吉田生コン闘争 解雇撤回裁判で勝訴
吉田生コン事件一審判決(10/27 奈良地裁)

10月27日、奈良ブロックのY組合員が、株式会社吉田生コンクリート(奈良市。以下、吉田生コン)による解雇無効と地位確認を請求した裁判で、奈良地方裁判所(民事部、寺本佳子裁判長)がY組合員勝訴の判決を出した。

「弾圧に便乗した組合排除の解雇」

Y組合員は2回解雇されていた。
最初の懲戒解雇は2019年4月。吉田生コンがY組合員をふくむ組合員6人に組合脱退と自主退職を働きかけ、拒否したY組合員とF組合員を解雇したのだった。Y組合員の解雇理由は、1年半前の2017年10月~翌年6月、のちに弾圧事件の舞台となる加茂生コンで組合活動に参加して就労していなかったことを無断欠勤としたものだった。しかし、それは口実に過ぎず、「関西生コン事件」の権力弾圧に乗じて、大阪広域生コン協組と連携を図りながらY組合員ら組合員を職場から一掃したいというのが本当の理由だった。吉田生コンと関生支部の間には組合活動による不就労を認める労使協定があり、実際、会社は組合用務届を受理して賃金も支払っていた。翌2020年3月、奈良地裁は解雇は無効として賃金仮払いを命じる仮処分決定を出した。
F組合員は職場復帰できた。だが、解雇から2ヵ月後に加茂生コン事件で不当逮捕・起訴されて裁判中だったY組合員は職場復帰できなかった。しかも、同年9月、吉田生コンはこんどは逮捕、起訴を理由にY組合員に2回目の懲戒解雇を通知したのだった。
この理不尽極まりない執拗な組合排除の企みに、改めてダメ出ししたのが今回の判決ということになる。
なお、闘いはこれで決着ではない。吉田生コン側は控訴するだろうし、Y組合員はY組合員で、再雇用を実現して職場復帰するための闘いがつづく。というのも、不当解雇期間中にY組合員は 60 歳定年に達していたのだが、解雇を理由に吉田生コンは再雇用の申し込みに応じなかったからだ。再雇用を求める団交や、裁判・労委での闘いが新たなにスタートする。

「逆転無罪判決につづく解雇無効判決」

――さらなる反撃へ
Y組合員は昨年 12 月には、加茂生コン事件の控訴審で逆転無罪判決を手にした。今回の勝訴判決は、これにつづく大きな反撃の手がかりだ。
正当な組合活動を刑事事件にする。これに便乗して脱退勧奨と懲戒解雇で職場から組合を一掃しようとする大阪広域生コン協組と警察・検察が仕組んだこの事件全体の構図に、またひとつ風穴が開いたからだ。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目 労働運動を〈犯罪〉にする国
「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.79  ココをクリック   
関西生コン事件ニュース No.78  ココをクリック    
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
ココをクリック
関連記事 ココをクリック

賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ

(「BOOK」データベースより)

amazonで購入できます。 ココをクリック