「阪神淡路大震災検証シンポジウム」を開催

連帯ユニオンは、大震災で被害を拡大させた原因をあらゆる角度から徹底解明し、公共工事や品質管理のあり方を抜本的に見直し、再発防止や補強対策に活かすべく関係者の周知を結集して1995年6月24日、「阪神淡路大震災検証シンポジウム」「公共建造物はなぜ壊れたのか」を尼崎市立労働福祉会館で開催しました。
シンポジウムは、被災地からのアピールを受けて、「建造物の倒壊原因を探る」ディスカッションで検証。パネラーとして、小林一輔千葉工業大学教授、須賀好富近畿大学教授、戸谷英世住宅生産研究会主宰、山室寛之読売新聞社会部長がそれぞれの立場から問題を提起。のちに『阪神大震災の教訓』(第三書館)として単行本にまとめられ出版されました。
この中で小林教授は、阪神大震災の調査を通じて生コンの品質を悪くした原因を次のように指摘しました。

「品質不良の根源に『ゼネコンによる買い叩き』」

阪神大震災で破壊されたコンクリートに品質異常のものが目立った。塩分を大量に含んだコンクリート、アルカリ量が異常に多いセメントの使用などはその一例である。このような品質異常の生コンが用いられた理由に、生コン産業の脆弱な体質と、これにつけこんだゼネコンの買い叩きがある。生コンの価格は景気の変動に左右されやすいといわれる。これは平均操業率が20%という数字が示すような過当競争の体質が災いして、不況期にゼネコンに買い叩かれるからである。
生コン産業では生コン価格に占めるセメント、骨材などの原材料費の割合が極めて高く、約60%に達している。要するに、零細企業である生コン工場では、生コンが買い叩かれた場合、セメントや骨材の原材料費の品質を落とす以外に対応するすべがないのである。さらに、伝票操作で地下水と称されるリベートがゼネコン側に支払われている。品質異常の生コンがコンクリート構造物に使用され、粗悪な品質のコンクリート構造物が量産されている責任の一端は、このような生コンの買い叩きを行ったゼネコンが追わなければならない。
さらに、1970年代から1980年前半にわたって市場に出回ったアルカリ量が異常に多いセメントは、コンクリートの癌と呼ばれるアルカリ骨材反応による劣化を引き起こすとともに、長期強度(材齢28日以降)が低く、急速な炭酸化を招くような品質の劣るコンクリート構造物を大量につくり出した。1983年に実施したセメントの品質試験のうち、アルカリ量が多いセメントは、西日本のように海砂使用地域においてアルカリ骨材反応を引き起こす危険性が高くなる。セメント中のアルカリ分が1%もあるような高アルカリセメントを用いたコンクリートの材齢28日強度は、通常のセメントを用いた場合に比べて約25%も低下する。
以上から明らかなように、高アルカリセメントの使用がコンクリート構造物の体質を悪くした影響は、その程度と範囲において計り知れないものがあるのです。

「公共工事の現場で進行する第二の危機に警鐘を鳴らす」

シンポジウムは専門家の各パネラーから報告とディスカッションで被害原因を究明したあと、武建一連帯ユニオン中央副執行委員長が「公共工事の現場で進行する第二の危機に警鐘を鳴らす」特別報告を、長谷川武久連帯ユニオン中央執行委員長が「公共工事と品質管理の抜本的見直しにむけて」提言を行いました。
阪神高速道路や山陽新幹線建設当時の1970年代の生コン業界は、安定供給・品質保証・適正価格の3条件がまったく満たされず、このことが原因として品質劣化による災害の大きさにつながったことを、歴史的事実としてしっかりと受けとめて今後の教訓とすべきことを指摘。

「生コン産業の健全な発展に向けて」

今日の生コン産業もこの歴史的現実について総括していないことから、今日またもや品質上に重大な問題が発生していること。品質の優れた生コンクリートを確保するには、①良質な天然骨材の確保、②技術者の養成と品質管理研修制度の確立、③安定した経営基盤の確立、④労使関係の安定が不可欠であること。
今後の生コン産業の健全化に向けた課題として、(1)第3次構造改善事業の推進、(2)大阪広域協組の活動推進(共同受注・共同販売による過当競争の抑制、適正生産方式の確立、適正価格の確立)であることを指摘しました。

関西生コン弾圧事件ニュース NO.7 PDF

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