保釈の原則と安倍政権 後編
…前編からの続き
「保釈制度の見直し。GPS監視や逃走罪新設を検討」
保釈された被告らの逃亡事件が続いたことを受け、森雅子法相は2月21日、逃走を防ぐための新たな保釈制度について法制審議会に諮問しました。所在の監視や逃げた場合の罰則の新設などが検討課題です。半年から1年ほどかけて議論され、刑事訴訟法や刑法の改正案が国会に提出される見通しです。
法制審での議論は、控訴審で実刑判決が言い渡された後に逃げられないよう控訴審判決時の出廷を保釈中の被告に義務づけることや、被告がどこにいるか把握できるよう全地球測位システム(GPS)機能を持つ機器を身につけさせることなどです。
保釈の際、所在地を把握できるGPS機器を被告に装着させることは、海外で多くの実施例があり、弁護人の間にも「拘束が続くよりもはるかに良い」との声がありますが、十分な検討が重要です。
GPS機器の装着を禁じる規定はないのに実施されてこなかった大きな理由は、他者に常に居場所を知られるのは、人権の重大な制約だからです。
いったん導入されると、保釈条件にGPS機器の装着が安易に採り入れられることが懸念されます。
法制審の審議にあたっては、捜査・裁判上の要請に牽引されるのではなく、基本的な人権が侵害されない原則を重視することが必要です。
「裁判所に対する点検を怠ってはならない」
IR(カジノ)事業をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された衆院議員の秋元司氏が2月12日、保釈されたことで各社の新聞などは「秋元議員は無罪を主張しており、東京地検特捜部の事件で否認している被告が起訴後まもなく保釈されるのは異例だ」と報道しています。裁判所は「証拠隠滅の可能性も考慮したうえで、裁判に向けた準備などの必要性を踏まえて保釈を認めた」とのことで、保釈条件も「自民党の衆院議員5人との接触も禁止」など緩いものだと。
過去の政治家の逮捕・起訴で黙秘・否認した議員(中村喜四郎氏、鈴木宗男氏)たちは異常な長期勾留を強いられていました。この違いは何なのか?との違和感はありますが、保釈制度の原則を踏まえたものであり、これを広報・活用することが私たちに求められています。
保釈の可否を判断する裁判官は、「推定無罪の原則に基づく判断を下しているか」。私たちは常に点検をおこない、原則を守らない裁判官を厳しく糾弾することが必要です。
「安倍保身の独裁を許すな!打倒する闘いを」
安倍政権に近い東京高検検事長の定年延長問題に見られるように、安倍晋三の保身のための独裁性が露骨に顕れています。森友問題では、籠池夫妻の補助金詐欺事件だけがクローズアップされていますが、国有地取引での背任や文書改ざんについて徹底的に調査し、構図や背景を明らかにするべきです。
「桜を見る会」の問題は森友問題と同じです。政権の都合や保身のために原理原則がねじ曲げられることを許していては、私たちの権利が蔑ろにされるのです。
私たちは無関心にならず、政治に厳しい目を持ち続けることが大切です。安倍政権がおこしたこの間の問題を忘れずに、強く関心を持ち続け、厳しく糾弾し、安倍を打倒する。これらの民主主義を実践することが求められています。
OURPLANET(動画)「労働組合の自由を奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟←ココをクリック
IWJ 国家賠償請求提訴についての記者会見 2020.3.17←ココをクリック
関西生コン労組、違法捜査と国など提訴 執行委員長ら恐喝容疑巡り「長期勾留は恣意的」 2020年3月17日 20:42 京都新聞←ココをクリック
大阪府労委で組合側の完全勝利命令!←藤原生コン運送不当労働行為事件
またもや、組合側勝利命令!←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)
内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「?関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
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