滋賀「ビラまき」事件第8回(併合17回)公判、4月25日、大津地裁

連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判が4月25日、滋賀・大津地裁で開かれました。本日の公判は、証人尋問で検察側の主尋問と弁護側の反対尋問です。

「ビラ捲き事件とは」

「滋賀・ビラ捲き事件」は、コンプライアンス(法令遵守)の実態や事実が記載されているビラを配布したことが、恐喝未遂・威力業務妨害などとされている事件です。

「検察側の主尋問」

証人は、生コン製造業D社のN副社長。検察官の主尋問ではN副社長は「D社が湖東協組を脱退した後、関生支部の街宣活動により、工事現場の作業が中断したことで、生コンを持ち帰りD社に費用負担がかかったこと、取引先から契約を打ち切られてD社の売り上げが減少したこと」などと検察側のストーリーに沿った内容を証言しました。

「弁護側の反対尋問」

弁護人の反対尋問では、「関生支部の街宣に対して、D社は被害届は出していない」「生コンの『品質監査会議』から、『加水』が認定され『マル適マーク』の使用が、『2度』も禁止されたこと」「2020年にD社で死亡事故が発生したこと」などの質問に対してN副社長は、概ね認める証言をしました。N副社長が、加水行為によるマル適マーク停止については、「加水を認めたのではなく、紛らわしい行為については認めた」と証言していたのが印象的でした。

「雨水が入るの仕方がない」

検察官の補充尋問でN副社長は、「マル適マークが停止された経緯については、D社の生コン納入現場で写真を撮られた。そのことを生コン工業組合から問い合わせがあったので紛らわしい行為は認めた」「協組脱退の理由の一つには、生コン価格の値上げのための活動費として、関生支部にお金を渡すのがいやだった。稼いだお金を違うところに渡すのはいやだった」などと証言。
検察側の補充尋問に対する弁護人の反対尋問では、生コンの品質について「生コンを積み込んだあとのミキサー車のホッパー洗浄や雨水侵入などは加水になり生コンの品質に悪影響を及ぼし禁止されていることは認識しているか」との質問にN副社長は「ホッパー洗浄を加水?そんなことはない。雨水が入るの仕方がない」と証言したあと「ホッパーはフタをしている。当時とは違う」などと証言を修正していたのが印象的でした。

「マル適マークの停止について取引先から聞かれたか?」

裁判官からの「マル適マークが停止されたときに、契約を打ち切られた取引先から、マル適マーク停止について聞かれたか?」との尋問にN副社長は「聞かれた。1カ所の納入現場が協組に流れた」と証言。
「協組を脱退したいが脱退できないとは誰から聞いたのか?差し支えなければどこの企業か?」との尋問にN副社長は「業者から聞いた。名前は言えない。協組にいれば関生支部の街宣活動はない」などと証言していました。
N副社長の証人尋問が終了したあと、検察官から「K氏」(圧送業者社長)の証人は取り消すこと求め、裁判官はK氏の証人採用を取り消しました。次回以降の公判期日を確認して本日の公判は終了しました。

「湯川委員長、闘う決意を新たに」

公判終了後、弁護団から本日の公判の総括が報告されました。太田弁護士は「今日の証人、D社はF社(ゼネコン)の事件に関係がなく、N副社長の態度はあまり良くなかった。D社は、死亡事故を起こすなど、生コンの安売りによって歪みが生じている。F社も関生支部のコンプライアンス活動がなくなって現場での事故が多発している。関生支部の協同組合運動やコンプライアンス活動などの産別運動が弱まった結果だ。圧送業者の社長K氏の証人は取り消された。K氏はこの間、出廷していたのに、連絡が取れなくなったらしい?引き続き無罪判決の獲得に向けて取り組む」と総括しました。
当事者の湯川委員長は「仲間のみなさんの早朝からの支援行動と傍聴支援に感謝する。大阪広域生コン協組が背景にあるのが滋賀事件だ。関生支部の産業別運動の優位性・正当性が明らかになった証人尋問だった。大阪広域生コン協組の労働組合つぶし、それに便乗する警察・検察の権力弾圧と闘う決意を新たにした。裁判闘争、産業別労働運動の前進に全力で挑む。引き続きの支援をお願いする」と支援のお礼と闘いの決意を表明しました。

「傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」

午前中いっぱいという長時間にわたる公判に、傍聴支援に来てくださった仲間のみなさんに感謝します。早朝にかかわらず、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさん、本当にありがとうございました。
次回の第9回(併合18回)公判は、5月23日(月)、午前中の予定です。検察側証人、K氏(生コン経営者)の証人尋問です。

ー お知らせ ー
関西地区生コン支部が展開する産業別労働運動への仲間の皆さんのご協力とご支援に感謝します。また、日頃の関西地区生コン支部弾圧への物心両面にわたるご支援に、心からお礼を申し上げます。さて、「今こそ関生魂を!!激動と根底的変革の時代を共に生きよう!6.4映画「棘2.独白」上映(主催、6.4映画「棘2.独白」上映実行委員会)が、6月4日(土)18:00から文京区民センター2Aで開催するというチラシが配布されています。
このチラシには、連帯・関西地区生コン支部と記された組合旗が、写真で掲載されていますが、この主催者団体らと、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部は、何ら一切関係のないことをお知らせします。
関西地区生コン支部が携わり、関与する集会などのイベントについては、当労働組合発刊の機関紙「くさり」や、当労働組合が作成するホームページの「連帯広報委員会」でお知らせしています。支援共闘の仲間の皆さんには、お間違えのないようにくれぐれもよろしくお願いします。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.72 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.73 ココをクリック
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
ココをクリック
関連記事 ココをクリック

賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

amazonで購入できます。 ココをクリック