会場を埋め尽くす参加者
「ストライキが犯罪か!労働組合つぶしの大弾圧を許さない!3.10集会」が、3月10日、大阪市立西区民センターにて開催され、労働組合・市民団体・個人など520人が結集。会場は参加者であふれました。
この集会は、昨年からの関生支部への権力弾圧に対して、闘う労働組合や市民団体が結集して発足した「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」が主催したものです。
この実行委員会は、昨年から集会や学習会を企画・実践し、本年元旦には「大阪府警前の集会・デモ」を展開するなど、多くの成果をあげています。この運動が、関西各地へも広がり、実行委員会・京滋が確立。さらに、東京へも広がっています。
港湾でも国家権力との攻防が激化
集会は、司会を務める港合同・中村委員長と大阪教育合同労組・大椿委員長の開会のことばで始まりました。
主催者挨拶として、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会委員長・全港湾大阪支部・樋口万浩委員長は「集会を重ねるごとに参加者が増えており、この運動の正当性を実感している。カルロス・ゴーン氏は保釈されたが、我々の仲間は、いまだに保釈されていない者がたくさんいる。港湾関係の話になるが、2月2日、防衛省が自衛隊の装備の荷役を、我々との事前協議を無視して強行した。事前協議が締結されているにもかかわらず、荷役を強行したことに対して、2月4日から沖縄の仲間が無期限ストに突入。相手の対応次第で2月28日から全国の港でストライキに入ると通告したところ、『今後は厳格に対応する』との回答を勝ち取った。また、本日の集会には徳島から5名の仲間がかけつけてくれた。これからも、関生支部への不当弾圧を粉砕するために、連帯して闘う」と力強くあいさつしました。
滋賀県警の「異常な実態」を告発
続いて、関生支部・坂田副執行委員長から現状報告として、この間の弾圧による逮捕者や長期勾留の異常な実態が報告されました。
滋賀県警は関生支部の役員・組合員に対してまるで暴力団を相手にしたような対応をとっています。ある滋賀県警の警察官は「我々は甘くない、本庁の指示だ」などという驚くべき発言をしています。また、「子どもが泣き叫んでいるなかでも組合員宅の家宅捜索が強行された」と報告がありました。
今回の弾圧の本質として坂田副委員長は「政財界の利益のために、戦闘的な労働組合をつぶすことで、万博やIR事業で低賃金の労働者を使うことを狙っている。さらに、大阪サミットに対する抗議行動や沖縄基地建設反対運動、反原発運動などの社会運動をつぶすことが目的だ」と述べたうえで、「胸を張って、明るく闘う。働く者の権利を守るための闘いを継続する」と力強い決意を表明しました。
この後、本年2月1日の威力業務妨害事件第1回公判(大阪地裁)後の報告会の様子をまとめたDVDを上映しました。
いまだに支部役員の保釈を認めない大津地裁
次に、弾圧弁護団の太田健義弁護士が「大阪では、関生支部役員の保釈が認められているのに大津では認められていないことから、今後も集中して取り組んでいく」と発言。このあと、同弁護士が「被弾圧者からのメッセージ」を読み上げました。
大阪労働者弁護団と大阪社会文化法律センターが出した「労働運動に対する大規模かつ執拗な刑事弾圧に断固抗議する!」声明文が読み上げられ、韓国でも「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同団体・署名が広がり、現在、6団体・26個人となったことが報告されました。
関生支部への弾圧は「特高」のやり方そのもの
続いて、労働研究家・熊沢誠氏が特別講演を行いました。
熊沢氏は「関生支部への弾圧は、戦後労働運動の未曾有な組合つぶしである。労働運動が禁止されていたときの『特高』のやり方だ」と述べ、1900年代のイギリスの労働組合承認を争った経過と、権力・資本側の主張が認められたタグベイト判決を破棄させて労働争議権を勝ち取るための運動を展開したことが詳しく話されました。さらに、「労働組合の争議権は、本来、刑事・民事の免責が法律に謳われているにもかかわらず、今回の関生弾圧は、それを踏みにじる行為である」と指摘しました。
憲法28条を守らない労組つぶしにひた走る権力弾圧が「なぜ、今なのか」について熊沢氏は「日本全体で労働運動が衰退していることが大きな原因。関生支部を弾圧してもたいした反発は受けないと権力側がたかをくくっている。ストライキをする労組が少なく、皆無と言ってもいい」と分析しました。
一方、アメリカ、イギリス、ドイツなどでは、現在も数多くのストライキが闘われていることを紹介し、「日本は『ストライキのない国』。『今どきストライキか』という感覚が日本全体に蔓延している」と日本の労働運動の実態について危機感を表明しました。
関生を弾圧するもう一つの理由として熊沢氏は、「現在では例外的となった労組、まっとうな労組であること」をあげ、「だから、弾圧される。弾圧されることを誇りにするべき。勲章みたいなものだ」と述べました。
関生支部の組織と運動こそ「世界標準」
関生支部の性質を「単組であり、企業の枠を越えた業種別・産業別労働組合。生コン業界では生コン製造・運転手、正規・非正規労働者を包含している質の高い労働組合。これこそ正当な労働組合のあり方であり、世界標準だ」と説明しました。
さらに、「戦闘力の高さだけではない。産業のあり方を視野に、産業政策がしっかりしている」と述べ、「川上のセメント・川下のゼネコンから収奪されている中小企業の経営安定なくして労働者の労働条件の安定はあり得ないとして、中小企業を協同組合に結集させ、共注・共販体制を構築して生コン価格の維持をはかっている。関生支部が活発に運動している地域は、東京や他地域に比べて生コン価格が高い。逆に言うと、大資本にとってはこの運動が我慢ならない」と熊沢氏。
