「和解が合意した」中央労働委員会 / ナニワ生コン・浪速建資産業
ナニワ生コン社・浪速建資産業社(ナニワ生コングループ)が、大阪府労働委員会から「不当労働行為」と認定され、団体交渉応諾と謝罪文の交付が命じられました(令和6(2024)年7月19日付)。
この初審命令を不服としたナニワ生コン社・浪速建資産業社の藤中昌則社長が、中央労働委員会に再審査を申し立てた事件の第8回調査が12月8日、東京・中央労働委員会で開かれました。
「第8回調査、和解期日」
出席者は、会社側は藤中社長と3人の取締役、弁護士の4人(リモート)、組合側は武谷副委員長(出頭)でした。
最初に、中央労働委員会から提示された「和解案」(11月5日付け)について、審査委員から会社側と組合側に個別で意見聴取しました。
そして、会社側と組合側が同席のうえで、本件の和解が合意しました。
「和解条項」
令和7年12月8日「和解案(修正案)」
中央労働委員会は、ナニワ生コン株式会社(以下「ナニワ生コン」という。)および浪速建資産業社株式会社(以下「浪速建資」といい、ナニワ生コンと浪速建資を併せて「会社ら」という。)と全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「組合」という。)との間の中労委令和6年(不再)第33号および同第34号事件(以下「本件」という。)に関し、下記により和解することを適当と認め、和解を勧告する。
1 会社らと組合は、本和解により本件が円満に解決したことを確認する。
2 会社らは、本件が、初審において不当労働行為と認定されるに至ったことについて遺憾の意を表明する。また、長期にわたり話し合いができなかったことを踏まえ、会社らと組合は、今後の信頼関係の再構築に向けて、令和7年4月16日以降、労使双方が努力を重ね、4回の団体交渉を経て本和解が成立したことを認める。
3 会社らと組合は、下記(1)及び(2)のとおり相互に確認する。
(1)第2項の団体交渉の経緯が別添のとおりであったこと
(2)組合の組合員である七牟禮時夫氏及び西島大輔氏(以下「両組合員」という。)に対する懲戒解雇処分について、中労委令和2年(不再)第45号・第46号・第47号事件の再審査命令において、初審命令中同懲戒解雇処分に対する救済部分が取り消され、これを不服として組合が行政訴訟(東京地方裁判所令和6年(行ウ)第378号)を提起しているところ、両組合員が、ナニワ生コン又は浪速建資の従業員として復職することが確定した場合、次のとおり合意したこと。
ア 両組合員をミキサー車の乗務員として復職させる。
イ 両組合員の賃金を別添の別紙1のとおりとする。
ウ 会社らとの義務的団体交渉出席時の賃金を保障する。
エ 就業時間中に緊急必要性のある連絡用務が生じた場合の賃金を保障する。
オ 別添の別紙3のその余の事項について再度誠実に協議する。
4 会社らは、組合に対し、再審査手続きに要した交通費実費相当額を支払う。
5 (1)会社らと組合は、本和解について第三者に対し公表するに当たり、事実に反する報告や発表、相手方の名誉を毀損する言動または相手方を誹謗中傷する言動など、相手方の信頼を損なうような行為をしないことを相互に約束する。
(2)会社らと組合は、第4項の金額を第三者に公表しないことを相互に約束する。
6 会社らと組合は、本件に関し、本和解条項に定めるもののほかに、何ら債権債務のないことを相互に確認する。
「和解合意」
本件の和解について、上記の文書を清書し、審査委員、会社、組合の署名(押印)などの手続きは残っていますが、2025(令和7)年12月8日付けで和解は合意しています。
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】
ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
はじめに――増補にあたって
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
補章 反攻の始まり
増補版おわりに
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たちこの映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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