米軍廃棄物をゲート前に置いたことが威力業務妨害に
昨年末の12月28日、那覇地検は、著名なチョウ類研究者の宮城秋乃さんを威力業務妨害と道交法違反で在宅起訴した。
宮城さんは、米軍が訓練場跡地に空き缶やガラス片などを放置、散乱させたままの米軍の振る舞いに抗議するため、そのごく一部を並べたところ、これが犯罪とされたもの。
女性に性暴力を振るっても、住宅地に戦闘機から水筒などを落下させても米軍は処罰されない。コロナ禍でも米軍はPCR検査も待機期間もなしにフリーパスで入出国し、夜の町もマスクなしで酔っ払って出歩いている。それとは対象的に、米軍の横暴と基地の存在にささやかに異議を唱えただけで犯罪とされる。
昨年、菅内閣がどさくさにまぎれて成立させた重要土地規制法の本質を象徴する、あからさまな見せしめだ。
沖縄環境ネットワークが抗議声明を出し、122団体が賛同。全日建も賛同団体に加わった。
那覇地方検察庁検事正殿
那覇地方検察庁は、昨28日、米軍北部訓練場ゲート前に同訓練場跡地で発見された空き瓶やガラス片などを散乱させて訓練場関係者の業務を妨害するなどしたとして、チョウ類研究者の宮城秋乃さんを威力業務妨害と道路交通法違反の罪で在宅起訴した。
しかし宮城さんの行為は、やんばるの自然を守りたいとして取られた行為であり、
(1)その自然を脅かす存在である米軍基地が廃棄物の適正処理を行なっていないこと、
(2)基地返還後、浄化責任を有するはずの日本政府がその責任を果たしていないこと、
(3)また日本政府が十分な跡地浄化なしに世界自然遺産登録を急いでいること、これらのことを広く社会に訴えるために行なったものであり、言論の自由として尊重されるべきものである。
また宮城さんがゲート前に置いた廃棄物は容易に取り除くことが可能なものであり、威力業務妨害と呼ぶのはまさにためにする議論である。那覇地方検察庁がその罪をまず問うべきなのは、貴重なやんばるの自然を汚染したまま責任を取ろうとしない米軍であり、そして日本政府である。
「検察の理念」は、「検察は、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するため、重大な役割を担っている」としている。今回の那覇地方検察庁の対応は、個人の基本的人権を保障し、事案の真相を明らかにするというこの「検察の理念」に真っ向から背くものであり、断じて認めがたい。
また、那覇地方検察庁の今回の対応は、宮城さんのように権力に対して物言う者を許さないという政府の強い姿勢を示すことで、他の多くの人々を黙らせるという本年6月に国会で強行採決され成立した「土地規制法」のねらいをそのまま示したものであり、その点でも今回の措置を認めることは出来ない。
以上の理由で私たちは、宮城秋乃さんの在宅起訴に断固抗議し、那覇地方検察庁がこれを
取り下げることを要求する。
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業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011‐2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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