無罪判決勝ち取る! 村田商事(加茂生コン)事件 大阪高等裁判所

12月13日大阪高裁は、加茂生コンに対して、組合員の子どもが保育所に通うために「就労証明書」を繰り返し要求した行為は強要未遂に当たらないとして無罪判決を出した。

「一審を破棄しての控訴審判決」

一審京都地裁は安井執行委員と組合員Aを懲役1年および8月(各執行猶予3年)としていたが、大阪高裁は、2人の行為は強要未遂の要件たる「義務のないことを行わせようとした」とは言えないとした。

「1審の重要な争点は是認され無罪判決に」

強要未遂の「義務のないこと」の「義務」とは法律的な義務とまで言える必要はなく、社会的な義務であり、そうでなければ刑事罰をもって要求者の権利を一方的に制約することになってしまうとした。判決は、保育園に通うための就労証明書の発行を社会的義務のあることと認めたのだ。また、2名が、社長代理となった妻が高血圧緊急症で救急車を呼んだ後も追及を止めたかったことについても、役所に電話をかけて不利になった途端に病状が急変したことについて、2人が仮病を疑ったとが考えることができるとした。一審で争点になった、たび重なる要求についても容認し、偽装閉鎖を監視する行為もこの事件の経緯からみれば、企業閉鎖や吸収合併は組合潰しの常套手段として用いられると考えるのも無理はないとした。

「別の組合役員の発言を止めないことが罰金刑に」

他方、裁判所は、別の組合役員(当時)が乱暴な言葉で社長代理を追求したことについて、安井執行委員については、それを止めることもなかったと「脅迫」の「共謀共同正犯」として罰金30万円の不当な刑罰を命じたが組合員Aは完全無罪となった。
判決後、安井行委員は組合員Aの完全無罪を祝福、一審で認められなかった執拗な要求や組合による団体行動が当たり前の組合活動と認められたことは成果だと話した。組合員Aは、弁護士にお礼を述べ、逮捕からの3年間を振り返り、現在裁判中の解雇撤回に向けての決意を語った。
事件を担当した森弁護士(写真右)は「主要な論点を全て認めさせたことは弁護士経験上記憶にない」と力説。久堀弁護士(写真左)は「弁護士活動のなかで一番嬉しい、今日は本当に良い一日です」と感動的に語った。

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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011‐2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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