兵庫県川西市に健康保険被保険者手帳の窓口が開設!
関西地区生コン支部の行動によって獲得した成果
関西地区生コン支部の行動により、2022年3月1日から、日々雇用労働者のための健康保険被保険者手帳の受給資格を確認する業務の一部手続きを川西市が委託業務として開設することになりました。
「なぜ、川西市市役所に窓口が出来たの?」
協会けんぽ兵庫支部は、出張所3ヵ所(姫路・西宮・尼崎)を2021年2月末をもって閉鎖すると一方的に公表しました。本来、社会保険に関わる資格は協会けんぽが全出張所で行わなければならないが、これらの業務を放棄して対象労働者の声を聞かず縮小しているのが今の流れです。このことから、近畿2府4県の大阪府以外では各支部1カ所でしか健康保健証の認定確認を受けることが出来なくなりました。
出張所の閉鎖に際して、関西地区生コン支部・大原執行委員は、すぐに協会けんぽ兵庫支部・日本年金機構兵庫に対して「日々雇用労働者に大きな負担がかかる。閉鎖の撤回を求める」などと抗議し、粘り強く交渉を重ねました。しかし、協会けんぽ兵庫支部の方針は変わりませんでした。
「大原執行委員の行動により特例処置対応を獲得した」
この問題の当事者でもある大原執行委員は、即座に行動しました。「加入者に寄り添わない一方的な出張所の閉鎖は認められない」「健康保険被保険者手帳・保険証を郵送することで不備が起こる可能性がある」などの説明と是正を求めたところ、協会けんぽ兵庫支部は大原執行委員に対して、個別特例処置対応することを確認しました。
「伊丹市・宝塚市の対応に感嘆」
さらに、大原執行委員は川西市役所国民健康保険課にも相談。当時、兵庫県では伊丹市と宝塚市のみが協会健保から業務委託契約を締結し、市民に寄り添う市政をおこなっている自治体があることを知りました。早速、大原執行委員は労働者供給事業を担当する「朝日分会」の分会長を伴い、伊丹市と宝塚市を訪問して部局の担当者から詳しい話を聴き取ったあと、今後の方針などの見解を求めました。
大原執行委員らの質問に、伊丹市や宝塚市の担当者の方は、「一人でもこういう市民の方がおられる限り、市としては業務委託を続けていくつもりです」と弱者の視点に立った回答をしました。
「弱者視点の議員との連携で、大きく前進」
川西市役所健康保険課の職員の方も、知識が不十分な日々雇用労働者制度を理解しようとする真摯な姿勢で、大原執行委員の説明に、しっかりと耳を傾けてくれたのですが、なかなか前進しませんでした。
市職員一人の力では限界があると感じた大原執行委員は、兵庫県会議員の北上あきひとさんと川西市議会議員の谷正充さんに支援と協力を求めました。
両議員は、大原執行委員の訴えに真摯な姿勢で対応してくれました。そして「議員として地方自治を託された者として、市民の為に出来る限りのご協力をいたします」と、速やかな対応を約束してくれたのです。
そして、谷正充議員が川西市市議会で「業務委託契約締結」を提起し、市議会で可決されたのです。その後、川西市健康保険課課長や課長補佐、担当職員の方々の迅速な対応により、厚生労働省に提出する認可申請手続きを経て、昨年末の段階で厚生労働省の認可待ちという段階にまで前進しました。
「担当者らの協力に感謝します」
2022年3月1日から川西市役所「国民健康保険課」の窓口で「健康保険受給資格者票の交付・資格確認・更新」「健康保険被保険者手帳の交付・更新」が受けられることになりました。
川西市議会で業務委託契約締結の提案が可決されて、厚生労働省に認可を得るための事務作業など、協会けんぽ兵庫支部の担当者の方々にも大変ご協力いただいたことに感謝します。
「労働組合の行動力と地方議員共闘で勝ち取った成果!」
地方行政に、協会健保の窓口を開設してもらうのに1年間かかりましたが、多くの日々雇用労働者の切実な要望が実現できました。今回の行動がなければ窓口が開設できずに、遠方の神戸市まで毎月足を運ぶことになります。交通費の負担や時間をとられることで、健康保険被保険者手帳を返納する日々雇用労働者が発生する可能性があります。このようなことが多数発生することは、日々雇用制度を無くそうとしている国の思惑なのです。労働組合は、労働者の権利を守るために行動することが重要です。労働運動・政治運動・共闘運動の大切さと成果を、今回の窓口開設で確信しました。
労働組合が先頭に立って、日々雇用労働者をはじめ労働者の権利を侵害する制度の改悪を許さない行動を展開しましょう!
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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