「高裁の勝利判決」さらなる勝利判決をめざして行動を
東京電力福島第一原発の事故から9年半が過ぎ、国が被告となった原発事故の集団訴訟で初めての高裁判決は、国の責任を認め、その姿勢を厳しく批判しました。
福島県内の住民や避難者ら約3700人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決が9月30日、仙台高裁で言い渡され、上田哲裁判長は一審に続き「国と東電の責任を認め、約10億1千万円の賠償」を命じました。
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「国の姿勢を厳しく批判」
福島地裁の一審に続き、2002年に国の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」の信頼性が争われた今回の判決では、「福島県沖で津波地震が起きる可能性」を示して「個々の学者や民間団体の一見解とは格段に異なる重要な見解で、相当程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見」と重視しました。
公表当時、「経済産業省がすぐに津波高の試算を東電に命じれば、津波の到来を予見できた」とし、「規制当局に期待される役割を果たさなかった」と国の姿勢を厳しく批判し、「規制権限の不行使は国家賠償法の適法上違法」と指摘しました。
「賠償地域は拡大、賠償額は倍増」
また、国と東電が「喫緊の対策措置を講じることになった場合の影響を恐れ、試算自体を避けようとした」として、一審では国の責任を「(東電を)監督する第二次的なものにとどまる」としていましたが、「東電と同程度」としました。
賠償の地域は福島県会津地方や宮城県、栃木県の一部にも拡大され、対象人数も約2900人から約3500人に増えて、賠償額は一審の約5億円から倍増しました。
「国と東電に完全に勝利した」
福島第一原発事故での国の責任をめぐっては、各地の地裁で判断が分かれており、判決が出た13の地裁のうち、6つの地裁では福島県沖の津波地震の予見可能性を認めつつも、東電に安全対策を指示しても事故までに間に合わなかったなどとして、国に責任があるとは認めませんでした。
東電の旧経営陣が無罪となった昨年9月の東京地裁の刑事裁判では、予見可能性の根拠となった2002年の国の「長期評価」の信頼性が否定されました。その後、国の責任を問うた集団訴訟の判決は4つの地裁で出ていましたが、原告側が「3敗」と、国の責任も否定する流れが続いていました。
今回の高裁判決は、長期評価について「合理的根拠がある科学的知見」とし、東電からの「信頼性に疑いがある」との報告を受けて津波高の試算の指示を撤回した国の態度について、「不誠実ともいえる東電の報告を唯々諾々と受け入れ、期待される役割を果たさなかった」と批判し、「原子力発電所の設置・運営は、国家のエネルギー政策に深く関わる問題」として、国も東電と同等の責任があるとしたのです。
原告団の馬奈木厳太郞弁護士は「国と東電に完全に勝利した。後続の裁判に与える影響は大きい」と、高裁の判断を評価しました。
「裁判官が避難生活の実態を見て、原告の話を聞いたことの効果が」
一審では認めなかった地域や原発から離れた地方の原告にも賠償範囲が拡大し、避難指示が出た地域を中心に増額もされ、総額も倍増したことについて、原告代理人の深谷拓弁護士は、昨年5月に「高裁の裁判官が被災地を視察した」ことを挙げ、「裁判官が実際に避難の生活実態を見て、原告の話を聞いたことの効果があった」と話しました。
「さらなる勝利判決の獲得に向けた行動を」
原発問題に詳しい除本理史・大阪市立大教授は「後続の裁判も、原告は同様の水準で立証している。負けが続いていた流れが反転する潮目になるだろう」と指摘しました。
政府の事故調査・検証委員会の委員長を務めた畑村洋太郎・東京大名誉教授も「見たくないデータを見なかった国と東電の姿勢を論理的に指摘する画期的な判決だ」と話しました。
国が被告となった原発事故の集団訴訟での二審判決は仙台高裁が初めてです。群馬や千葉、京都などへの避難者による集団訴訟の審理が高裁で続いており、原告らは同じ種類の裁判への影響を期待します。
仙台高裁の勝利判決をつなげて、さらなる勝利判決の獲得をめざして行動を展開しましょう。
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