懲戒処分を許さない南大阪の会「上告審闘争勝利に向けて、趣意書説明集会」

懲戒処分を許さない南大阪の会が主催する「上告審闘争勝利に向けて、趣意書説明集会」が12月14日、田中機械ホールで開催され、多くの闘う仲間が結集しました。連帯ユニオンからは関西地区生コン支部が参加しました。

「竹下さんの闘いの勝利に向けて全力を尽くそう」

懲戒処分を許さない南大阪の会・事務局長、港合同・委員長の中村さんの司会で集会は開会。中村委員長は「入れ墨調査拒否の闘いは9年間に及び、上告審という最後の裁判闘争に突入した。本日の集会は、上告審闘争の勝利に向けて、弁護団から趣意書の説明を受け、原告からの決意表明などを受けていきたい」と本集会の趣旨を述べたあと、「懲戒処分を許さない南大阪の会など、竹下さんの闘いに奮闘してきた有本さんが逝去された。有本先輩の闘いを引き継いでいくこと確認する」と全員で黙祷して有本さんのご冥福を祈りました。
続いて、中村委員長は「今日は、関生支部の無罪判決が高裁で出されるという喜ばしいことがあった。先週は、谷弁護士が主任を務める高校教員の再任用拒否の控訴審で逆転勝利判決を高裁が出した。この勢いで竹下さんの上告審に勝利しよう。橋下が市長になり、無茶苦茶なやり方にしっかり闘ってきた竹下さんに、南大阪全体の力で闘っている。関生の反撃にも共に闘い、竹下さんの闘いの勝利に向けて全力を尽くそう」とあいさつしました。

「入れ墨・懲戒処分撤回の闘いは、維新に対する闘いでもある」

山元さんの代表あいさつ。山元さんは「9年前、維新の会の大阪市長が最初にやったのは、『労働組合は目障りだ』と大阪で公務員バッシングをはじめた。職員アンケートや労組活動を批判する露骨なやり方の撤回を求めた。しかし、条例を次々に成立させて、竹下さんをはじめ6名に、入れ墨調査を拒否したことで懲戒処分が出された。維新の勢力が拡大する中、入れ墨・懲戒処分撤回の闘いは、維新に対する闘いでもあり、改憲・戦争を止める闘いでもある。労組つぶしを許さず、人権を無視する維新政治を倒すためにも、竹下さんの裁判勝利を目指して闘おう」と竹下裁判の勝利、維新打倒を提起しました。

「弁護団から趣意書の説明」

冠木弁護士からの「上告理由書」の説明です。冠木弁護士は「①上告理由の要旨。②平等原則適用における比例原則。③本件調査の違憲性。④プライバシー権侵害の違憲判断がなされるべきである」との項目を詳細に説明しました。

「維新の勢いは止まらない中、維新に一矢報いる動きが出ている」

続いて、谷弁護士からは「上告受理申立理由書」の説明がありました。谷弁護士は「上告審は、憲法違反か判例違反を審理するところ。法廷が開かれるかどうかがポイントだ。法廷が開かれない場合は、上告棄却となり、法廷が開かれた場合は、見直す可能性が高いということだ」と上告審の進み方を説明しました。
そして、谷弁護士は「①判例違反(富士重工原水禁事情聴取事件の判例と公務員の勤務関係は特別権力関係など)。②法令の解釈に関する重要な事項(学説による職務命令など)。③まとめ(民訴法の上告受理申立理由としての判例違反、法令の解釈に関する重要な事項が存在する)」などの項目を詳細にわたり説明しました。
最後に、谷弁護士は「橋下・大阪市政下で起きた事件は維新的。橋下は、自分の言うことを聞かない人は大嫌いで、居丈高な人だ。竹下さんらが闘いに起ち上がったことに橋下は、『俺の言うことを聞かずに、悔しい』と思っていることだったろう。維新の勢いは止まらない中、大石あきこさんに見られるように、局所的ではあるが維新に一矢報いる動きが出ている。府立学校再任用の逆転判決は、『言うことを聞け』との条例をつくった維新的なものを覆した。この勝利判決をつないで、竹下さんの上告審の闘いに全力をつくす」と闘いの決意を表明しました。

