和歌山広域協組事件第12回公判、3月10日、和歌山地裁

連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判が3月10日、和歌山地裁で開かれました。当日の公判は、判決言い渡しです

「和歌山広域協組事件とは」

和歌山の生コン企業の経営者らが元暴力団らを使って、宣伝活動などの組合活動を妨害したことや、関生支部事務所を高級車で周回して、組合員らを脅すなどした行為に対して、2017年8月22日、関生支部の組合員らが、和歌山広域協組に赴き、抗議と事実検証のための交渉をしたことが、威力業務妨害、強要未遂とされた事件です。

「全員有罪の不当判決!」

開廷してすぐに、裁判長から主文が読み上げられました。武谷被告は、懲役1年4月。O被告は、懲役10月。M被告は、懲役1年。それぞれ3年の執行猶予。
武谷書記次長と2人の執行委員が執行猶予付の懲役刑が下された不当判決です。裁判長は主文を告げたあと、被告人とされている3人に着席を命じて、判決文を読み上げました。

「傍聴席から『小さな声で聞こえない!』と苦情」

裁判長の小さな声で読み上げる判決文に、傍聴席から「小さな声で聞こえない!」と苦情が入りました。その苦情に対して、裁判長は声を大きくして読み上げました。
公訴事実、争点、弁護人の主張を読み上げてから、裁判所の判断を示し、「脅迫、義務のないことを行わせようとした、業務妨害」などと、強要未遂罪と威力業務妨害罪を認定し、団結権の侵害、正当な組合活動、労組法第1条2項を否定しました。

「交渉は正当だが、正当行為として阻却されない」

判決文では、「産別労組の関生支部」「労組としての交渉は正当だが、大声をあげたり、ドアを叩いたりするなど、その限界を超えており、正当行為として阻却されない」などが述べられました(判決文の詳しい内容は後日、お知らせします)。

「検察側の主張をほぼ認めるという不当な判決だ」

30分ほどの公判終了後、弁護団から本日の公判の総括が報告されました。
中島弁護士(武谷書記次長の弁護人)は、「判決は、裁判所が検察側の主張をほぼ認めるという不当な判決だ。和歌山広域協組への抗議行動は正当な行動である。地裁判決文を精査して控訴審に挑む。大阪高裁で無罪を勝ち取るために全力をつくす」と報告と控訴審での闘いに決意を表明しました。

「大阪高裁で無罪を勝ち取る」

当事者の武谷書記次長と2人の執行委員からは、支援行動のお礼が述べられたあと「控訴審で闘い、大阪高裁で無罪を勝ち取る。引き続きの支援をお願いする」などと決意が表明されました。

「和歌山地裁前スタンディング集会に80人超が結集」

当日は、午前8時30分から和歌山地裁正面玄関前で、スタンディング集会が開催され、80人超の闘う仲間が結集しました。
傍聴券の抽選前に、和歌山地裁の玄関前に結集した仲間が「公正な判決を求める」などとアピール。当事者のO執行委員からのあいさつがありました。判決の主文が述べられたあと、「不当判決」のプラカードを掲げて、集会は再会。労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会の仲間や遠方から駆けつけてくれた仲間が、シュプレヒコールで裁判所に対して「不当判決」を糾弾しました。

「裁判所の敷地内から大声で暴言」

和歌山広域協組・M理事長の部下と思われる男が、裁判所の敷地から集会参加のメンバーに向かって、「犯罪者!とっとと帰れ」などとわめいていました。この男のそばにはM理事長の姿もあり、集会の方を向いていました。M理事長は、この男の行為を止める様子は全く見られませんでした。裁判所の敷地内からの「大声での暴言」は許されるのでしょうか?

「労組の行動が萎縮するようなことを絶対許してはいけない」

当事者の報告に続いて、連帯ユニオン中央本部の小谷野書記次長から「元暴力団を使って労働組合を脅すという団結権の侵害を許さない抗議活動が認められないのであれば、労働組合の行動が萎縮することになる。このようなことを絶対許してはいけない」と裁判所の判断を糾弾しました。

「中島弁護士、北海道に拠点を移す」

今年の4月から、北海道・札幌に拠点を移して活動する中島弁護士に、連帯ユニオンに30数年関わり、労働委員会や訴訟に携り絶大な支援をしていただき、お世話になったことのお礼と新たな拠点での活動を祝して、関西地区生コン支部・近畿トラック支部の執行部から、「選別」が手渡されました。
中島弁護士は感謝の意を述べたあと「関西では、関生支部、トラック支部、全港湾のみなさんと一緒に闘ってきた歴史がある。札幌に移っても3つの課題を掲げて活動する。一つは、ハマキョウレックスの成果を広めること。二つは、関生運動の協同組合運動を発信すること。三つは、労働者と労働組合をつなげてやっていくこと。引き続き宜しくお願いする」と札幌に拠点を移してからの活動方針を示しました。

「大阪高裁に舞台が移るが、多くの仲間の結集と団結で闘っていこう!」

当事者のO執行委員から、集会参加者の支援のお礼と控訴審で闘う決意が表明されたあと、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会代表・全港湾大阪支部委員長の小林さんから集会のまとめが提起されました。小林さんは「判決の中身は残念だったが、和歌山の地で、これだけ多くの仲間が参加した集会が開催できたことに、今後の闘いの展望を感じた。関生支部や全港湾の仲間、ここに結集している多くの仲間は、団結を命がけで闘ってきた。その体を張った闘いの団結を裁判所は見ていない。次は、大阪高裁に舞台が移る。大阪でも今日のように多くの仲間の結集と団結で闘っていこう」と今後の行動方針を提起しました。

「関生支部・細野書記長のリードで団結がんばろう!」

関西地区生コン支部・細野書記長からは「和歌山地裁の不当判決を糾弾する。元暴力団を使った組合活動の妨害に対して、抗議行動をしたことが犯罪となり有罪判決が出されたことを許してはいけない。関生支部はすべての事件の無罪を勝ち取るために全力で闘う」と決意表明。最後に、細野書記長のリードで、「団結がんばろう」を集会参加者全員が唱和して、スタンディング集会を締めくくりました。

「スタンディング集会と傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」

スタンディング集会と公判の傍聴支援判に、駆けつけてくれた仲間のみなさんに感謝します。早朝、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさん、本当にありがとうございました。和歌山広域協組事件は、大阪高裁に舞台が映りますが、引き続きのご支援をお願いします。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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関西生コン事件ニュース No.70 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.71 ココをクリック
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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