京都事件第5回公判、京都地裁
連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧を巡る裁判が4月28日、京都地裁で開かれた。この裁判は加茂生コン事件、ベストライナー事件、近畿生コン事件の3つを併合した裁判である。第5回公判は、京都協組で副理事長をしていたT氏の証人喚問が行われた。
「この事件は労働事件としてとらえなければならない」
今回の裁判は4月ということもあり2名の裁判官が交替したことから公判手続き更新が行われた。まず永嶋弁護士からパワーポイントを使用し事件のあらましを裁判官に説明した。冒頭、永嶋弁護士は「この事件は労働事件としてとらえなければならないと説明。生コン産業と労働者の関係について詳しく述べた。在庫がきかない生コン産業は過当競争に落ち込みやすい。生コン会社は、大企業から買いたたかれることから適正価格が収受できず、そこで働く労働者の7割は非正規職である。この問題は個社では解決できず、事業者を協同組合に結集させて大企業と対等に交渉する仕組みを作る産業政策運動の重要性が述べられた。またベストライナー事件、加茂生コン事件、近畿生コン事件についても詳しく経緯を述べた。
「検察側証人喚問」
この日の尋問は、ベストライナー事件が主だった。ベストライナー事件は労使紛争解決についての解決金が恐喝とされている。京都協組の小型部門であるベストライナー社はベストスタッフが受注して、ベストライナー社が仕事をするという関係であり、代表取締役I氏は、当時京都協組の営業本部長をしていたF氏が連れてきた人物。設立資金として、F氏の指示でI氏個人に6000万の資金を京都協組は貸し付けたが、現在は完済しており協組とは関係ないと証言している。平成14年に組合結成された後、争議になり、平成20年にいったん解決するまで、「組合からたびたびストライキを受け嫌な思いをした」「理不尽だと感じた」などと証言していたが、検察官の質問とかみ合わず、曖昧な証言が多かったように感じた。
「弁護側反対尋問」
引き続き弁護側から反対尋問が行われた。小田弁護士は「協組運営は誰が主導権を握っているのか」と質問。「実権はわからないとしつつも執行部であるY氏、F氏、T氏の3人で話し合い方向性を決めた後に、理事会で決定する」と証言。「I氏が恫喝し、組合を脱会させたということは聞いているか」という問いにT氏は「聞いていない。F氏にはしているかも」と証言した。
「代表取締役なのに交渉に参加せず」
ベストライナーの件で連帯労組と京都協組が交渉したとき「なぜ代表取締役であるI氏は交渉に参加していないのか」という問いにT氏は「I氏からの要請。」また「I氏はF氏のお友達だから触れないようにしていた」と証言。協組のお金が動いたベストライナー問題の責任を取る形でK氏が辞任、新たにKW氏が代表に就任したことについて「執行部で協議して決めたのか」という質問にT氏は「していない。このことに興味がなかったので知らない。F氏からの紹介である」と証言した。またストライキで減収となった出荷は、後日協組の赤黒調整で補填されるということも証言していた。
「完全無罪めざして闘います」
公判のまとめとして小田弁護士は、「古い事案ということで「知らない」「忘れた」など証人が明確に答えられないことが多かった。今回の事件は恐喝で起訴されているので、裁判官は、恐喝になりうる行為を聞き出そうとしていたが、今回の公判でそのような証言を得られることはなかった。検察としてはストライキを行ったことが恐喝たりえるものであるということを立証するのではないか」と本日の公判を総括した。
早朝から傍聴に駆けつけていただいた仲間のみなさんに感謝します。私たちはあきらめることなく今後も闘っていきますので、引き続きの支援をよろしくお願いします。
次回公判は6月23日10時です。
関西地区生コン支部が展開する産業別労働運動への仲間の皆さんのご協力とご支援に感謝します。また、日頃の関西地区生コン支部弾圧への物心両面にわたるご支援に、心からお礼を申し上げます。さて、「今こそ関生魂を!!激動と根底的変革の時代を共に生きよう!6.4映画「棘2.独白」上映(主催、6.4映画「棘2.独白」上映実行委員会)が、6月4日(土)18:00から文京区民センター2Aで開催するというチラシが配布されています。
このチラシには、連帯・関西地区生コン支部と記された組合旗が、写真で掲載されていますが、この主催者団体らと、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部は、何ら一切関係のないことをお知らせします。
関西地区生コン支部が携わり、関与する集会などのイベントについては、当労働組合発刊の機関紙「くさり」や、当労働組合が作成するホームページの「連帯広報委員会」でお知らせしています。支援共闘の仲間の皆さんには、お間違えのないようにくれぐれもよろしくお願いします。
5月23日、9時30分から大阪高等裁判所前公園で座り込み集会を開催します。大阪ストライキ1次事件は2017年12月に行ったストライキを威力業務妨害として事件とされた裁判で一審では不当な判決を受けています。5月23日11時、判決が言い渡されることになっています。座り込み集会に結集し、無罪判決を勝ち取りましょう。支援者の皆様、集会への結集をよろしくお願いします。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
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労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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