支援と関生支部の固い団結を築く 3月21日、関生弾圧を許さない東海の会 学習と交流のつどい

3月2日の大津地裁コンプライアンス事件の不当判決、3月6日の大阪高裁・和歌山事件の逆転無罪。2つの対照的な判決を踏まえて名古屋市の労働会館で行われた学習交流会には60名が結集、多くはこの6年間、一貫してこの弾圧に反対する運動を支援してきた人たちでした。

対照的な判決を弁護士が解説

集会は植木事務局次長の司会で始まり、石田好江共同代表の挨拶に続いて、同じく共同代表の中谷雄二弁護士の講演が行われました。
中谷弁護士は、大津地裁の3.2判決について、「罪刑法定主義というのは本来、人間が自由に行動する基礎になるもの。刑罰を科すには、まず、行為が犯罪の構成要件に該当するか否かが判断され、次にそれが正当行為としての違法性阻却事由の適用があるかが検討される。さらに、公訴権の濫用があった場合、公訴が無効となる」とし、「3.2判決は、湯川が高圧的な口調で、『道路がよごれている。ステッカーの位置が悪い』と言ったことは相手を畏怖させる害悪の告知だとし、あるいは、『現場前側溝に生コン汚水垂れ流し!』というビラを手渡し、資材を搬入している運転手に、軽微な不備を指摘して作業工程を変更させたことを、威力を用いて業務を妨害した等、考えられないような事実認定をおこなっている」と批判しました。
そして、中谷弁護士は、「3.2判決は何よりも憲法28条、労組法1条2項に基づいて違法性阻却を検討することが全く行われていない。そもそも多衆が集まって要求する労働運動は相手を畏怖させることを伴う。しかし、それは普段は命令権限を持つ使用者に対抗するために必要なものとして労組法1条2項の刑事免責が与えられている。しかるに、昨今、労働三権を団体交渉に収斂させ、団交を保障する範囲でしか争議権を認めない学説が流布されている。企業内組合しか知らない、長らくストライキ、ピケッティングなどの闘争を目にしないことによる実力闘争に対する違和感が、関西生コン事件への理解が広がらない原因ではないか」と指摘しました。関生弾圧を見過ごすことは市民運動への弾圧に繋がることを、東海地方の大垣市民監視事件と白龍町マンション建設事件を例に挙げて指摘。「戦前の歴史を繰り返すのかが問われている」と結びました。
続いて、3月6日に和歌山事件で無罪判決を勝ち取った関生支部役員が「和歌山では事業者側からの要請を受けて生コンのダンピングをしないよう協同組合の運営に協力して生コンの適正価格を実現、抜け駆けを意図して広域協組を設立させたMが連帯ユニオン事務所に元暴力団員を差し向けたことで事件が発生。アポを取って行った要請・抗議活動が一審では犯罪とされたが、今回の控訴審では無罪、私たちが行ってきた産別労働運動が認められたことが嬉しかった」と報告がなされました。

支援者へ感謝の意を述べこれからの抱負を述べる

第2部に移って、3.2コンプラ事件で被告とされた組合役員と組合員が発言。「検察と判決はコンプラ活動が㎥100円ポッチをもらうための活動としているが、私たちは自腹で交通費を出し、賃金カットを受けながらコンプラ活動をしてきた。生コンへの加水を拒否して殴られたり、ものを投げつけられたりしこともある。安売り競争が不正を招き、それは結局、労働者の賃金へシワ寄せがくる。アウト対策はそれを許さない活動、悪いことをしているとは思っていない。威力のない労組では要求は通らない。支援の感謝を述べると、支援者が『私たちは私たちのために闘っている』と言われたことが忘れられない。これからもくじけることなくたたかっていく」「長期の拘留、3度も繰り返された逮捕、取り調べは組合からの脱退強要に終始した。検事調べでは録画が法廷で上映された。判決で『捜査に違法性はなかった』と述べられたことに対しては怒りしかない」としました。
質疑を経て、共同代表の熊沢誠名誉教授が、「大阪スト事件と大津コンプライアンス事件では、関生の産業政策運動を認めないという権力意志がある。イギリスでは50万人の公務員ストが闘われている。スト、ピケッティングは国際的には当然の行為だ」と持論を展開、集会を結びました。
集会後、支援と関生支部組合員が会場近くの居酒屋で交流、運動、弾圧、支えてくれた家族への感謝と話に花が咲きました。

 

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。

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ー 公判予定 ー

4月19日  コンプライアンス二次事件 大津地裁 10:00~
5月11日     京都3事件                    京都地裁 10:00~

関西生コン事件ニュース No.88  ココをクリック3月29日発行 関連動画 「関西生コン事件」報告集会 ココをクリック 
関西生コン事件ニュース No.87  ココをクリック 
関西生コン事件ニュース No.86  ココをクリック   

2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ

(「BOOK」データベースより)

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