「関生支部は必要なストライキを実行する。生コン価格の維持などを要求してストライキに立ち上がり、スト破りには説得活動を行う。だから、セメント・ゼネコンなどの大企業は、膨大な資金を提供してでもつぶしにかかる。大阪広域協組が全面に現れ、商売のじゃまだと言って、右翼の排外主義者を使い関生を攻撃してきた。大阪広域協組と関生支部とが共闘関係をもつことで中小企業の経営安定と労働条件の向上・維持が実現してきたが、昨年末のストライキを契機にして不当労働行為にひた走っている」。
「権力、国家、警察が協力して直接弾圧していることは、逮捕者や長期勾留者が数多くあることから明らかだ。警察や検察の捜索や取り調べは、治安維持法下の『特高』と同じだ。特高の狙いは、転向させること。まっとうな労働組合の正当な活動を『違法だ、労組をやめるべきだ』などとどうして警察や検察から言われなければならないのか」
「野党や労働団体は関生弾圧の本質が本当に分かっているのだろうか。政党は国会でこの問題を取り上げるべきだ。大阪広域協組理事長や滋賀県警を証人喚問し、武委員長も喚問して証言してもらおう」と述べ、最後に「裁判闘争だけでは不十分。今こそ、社会運動や労働運動が必要だ。組織や潮流の枠を越えた市民・労働者の幅広い戦線を構築することが不可欠である」と締めくくりました。
「大阪と滋賀では法律が違うのか」
「連帯のメッセージ」では、大阪労働者弁護団・中井雅人弁護士から、2月5日に発生した弾圧の詳細が説明されました。この弾圧では、弁護士への伝達よりも産経新聞へのリークが早かったことを指摘。また、滋賀県警による被弾圧者の家族への嫌がらせや圧力行為の実態が報告され、「今回は検事調べがないまま起訴された。それだったら在宅起訴でいいのではないか」と疑義が示されました。
大津地裁と大阪地裁の保釈決定の違いについては「大阪と滋賀では法律が違うのかと思うくらい対応が違う」と述べ、「労組法は刑事免責・民事免責を勝ち取ってきた。入管法も身体拘束が目的だ。刑訴法も労組法も使わなければならい」と問題提起しました。
労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会・京滋の西村修氏は、滋賀・京都の集会や抗議行動について報告し、「この間の攻撃は、家族におよんでいる。生活者としてこの領域に警察が入ろうとしていることに憤りを感じる。一人の生活者として自分のできりことをやっていく」と発言がありました。
兵庫ユニオン・小西純一郎氏は「分断された労働者階級の現状がこの弾圧を許している。労組が堕落している。関生・全港湾に頑張れと言っているだけでは変えられない。権力は80年代には国労をつぶした。労組つぶしの実態を地域で広めていく」と発言しました。
労働者の立場に立った「闘う国会議員」を
元衆議院議員・服部良一氏は「労働争議において実力をともなうのは当たり前だ。当たり前の争議権が侵食されている。関生支部が取り組んできた沖縄基地反対など反戦平和、社会運動をもつぶしにかかっている。この問題について野党がしっかり発言することが重要。はっきりモノを言う国会議員を国会へ送ることが関生弾圧に勝利する道だ」と述べました。
集会のまとめとして全港湾大阪支部・小林勝彦書記長は「今日は会場に入りきれないほどの参加者があり、実行委員会として大いに励まされた」と参加者へのお礼を述べたうえで今後の行動を提起。集会決議案を読み上げて全体の拍手で確認しました。
最後に、司会者の大椿ゆうこ委員長が閉会のことばを述べたのち、「団結がんばろう」で締めくくり、集会は成功裏に幕を閉じました。
「異常な弾圧」を粉砕するために力を合わせよう
本集会に結集した多くの仲間のみなさんには、集会で決議・確認されたことを実践することを提起します。警察・検察・裁判所が一体となった異常な権力弾圧をはね返し、粉砕して不当に勾留されている仲間を早期に奪還する取り組みを強化しましょう。さらに、法廷闘争では、無罪判決を勝ち取るための取り組みを全国的に展開していきましょう。
本集会に結集した労働組合や市民団体の仲間のみなさんには、今後ともご支援ご協力のほどよろしくお願いします。
第12回 公判
日時:2019年3月25日 10:00~17:00
第13回 公判
日時:2019年3月26日 13:10(変更)~17:00
第14回 公判
日時:2019年3月27日 13:10(変更)~17:00
第15回 公判
日時:2019年3月28日 13:10(変更)~17:00
場所:大津地方裁判所
第2回 公判
日時:2019年5月15日 10:00~
場所:大阪地方裁判所 大法廷 201
第2回 公判
日時:2019年4月2日 11:00(変更)
場所:大津地方裁判所
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
PDF
ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…) 単行本 – 2019/1/30
連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
内容紹介
レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
いま、まっとうな労働運動に加えられている資本による攻撃と「共謀罪のリハーサル」ともいえる国家権力による弾圧の本質を明らかにする!
お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
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