「国会議員団による被害原因究明調査団」

1995年2月3日、8日には、全日建対策特別委員会を中心とした国会議員団による「阪神淡路大震災による公共建造物の被害原因を究明する」調査活動が実施されました。村田参議院議員、永井信孝・和田貞夫衆議院議員が山陽新幹線の崩壊現場を視察。沿線での実態調査や地元住民からの聞き取りを通じて、被害の実態と原因を把握しました。こうした調査活動を通じて、随所で確認された施工不良や手抜き工事、資材の品質不良という現実を直視し、今後の公共工事や生コン産業のあり方が鋭く問われる契機となったのです。
ところが、最も責任を負うべきゼネコンも建設関連業界も、そして行政や学会の大勢も口は重たく、ただ「予想を上回る地震力だった」と繰り返すばかりでした。しかも、次々と発覚した手抜きや施工不良の実態を突きつけられると、「復興」に名を借りた建造物の解体・撤去作業のスピードは急ピッチとなりました。JRも同様でした。新幹線橋脚崩壊の被害に不安を募らせる沿線住民に対し、情報公開を頑なに拒み、そのことがより住民の不安を高めることとなったのです。
JR西日本の井手正敬社長は震災直後、「阪神淡路大震災は、200%安心なものを造ってきた国鉄の経験を軽々と越えた」と話しました。しかし、尼崎市・食満地区の高架橋落下には別の理由があるはずです。被災地の沿線住民の間には、「落下した橋げたを復旧工事で再使用して大丈夫か」との不安や、「姫路~博多間にも手抜き工事があるでは」との疑問や不安が募っていました。連帯関生支部はこうした沿線住民とも連携して、その後の調査活動を進めることとなりました。

「コンクリート強度はすでに『75歳』」

山陽新幹線は、1972年に新大阪から岡山間が開通しました。博多までの全線開通はその3年後となります。「コンクリート構造物は寿命100年」ともいわれますが、わずか30年足らずではがれ始めたことになります。
小林一輔・千葉工業大学教授によると、高架橋のコンクリート落下事故はすでに10数年前から起こっていたといいます。JR西日本はその都度補修しているが、補修した箇所がまた落下するという繰り返しが続いています。山陽新幹線は人間でいうと小学4年生程度のはずですが、コンクリートの強度はすでに「75歳」くらいまで老化が進み、「構造物としては末期的な段階ではないか」と教授は指摘しています。
ではなぜ、こうも短期間のうちにコンクリートの劣化が進んだのでしょうか。
コンクリートがもろくなる主な原因として、
①「中性化」コンクリートは本来アルカリ性だが、年月とともに空気中の二酸化炭素と反応して中和され、外側から徐々にアルカリ性を失って中性化していく。これが進行すると保護被膜が壊れてしまい、鉄筋が錆びて膨らむためコンクリート内部からヒビが入り、剥落に至る。
②「施工不良」当時、山陽新幹線の工事に携わっていた関係者は、コンクリートに規定以上の水を加えていた、と証言している。水が多すぎると必要な強度が保てないことになるが、工事の効率を上げるため、コンクリートを流し込むパイプの通りをよくしようと、いわば「シャブシャブ」のコンクリートにしていたという。関係者の証言でも、「特に夏場はコンクリートに水を入れた。本来、水を入れてはいけないことは知っていたが、現場では効率を上げるために加水が強要された。だから『こんな生コン打つといつか壊れるで』と囁かれた」と語る。二村誠二・大阪工業大学講師も「非常に柔らかいコンクリートで、一度使うと止められないで我々は麻薬的なコンクリート『シャブ・コン』なんて言ってるが・・・」と話しています。つまり、施工現場でのチェック機能の不在がもたらした遺物であったのです。生コンはスランプという柔らかさを示す基準にあわせて水とセメントの配合の比率が決まります。これによってコンクリートの強度を規格にあうように保ちます。この基準通りの生コンに現場で水を加えることを施工者に強要された「不法加水」です。
当時の国鉄の工事は、元請けの大手ゼネコンから、工事・資材費を安く買い叩かれていました。そこで「上(ゼネコン)がそうなら、ワシら(ポンプ屋)も少しでも儲けなければ損や、という気があった」「水を入れて軟らかくしたら、ミキサー車から早くコンクリートが送られてその分、時間と燃料が節約できた」と関係者は証言しています。このように「不法加水」が行われた背景には、工事の過程が細分化され、責任の所在があいまいであったこと。加えて、ゼネコンによる工事・資材費の買い叩きが横行していたことに原因があったのです。
③「海砂の塩害」コンクリートに使用する砂にも問題がありました。山陽新幹線の建設当時、河川から砂を採取することが厳しく規制されるようになり、瀬戸内海などの海砂が大量に使用されました。この際、塩分をしっかり取り除かないまま使用していたことが、コンクリートの劣化を著しく早める要因となりました。
さらに小林教授は、阪神淡路大震災で壊れた破片を分析し、当時「シャブコン」よりもっとひどい工事が行われていたと指摘しました。「コンクリートを輸送管に通すとき、乾いていると摩擦が大きく詰まってしまう。ドロドロのモルタルを最初に通して、廻りに擦り付けて流動をよくする。そのカスは本来捨てなければいけないのに、そのまま入れてしまった」ことを突き止めました。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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