取り調べの弁護士同席を実現するために行動を

大津地検は9月18日、乳児の腕をかんだとして滋賀県警が傷害容疑で逮捕し、大津地検が起訴した母親の起訴を取り消したことを発表しました。検察による起訴の取り消しは異例で、大津地裁は同日公訴(起訴)棄却を決定しました。母親は23日間、身体を拘束されており、大津地検と滋賀県警は母親に謝罪しました。

関連記事 ココをクリック

「歯形が母親と別人の歯形だった」

母親は昨年8月下旬~9月上旬、生後1ヵ月の乳児の左腕にかみつき、約1週間のけがを負わせたとして昨年10月に逮捕され、翌11月に起訴されました。
今年1月28日に大津地裁で開かれた第2回公判で、弁護側の証人尋問を受けた滋賀県警の歯形の鑑定官が、乳児の腕に残る歯形として「証拠提出された歯形について、母親と別人のものと取り違えた」可能性に言及したことから、改めて捜査した結果、「別人の歯形と確定」したのです。

「認めないと夫や両親を呼び出すことになる」

滋賀県警は、乳児への虐待の疑いの通報を受け、複数人から歯形を採取しました。鑑定官が石膏で歯形を複製した際、別人の複製に母親の名前を記入していたことが判明したのです。
母親の弁護人は会見で「鑑定結果の結論部分だけをうのみにして、家族をだしに自白させた」と不当な捜査を厳しく指摘し、「母親は逮捕当日は午前8時から午後8時まで大津署で取り調べを受けた。取調官に『お前はクロだ』『認めないと夫や両親を呼び出すことになる』などと言われて自白し、『犯行』を認めた『自供書』も作成された」と、取り調べの実態を述べ、「母親は逮捕翌日に弁護人と接見して、否認に転じた」と話しました。
また、弁護人は、「母親は『慢心せずにやってほしい』と話している。当初は容疑を否認する母親に『否認すれば家族が呼ばれる』などと『強圧的な取り調べ』でいったん自白させられた」と滋賀県警の捜査を批判しました。

「滋賀県警は、取り調べに問題はなかった」

山上真由美次席検事は「証拠の重要な誤りに気づかなかったのは申し訳ない」と会見で謝罪しましたが、滋賀県警は会見で「取り調べは問題なかった」としています。
母親は9月17日に県警幹部や検察幹部から謝罪を受けましたが、「取調官からの謝罪がないので受けとめられない」「自宅のチャイムが鳴ると、捜査が来たのかとおびえながら生活している」などと伝えたとのこと。
乳児は児童相談所が保護しており、母親は逮捕後は乳児と会っておらず、早期の面会を望んでいます。

「ずさんな捜査がまた、繰り返された」

警察が誤った鑑定結果をもとに「母親を脅し」、「虚偽の自白」までさせたことについて、専門家からは「あまりにずさんだ」と批判が上がっています。
元刑事裁判官の木谷明弁護士は鑑定の取り違えについて「あまりにずさんだ」と指摘し、「虚偽自白でこれまで何度も冤罪が起きてきたのに、チェック機能が働かなかったのか。自白は慎重に吟味し、『やっていない』という声に真摯に耳を傾けるべきだ」と話しました。
滋賀県警の捜査をめぐっては、滋賀県東近江市の湖東記念病院で死亡した男性患者に対する殺人罪で服役し、再審無罪が確定した元看護助手の女性についても、『自白の誘導があった』と指摘されています。

「取り調べの弁護士同席を実現しよう」

このようなことを二度と繰り返させないためには、この間、議論されている「警察・検察による被疑者の取り調べには、弁護士の同席が絶対条件」を実現することが必要です。普通に生活していても、突然、このような場面に直面する可能性があるのです。他人事にならずに、自らのことと捉えて声をあげ、取り調べの弁護士同席の実現をめざして行動しましょう。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ 

PDF

デモクラシータイムス
【竹信三恵子の信じられないホントの話】
ヘイトの後に警察が来た~関西生コン事件
←ココをクリック
関西生コン事件ニュースNo.44 ココをクリック 
「関西生コン事件」国家賠償請求訴訟 関連記事
OURPLANET(動画)「労働組合の自由を奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟←ココをクリック
IWJ 国家賠償請求提訴についての記者会見 2020.3.17←ココをクリック
関西生コン労組、違法捜査と国など提訴 執行委員長ら恐喝容疑巡り「長期勾留は恣意的」 2020年3月17日 20:42 京都新聞←ココをクリック

大阪府労委で組合側の完全勝利命令!←藤原生コン運送不当労働行為事件

またもや、組合側勝利命令!←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件

吉田生コン分会1名が職場復帰を果たす!PDF

労働組合やめろって警察にいわれたんだけどそれってどうなの(憲法28条があるのに…) 単行本 – 2020/3/6
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)

内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
アマゾンでも購入することができます。

こちらから