連帯ユニオン関西地区生コン支部・大阪Bブロック(連帯・関生支部)は11月9日、吹田市に対して、「不当労働行為企業に対する吹田市、地方行政の指導と措置について」と題した申入書(下記に全文掲載)を提出しました。

吹田市契約検査室の担当職員は、丁寧で真摯な姿勢で対応した

吹田市契約検査室の担当職員に対して、連帯・関生支部の武谷書記次長らが吹田市市長に宛てた「申入書」の趣旨と項目ごとの説明を行いました。
吹田市契約検査室の担当職員は真摯に対応し、1ヶ月後に「回答を文書で提出する」ことを約束しました。
コロナ禍のなか、忙しいなか、時間を取って私たちに真摯に対応してくれた、吹田市契約検査室の担当職員のみなさんに感謝します。
本日の申し入れ行動に賛同して、申入書に連名していただいた、多くの労働組合に感謝します。

背景資本への宣伝活動

午後からは、大阪市内に移動。北区中之島のオフィス街にあるセメントメーカー「トクヤマセメント」に対して、「ナニワ生コン社」の労働組合法違反(不当労働行為)を背景資本に追及する宣伝活動を展開しました。
トクヤマセメントが入居している中之島セントラルタワー前の歩行者道路では、ナニワ生コン分会長が右手にマイクを握り、左手に組合旗を掲げ、ナニワ生コン社が労働組合法に違反している不当労働行為の事実や、大阪府労働委員会から労働組合法に違反している「不当労働行為企業」に認定され、救済命令が出されたのに、その命令を履行しない態度に終始していること、大阪広域生コン協組の組合つぶしが背景にあること、大手セメントメーカーとしての社会的責任を果たしナニワ生コン社に適切な指導を行うべき、などを整然と訴えました。横断幕を掲げた歩行者道路では、武谷書記次長が、通行中の会社員らにビラを配布しました。

生コン労組、知ってます。頑張って!応援してます

関西地区生コン支部・機関紙部が作成してくれた「ナニワ生コン闘争ニュース」ビラは、小雨の中、中之島セントラルタワー前を通行する会社員らは快く受け取ってくれました。
20代後半か30代前半の男性会社員が「生コン労組の方でしょ。知ってますよ。頑張ってください、応援してますから」と激励がありました。
女性会社員のひとりが、手を伸ばして私たちに近寄ってきて「ありがとう」と言ってビラを受け取りに来たのが印象的でした。
「ナニワ生コン闘争ニュース」は、片面に「ハラスメント、コロナ解雇や賃下げ」などを記し、文字を少なくした絵柄を採り入れた新しいビラを、関西地区生コン支部・機関紙部が作成してくれたものです。女性会社員の方が男性会社員よりもビラの受け取りが多かったのは、現在の労働環境が影響しているのでしょう。
午後1時ころから約1時間の行動でしたが、ナニワ生コン分会長の訴えに、中之島セントラルタワー前を行き交う会社員らに多いにアピールすることができました。ビラは、27枚の配布でした。引き続き、背景資本への責任追及の行動を展開します。

ナニワ生コン・藤原生コン運送闘争
ナニワ生コン社・藤原生コン運送社は不当労働行為企業と認定された
茨木市に所在する、ナニワ生コン社・藤原生コン運送社が、連帯・関生支部の組合員を不当に雇い止めした事件について、大阪府労働委員会は昨年、「解雇や雇い止めなどがなかった状態に戻せ」などと命令し、労働組合法に違反する「不当労働行為企業」と認定しました。

大阪広域生コン協組の労働組合つぶしが背景にある

ところが、ナニワ生コン社・藤原生コン運送社の経営陣は、現在においても、大阪府労働委員会の命令を履行しない態度をとり続けています。
大阪府に所在する生コン企業の100%近くが加盟する「大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域生コン協組)」が、2018年から始めた「労働組合つぶし」が背景にあります。
ナニワ生コン社・藤原生コン運送社と連帯・関生支部は、長年、円満な労使関係を築いており、労使が協力して展開する「生コン産業政策運動」を推進し、生コン価格や輸送運賃の適正化が実現したときには、労働組合が要求している「非正規の正規化など労働条件の改善」を約束していた企業でした。
ところが、大阪広域生コン協組の執行部から「労働組合つぶし」の協力を強くもとめられ、圧力をかけられたナニワ生コン社・藤原生コン運送社の経営陣は、連帯・関生支部の組合員を雇い止めしたのです。
しかし、大阪広域生コン協組の労働組合つぶしが背景にあるとしても、大阪府労働委員会から不当労働行為が認定され、命令が出されたことについて、真摯に受けとめ、速やかに命令を履行することが、ナニワ生コン社・藤原生コン運送社の経営陣が「法律を遵守」し、「社会的な責任を果たす」ということなのです。

府労委の命令は有効であり、ナニワ生コン社・藤原生コン運送社は『命令履行』義務がある

大阪広域生コン協組の圧力もあり、ナニワ生コン社・藤原生コン運送社は、中央労働委員会に再審査申立をおこなっていますが、大阪府労働委員会の命令は有効であり、「命令履行」義務があるのです。

 

「申入書」全文

コロナ禍の厳しい状況のなか、吹田市では、市長をはじめ職員のみなさんが懸命に業務や任務に従事されていることに敬意を表します。
私たちは、民間の労働者で構成している労働組合です。吹田市に対して次のことを申し入れます。

