合結成直後からの攻撃、弾圧に昼夜惜しまず支援体制が築かれた。(港合同の)各組合にオルグ団を結成して、泊まり込み体制の構築、さまざまな相談に対処してきた。各組合は会社に交渉して仕事の発注や、機械の故障の修理など無償で支援体制を築いた。各組合からの泊まり込みや、午後8時までの座り込み体制が解決まで続いた。1000円カンパ、夏季、年末一時金カンパを長期間取り組んできた」などと振り返りました。

「闘争の教訓として」

文字(活字)にできない闘争のあれこれ&教訓を中村委員長は、「どんなに強大な敵にも弱点は必ずある。債権者からの取り立てや、強制執行を防げたのは。占拠することの意義。10年争議がもたらしたメリット」など長期争議の闘争を総括し、教訓を話されました。
※具体的な中身は、文字(活字)にできないので、申し訳ありませんが、直接、中村委員長に尋ねてください。
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「関生弾圧を行動で粉砕しよう!地域闘争、官民連帯の力で維新政治と対決しよう!」

最後に中村委員長は、「地域の支援で、『頑張る』ことができた。弾圧されても闘い続けることが重要だ。闘いがなければ後退するのみ。大きな労組はカネはあるが…、合同労組の気概が大事、カネが無くても誇りを持つこと。小さくても城・砦を構えて挑むことが重要」と闘争方針などを示されたあと、「関生支部弾圧を団結と行動で粉砕しよう。地域闘争、官民連帯の力で維新政治と対決しよう」と訴えて講演を締めくくりました。

「活発な議論が展開された」

講演後の質疑応答では、関生支部の武谷さん、関西労組交流センター女性部の野田さん、奈良で解雇撤回を闘う吉谷さん、関西合同労組の黒瀬委員長が、学習会の感想を述べて質問。中村委員長が質問に丁寧に答えるなど活発な議論が展開されました。
関西労組交流センター共同代表の木下さんが、まとめをおこない、学習会はお開きとなりました。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

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「関生事件」が揺るがす労働基本権
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- お知らせ -
10月7日、和歌山広域協事件の公判ですが、変更の可能性があります。
分かり次第、お知らせします。再度、ご確認ください。
挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20
業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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