民衆に犠牲を強いて大企業を優遇する「大阪都構想」を粉砕する闘いを

大阪維新の会は、大阪市を廃止・分割する「大阪都構想」に向けた住民投票を11月1日に実施しようとしています。2015年5月の住民投票で「大阪都構想」は否決されたのにもかかわらず。

「知事が好き勝手にできる体制」

法定協議会で、大阪維新の会や公明党らが決定した大阪市の廃止・分割の制度案は、コロナ禍以前のものなので、コロナ対策を含めた財政シミュレーションの見直しが不十分な欠陥の多い制度なのです。
「前回よりもバージョンアップした」と大阪維新の会は誇らしげに発信していますが、大阪市を廃止して分割する特別区の数を5つから4つに変更したぐらいで、大阪市の財源も権限も、1人の知事が好き勝手にできるという体制づくりの骨格は変わらず、「都(府)」に吸い上げた財源は、カジノを誘致するIR事業などへの投資を目的にしているのです。

「住民サービスの維持は、努力義務」

これまでの「住民サービスが維持される提案が受け入れられた」ことを理由に、賛成に転じた公明党ですが、何の保証もないのが実態です。
特別区への移行期は「住民サービスを維持する」という当然のことを制度案に明記させただけで、特別区設置日以降は、「住民サービスを維持するように努める」との努力義務で、「住民サービスの維持」の確約がないのです。

「災害時の対応が懸念される」

「初期コストの抑制」はいいかげんで、「4つの特別区は新たな庁舎を建設せず、既存の区役所を活用する。執務の面積が不足する特別区は、北区にあるいまの大阪市本庁舎(中之島庁舎)を使う」という案です。中之島庁舎を、北区、淀川区、天王寺区の三つの特別区が使う「合同庁舎」の構想ですが、他の自治体に庁舎が置かれることから、災害時の対応が懸念されます。

「コロナ対策に集中するべき」

現行の法律では、大阪市を一旦廃止にすると元に戻せないのです。市民は十分に考える時間がなく、議論する場もないことから、重要な情報が提供されていないのです。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか市民からは「いま住民投票する必要はあるのか」などと多くの疑問や批判の声が上がっています。
大阪市が都構想の先取りで「二重行政の解消」として行ってきた、病院や公衆衛生研究所の統廃合、保健師削減の見直しを最優先しておこなうことが、新型コロナウイルス感染拡大の収束につながるのであり、大阪府も大阪市もコロナ対策に集中するべきです。
また、大阪の経済もコロナ禍で悪化し、税収の不足から逃れられません。公衆衛生や医療体制の整備強化、学校での少人数学級の実現、インバウンド(訪日外国人)頼みの経済政策の転換などが求められているのです。

「都構想を粉砕する闘いを」

大阪都構想には、住民投票で6億円、初期費用に500億円以上もの費用がかかることが判明しており、私たちの税金が使われます。この莫大なお金をコロナ禍によって被害を受けた労働者や中小零細事業者のために使うべきです。
府民や市民に犠牲を強いて、IR事業など大企業優位政策を推進するのが大阪維新の会の目論見なのです。私たち労働組合が先頭に立ち、あらゆる行動を展開して、大阪都構想を粉砕しましょう。

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