1.茨木市にある企業「ナニワ生コン」と「藤原生コン運送」の私たち労働組合の対応が大阪府労働委員会から「不当労働行為」と認定されました。この企業に対する吹田市の見解ならびに対応についての回答を求めます。

2.「ナニワ生コン」と「藤原生コン運送」は、建設資材業者の生コンクリートの製造販売・輸送会社です。吹田市発注の公共工事にも、生コンクリートを納入しています。
公共工事は、入札を経て決定した建設会社が施行します。その元請けである建設会社から、下請けの建設資材業者である生コンクリート企業に生コンクリートが発注されます。
このように、元請けが下請けに建設資材を発注する構造の中で、その下請け業者が労働組合法違反の不当労働行為企業と労働委員会から認定され、不当労働行為がなかった状態に戻せとの命令が出されています。
元請けの建設会社は、下請け業者に法令遵守を徹底されていることでしょうが、下請け企業の法令違反が発覚した場合は、元請け会社が責任に問われるのは当然のことですから、公共工事の発注者として、元請け会社とともに、その下請け会社である「ナニワ生コン」と「藤原生コン運送」に対しても、吹田市が相当の指導を行うべきと考えています。回答を求めます。

3.大阪府労働委員会から不当労働行為企業に認定された「ナニワ生コン」「藤原生コン運送社」は、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域生コン協組)に加入している組合員企業です。大阪広域生コン協組は、大阪府の生コン製造販売業者の100%近くが加入している事業協同組合です。大阪府に所在しているほとんどの生コン企業が大阪広域生コン協組に加入していることから、公共工事における建設資材の生コンクリートは、大阪広域生コン協組を通じて納入されることとなります。つまり、大阪府における公共工事のほとんどが大阪広域生コン協組から生コンクリートを購入することとなるのです。不当労働行為が認定された企業が加入している大阪広域生コン協組に対しても、吹田市が適切な指導を行うべきです。回答を求めます。

4.下記に記しているのは、「不当労働行為企業を『公共事業の指名から排除』」する旨の大阪府知事や大阪市長の回答です。大阪府や大阪市の回答を踏まえた吹田市の回答を求めます。
(1)不当労働行為企業を「公共事業の指名から排除」する旨の大阪府知事の回答
回答 公聴第75号 昭和48年7月24日 大阪府知事 黒田了一
総評全国金属労働組合 大阪地方本部 委員長 伊藤国治殿

1.公共事業を発注するに際して、指名競争入札に参加させる業者につきましては、その業者が労働関係法令に違反しておれば、一定期間指名から排除するようにいたします。
この場合には、労働関係法令を管轄しております行政機関等からの法令違反の告発、処分通知等に基づき行います。
2.企業誘致につきましては、今後本府が誘致または用地分譲を行います場合には、ご要請の趣旨を十分配慮してまいりたく存じます。
3.知事表彰につきましては、大阪府表彰規則に基づいて行っているところでありますが、表彰候補者に公害問題、労働基準法違反、不当労働行為等の府民感情にそぐわない事実がある場合には、表彰の対象から除外することといたします。
4.各種団体等が主催される行事、催物などに対する祝辞、祝電、メッセージ等の依頼が極めて広範囲にわたっておりますが、その取り扱いについては、前各項の趣旨に基づき、十分配慮してまいりたいと存じます。以上

(2)大阪府公聴第6号 1977.4.7
物品の買い入れにつきましては、要請書の「労働基準法、最低賃金法、家内労働法、職業安定法、労働組合法並びに公害条例に違反した業者」に対し関係法令を所管している行政機関の処分決定があった場合その内容に応じて一定期間指名停止の措置を行うこととしております。
また、公共事業における工事契約に際しましては、建設労働及び環境保全に関する法令等に違反することのないよう行政指導に努めているところでありますが、関係行政機関等から法令違反行為についての告発、処分通知があった場合は、一定期間指名から排除する等の厳正な措置を講じております。
大阪府知事 黒田了一

(3)建設工事に当たり、不当労働行為企業の「指名留保」をする旨の大阪市長の回答
大阪市総務第786号 1977.3.18
本市においては、中小企業の保護育成のため工事発注、物品購入、その他の契約にあたって、その受注の拡大のため積極的に努力を重ねています。
特に建設工事の施工にあたっては、建設業法、労働基準法等関係法令を遵守するよう、毎年入札参加資格承認時に有資格者全員に対し「建設工事の適正な施行の確保について」を通知することにより、その周知徹底を図っています。
なお、関係法令に違反する行為があり労働基準局等主務官庁から通知があったときには、指名留保等の厳正な措置を含め、違反をおこさないよう指導を行っています。
大阪市長 大島靖

上述した1項から4項までの要請について、吹田市の回答を求めます。お忙しいところ申し訳ありませんが、1ヶ月以内に文書で回答してくださるようお願いします。なお、回答の文書は、日程調整のうえ、吹田市庁舎内で手交していただきたいことを申し添えます。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

ハーバービジネスオンライン
「関生事件」が揺るがす労働基本権
<労働裁判が働き手を素通りするとき> ココをクリック
関西生コン事件ニュースNo.61 ココをクリック

賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011‐2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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