京都事件第3回公判、3月9日、京都地裁
連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判が3月9日、京都地裁で開かれました。第3回公判は、検察側証人の弁護側による反対尋問です。
「3つの事件を併合した審理」
京都事件は、恐喝・強要未遂などとされている「ベストライナー事件」「近畿生コン事件」「加茂生コン事件」の3つの事件を併合したものです。
「検察側証人K氏の弁護側反対尋問」
第3回公判は、検察側証人K氏の弁護側反対尋問です。弁護人のK氏への尋問は、「京都地域の生コン業界の実態と推移、下落していた生コン価格の値戻しに向けた労使による取り組み、京都協組が関生支部と協力して生コン業界の再建するための協組執行部の刷新、ベストライナー社の労働争議と京都協組が介入して解決した経緯、ベストライナー社の労使紛争解決と解決金に京都協組が介入していた経緯、関生支部の支援と協力を得てアウト社(協組未加盟社)対策した経緯、近畿生コン社の倒産はアウト社対策と関連していること、近畿生コン社倒産後の関生支部組合員の賃金・雇用保障の経緯、労使紛争解決に際しての解決金が合意した経緯」など、K氏が長年にわたり京都地域の生コン業界で重要な役割をしていた経過や、関生支部と協力して京都地域の生コン業界再建に取り組んだこと、京都協組加盟社や関連企業の労使紛争に関わっていた事実や経緯を尋問しました。
「検察官の異議に対して、裁判官は却下した」
弁護人の尋問に対してK氏は、冷静な態度でしっかり答えていました。事件とされている「ベストライナー社」「近畿生コン社」の労使紛争解決と解決金の支払いについての弁護人からの尋問にK氏は、当時の京都協組内の関与とやり取り、関生支部の役員とのやり取りなどを具体的に詳細にわたり証言していました。また、検察官の異議を裁判官が却下するという場面が、いくつかありました。
「関生と協力した値戻しで協組内の各社の利益があがった」
K氏は、「2010年の(生コン業者と労働組合が結集した集会)生コン業界危機突破集会で、生コン業界を代表してあいさつしたことは、ゼネコンに奉仕するだけではなく、相互扶助でやっていくという自分の理念と合致していたからだ」「関生支部と協力した生コン価格の値戻し・適正価格(㎥/14000円から17000円)の実現により、2017年から、京都協組内の各社の利益があがった」「ストライキ中でも協組と関生支部が労使交渉して最終合意することもある」「京都協組の執行部を刷新したあとは、関生支部のストライキはなかった」となど証言していたのが印象的でした。
「時間切れ、K氏の反対尋問は次回も続く」
本日の検察側証人K氏の弁護側反対尋問は時間切れとなり、K氏の弁護側反対尋問の残り、検察側の補充尋問、裁判官の尋問などを残して、第3回公判は終了しました。
「裁判長から厳しく注意された生コン経営者」
法廷では、関西の生コン業界のトップ、大阪広域生コン協組の副理事長らや、奈良広域生コン協組の理事長、京都広域生コン協組の理事長が傍聴席に陣取っていました。
裁判の開廷中、傍聴席に陣取っていた経営側の2人が、裁判長から注意されていました。一人の経営者(大阪広域生コン協組・副理事長)は、「私語を止めなさい!」と裁判長から厳しく注意を受けていました。また、もう一人の経営者(大阪広域生コン協組・副理事長)は、「スマホを操作するのは止めなさい!」と裁判長から注意されていました。
裁判所の法廷内の傍聴に際して、ルールー守らず、裁判官から厳しく注意を受けるという非常識で節操のない生コン業界の経営者にはあきれるばかりです。
「弁護団から本日の公判のポイントが話された」
公判終了後、総括集会を開催しました。
永嶋弁護士
本日は、検察側の重要な証人K氏に対する反対尋問。ベストライナーについては『恐喝ではない』ということが獲得できたのではないか。京都地域の生コン業界の状況や関生支部と生コン業界の協力関係など、数十年の関係なかで『恐喝なんて話しにはならない』ということを示す事実を明らかにする尋問に、K氏は防衛しているところは見られたが、明確なウソはついていないと見受けられた。次回も引き続きK氏への反対尋問に全力をつくす。
位田弁護士
近畿生コン、ベストライナーの二つの事件で重要な証人、K氏の『解決金を組合に支払ったのは、組合に脅された。脅す手段はストライキだった』というのが検察側のストーリーだ。しかし、近畿生コンはストライキをしていない。近畿生コンの倒産に際して、占拠にかかる費用などは『京都協組が、アウト社が参入するのを組合が阻止してもらった』ということで、その費用として支払ったと、K氏が証言していた。ベストライナーの件では、組合つぶしの激しい攻撃により、長期間の労使紛争となっていた。京都協組を相手にストライキなどの行動を得て、京都協組が労使紛争の解決にあたり『組合員を職場復帰』させることを前提に、解決金を支払った。それはストライキが怖くて解決金を支払ったのではなく、ストライキにつきものの解決金を支払ったということ。しかも、『そのストライキは組合を認めさせることが目的であり、経営側が組合を認め誠実に対応していれば、そんなお金(解決金)を支払う必要はなかった』、『ストライキが怖くて払ったお金ではない』ということを、K氏は証言していた。次回の反対尋問につなげる。
と、本日の公判・検察側証人の弁護側反対尋問を総括しました。
「湯川委員長、闘う決意を表明」
当事者の関生支部・湯川委員長は「仲間のみなさんの早朝からの支援行動と傍聴支援に感謝する。京都事件は、長丁場となることから、仲間のみなさんの結集と支援行動がが欠かせない。関生支部は、裁判闘争と労働運動に全力で挑む。引き続きの支援をお願いする」と支援共闘の仲間への感謝と勝利するまで闘う決意を表明しました。
「支援行動と傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」
午前中に終わる予定が午後にくい込むという長時間にわたる公判に、傍聴支援に来てくださった仲間のみなさん、本当にありがとうございました。早朝、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさんの支援行動に感謝します。
次回の第4回公判は、3月23日(水)、10:00~16:00です。検察側証人K氏の弁護側反対尋問の残りと、新たな検察側証人尋問の主尋問です。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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