少年法改正は、少年や社会に大損失

少年法の「改正」法案が、今国会で審議されています。①「法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げる」②「18歳、19歳を『特定少年』と想定し、成人と同じように「刑事処分を科す範囲を広げる」③「裁判になった場合に『氏名や顔写真の報道が解禁』される」という、少年法で規定されている制度の一部を適用しないという内容です。

「少年法とは」

少年法は、20歳未満の少年が犯罪行為を行った場合に、成人と同じ刑事手続きではなく、家庭裁判所での調査と審判を経て処分を決めると定めています(※法律用語の「少年」には少女も含まれます)。
家庭裁判所では、心理学や教育学を学んだ専門家である「調査官」が、少年の性格や成育歴、家庭環境など、どこに問題があったのかを詳しく調査します。その少年が再び犯罪行為を行わないために何が必要なのかを考え、少年や保護者などと話し合い、環境の改善を働きかけます。そのようなプロセスを経て、裁判官がその少年の処分を決めるのです。少年院では内省を促すための指導がきめ細かく行われます。

「少年事件の数は15年以上、減少している」

成人の刑事事件は、少年法のような詳しい調査や指導は行いません。検察庁が2019年に受理した約90万件の事件のうち60万件は不起訴、20万件は略式罰金で手続きが終了しており、成人の刑事事件の大部分は、本人や周囲への働きかけも行われず手続きが終了してしまいます。
少年法は、少年の全ての事件を家庭裁判所で調査をして処分を検討します。少年が抱える問題性が大きければ、成人では何の処分を受けないような事件であっても少年院に行くこともあります。「少年法は甘い」という声がありますが、これは実態に基づかない誤解であり、少年事件の数は15年以上、減少し続けているのを見れば明らかです。

「少年が犯罪に巻き込まれるリスクが高くなっている」

少年事件というと、素行の悪い子の犯罪というイメージかもしれませんが、実態は、「普通の子」の方が圧倒的に多いのです。
一昔前は、夜の繁華街にでも行かなければ犯罪に関与することなどなかったかもしれず、家出をしたいと思っても簡単ではなかったでしょう。しかし、今は、SNSで「割のいいバイトがある」と紹介されオレオレ詐欺に関与したり、女の子が「家出したい」と書き込むと、「私が助けてあげる」と見ず知らずの人からの返信がたくさん来る状況があります。以前よりも、少年が犯罪に巻き込まれるリスクが格段に高くなっているのです。

「少年法の機能を弱めるのは、少年や社会に大きな損失となる」

未熟さから誘いに乗って過ちを犯したり、犯罪に関わるような状況から抜けなくなったりした少年たちも多くいます。少年たちを、その環境から引き離し、本人に自覚や内省を促す「立ち直りの機会を与える」のが少年法です。
成人と同じ手続きとなれば、立ち直りの機会が奪われて、社会に戻されてしまいます。少年法の機能を弱めてしまうことは、少年にとっても社会にとっても大きな損失となります。弁護士会や多くの調査官、児童青年精神医学会も、今回の少年法「改正」に反対しています。
私たち労働組合には、弁護士や調査官、児童青年精神医学会と連帯した運動が求められています。現行の少年法の「立ち直る機会を与える」目的や意義を広く発信する行動を展開して、少年法改正案の成立を阻止しましょう(弁護士・小林善亮さんのお話しを参照しました)。
※小林弁護士は、「18.19歳の事件簿」(全司法労働組合が発刊している冊子)を推奨しています。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

ハーバービジネスオンライン
「関生事件」が揺るがす労働基本権
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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20

業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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