「加茂生コン事件の控訴審で『無罪判決』。懲戒処分を許さない南大阪の会の闘いを支持し、共に闘う」

連帯のあいさつでは、関西地区生コン支部の武谷書記次長が、日頃の関生支部弾圧への支援に感謝を述べたあと、「昨日の12月13日、加茂生コン事件の控訴審で無罪判決を勝ち取った。また、和歌山事件での保釈条件が変更され、武谷をはじめ3人が関生支部の組合員との接触禁止が解除された。これらは、皆さんの支援行動のおかげだ。加茂生コン事件では、組合員は無罪だったが、執行委員は罰金刑となっている。裁判所が検察に配慮したのかもしれないが、この罰金刑を許すことはできない。1976年の全港湾の先輩たちの南港ゼネスト刑事事件では、一部、ムリクリの罰金刑だったが、判決文の中では産別ストライキが認められている。加茂生コン事件は、非正規を正規にという要求や、保育園の就労証明書の提出を求めたことなどの労働組合活動を刑事事件としたのだが、無罪判決により、まっとうな労働組合活動であったことが認定された。全港湾の先輩らの闘いを学んで、上告審で完全無罪を勝ち取る決意だ。この無罪判決をつないで、すべての刑事事件の無罪判決を勝ち取るために全力をつくす。引き続きの支援を願う」と闘争報告と闘争方針を示しました。
最後に、武谷書記次長は「関西地区生コン支部は、竹下さんの闘い、懲戒処分を許さない南大阪の会の闘いを支持し、共に闘うことを表明する」と共闘の決意を表明しました。

「竹下さん、最高裁に向けての決意表明」

本日のメインである原告の竹下さんの決意表明。竹下さんは、日頃の懲戒処分を許さない闘いへの支援にお礼を述べたあと「大阪高裁は、2021年9月17日に控訴棄却の判決を出した。2020年12月23日の大阪地裁判決に続く不当判決だ。この高裁判決を受けて上告の手続きを済ませ、弁護団との協議を重ねてきたことを報告し、あらためて最高裁に向けての決意を述べる」と最高裁への闘いに挑むことを報告しました。

「橋下市長から始まった『維新支配体制確立』が固まった」

また、竹下さんは、一審から控訴審までの闘いを詳細に報告したあと、「振り返れば、懲戒処分が出されるまでに、当時の橋下市長は職員を縛り付ける『職員基本条例』等の条例成立に向けて、露骨な労働組合攻撃を行った。その中で各機関から『不当労働行為』として断罪された。『職員アンケート調査』の敗北に変わるものとして職員を当局に従わせるための手段の一環として『入れ墨調査』を実施し、回答拒否者への『懲戒処分』は市体制に対抗する存在を許さないことを示す、見せしめとして行われたものだ」。
「大阪市の現状を見ると、橋下市長から始まった『維新支配体制確立』を進めるために労働組合を徹底的に弱体化し、職員を当局の命令等に従順にさせようとした維新の初期の目的はすでに達成されていると感じる」と維新の支配体制確立は、労働組合の弱体化攻撃によるものと喝破しました。

「入れ墨への偏見など表現の自由への規制に反対する主張が法廷で争われている」

さらに、竹下さんは「アメリカでは、入れ墨に対する法的評価が日本で現出しているような偏見から脱して、表現の自由の観点から入れ墨が適正に位置づけられるようになってきた。それは入れ墨への偏見によるそれまでの判例が、表現の自由等を侵害しているとの訴訟が様々な形で起こされたことにより、紆余曲折を経て規制の違法性が争われてきた結果として現れているものだ。日本でもまだまだ少ない件数だが、入れ墨への偏見など表現の自由への規制に反対する主張が法廷で争われている。不当な規制や処分に対してさまざまな面から異議を唱えることは、いくつもの抗議の波が強靱な体制の堤を侵食して崩壊させる力として作用し、現状の偏見等から脱していく過程で必要不可欠なものと思っている」と表現の自由を形骸化させない、竹下さんの闘いをはじめ様々な闘いによって、変わりつつあることを提起しました。

「裁判闘争は一人ではできないことを痛感した。引き続き支援を願う」

最後に、竹下さんは「この間の闘いも、その一里塚として記されるものと考えている。皆さんの長きにわたる支援をいただきながら、弁護団を中心に学者の意見をもとに『入れ墨調査』の不当性、違法性、差別性を主張してきた。このことを最後まで訴えて、上告審を取り組んでいく。この間の過程で、裁判闘争は決して一人ではできないことを痛感した。裁判闘争への皆さんからの引き続くご支援を願い、上告審闘争勝利に向けた決意とする」と引き続きの支援を呼びかけて決意表明を締めくくりました。

「上告審勝利をめざして、共に闘おう」

この闘いは、維新政治の打倒、大阪市職員労働組合の復権の闘いでもあります。裁判闘争と現場闘争を両輪とした闘いが必要です。竹下さんの問題提起と行動提起を具体化した闘いが、私たち労働組合に求められています。
竹下さん、懲戒処分を許さない南大阪の会と連帯して上告審勝利をめざして、共に闘いましょう。
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011‐2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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