和歌山広域協組事件第11回公判 2月3日 和歌山地裁

連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判2月3日、和歌山地裁で開かれました。当日の公判は、検察側の論告・求刑、弁護側の最終弁論、被告人の最終陳述でした。

「和歌山広域協組事件とは」

和歌山の生コン企業の経営者らが元暴力団らを使って、宣伝活動などの組合活動を妨害したことや、関生支部事務所を高級車で周回して、組合員らを脅すなどした行為に対して、2017年8月22日、関生支部の組合員らが、和歌山広域協組に赴き、抗議と事実検証のための交渉をしたことが、威力業務妨害、強要未遂とされた事件です。

「検察側の論告求刑」

検察側の論告要旨が読み上げられました。検察官は「第1.事実関係。第2.情状関係」などを読み上げ、「被告人いずれについても、各相応に刑事責任は重く、再犯防止の観点からも、厳罰に処する必要がある」と結論づけました。
続いて、「第3.求刑」について、武谷書記次長を「懲役1年6月」。O執行委員とM執行員をそれぞれ「懲役1年2月」に処するのが相当であると述べました。

「弁護側の最終弁論『関生支部・産別運動の正当性と成果』」

次に、弁護側の弁論要旨が読み上げられました。弁論要旨は113ページに及ぶことから、要約して読み上げました。
弁護団が役割分担した弁論要旨の読み上げは「第1.事実経過・背景事情」では、関生支部が近畿圏に展開する産別運動の正当性と成果、その運動に基づく、和歌山県の生コン業界の推移などを主張。続いて、「第2.構成要件該当性を欠くこと」では、弁護側が提出して採用された映像(関生支部側のビデオ映像)や証人尋問の証言などを具体的な証拠を示して、論理的に述べて「強要未遂罪にあたらないこと」「威力業務妨害にあたらないこと」を主張しました。

「憲法28条で保障されている『労働組合活動だから無罪』だ」

「第3.実質的違法性がないこと(違法性阻却)」では、「抗議行動や謝罪を求めたのは、団結権の侵害に対して、それを擁護する正当な活動。憲法28条で保障されている労働組合活動だから無罪だ」と最終弁論を締めくくりました。

「裁判所には、無罪判決を求める」

弁論要旨を述べた後、検察官から、最終弁論のについて確認したいことがあるとの発言があり、その検察官が確認を求めたことを弁護側が答えた後、裁判長から被告人とされている3人に最終陳述を求められました。
武谷書記次長は「今回の事件は、関西地区生コン支部が展開する、建設・生コン業界における産業別労働運動をつぶすために、元暴力団らを使った関生支部への攻撃、すなわち、労働組合つぶしに対する抗議行動であり、正当な組合活動だ。よって、威力業務妨害、強要未遂にはあたらない。裁判所には、良識な判断としての無罪判決を求める」。

「映像に映し出されていることが真実、支援の仲間と弁護団に感謝する」

O執行委員は「映像に映し出されていることが真実だ。第1回公判で述べたように私は無罪だ。検察はフェイクニュースさながらの切り取りで事件にするのではなく、産別運動を学び、刑事事件づくりをやめるべきだ。裁判所には、公正公平な判決を求める。最後に、長い間、一緒に闘ってきた傍聴支援の仲間と弁護団に感謝する」。

「団体行動権を行使しただけ、3人は無罪だ」

M執行委員は「憲法で保障されている団体行動権を行使しただけだ。この刑事事件とされているものは、1年間、和歌山県警は受理しなかったが、滋賀県警、大阪府警、京都府警などの刑事弾圧に便乗した和歌山県警の産別運動つぶし、関生支部つぶしだ。3人は無罪だ」と3人がそれぞれ最終陳述して公判は終了しました。

「検察官の論告求刑は、鋭さがなかった」

公判終了後、弁護団から本日の公判の総括が報告されました。
中島弁護士(武谷書記次長の弁護人)は、「検察官の論告求刑は、鋭さがなかった。全体的にも鋭さがない印象だった。弁護側の最終弁論は、細かく主張した濃い内容だった。弁論要旨は、100ページを超えるものだ。本来はすべて読み上げなければならないもので要約は違法だが、裁判官の訴訟指揮で違法とはならない。この事件は、無罪となってもおかしくない」と総括しました。
普門弁護士(O執行委員の弁護人)は「検察側の論告は、労使関係がないなどと表面的なものだった。弁護側は、昨日の夜中までかかって作成した弁論を、構成要件該当性を欠くことや違法性阻却などを、しっかり裁判官に主張した。弁護側から証拠提出した映像が採用されていることもあり、3人は無罪だ」と総括しました。

「傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」

被告人とされている当事者3人からは、公判の傍聴に駆けつけてくれた仲間に支援のお礼が述べられたあと「無罪を勝ち取る。引き続きの支援を願う」と決意が表明されて総括集会を終えました。
午前中いっぱいの公判に、傍聴支援に来てくださった仲間のみなさんに感謝します。寒さが厳しくなってきたさなか、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさん、本当にありがとうございました。
第12回公判は、3月10日(木)10:00から10:30まで、判決言い渡しです。
また、当日は、午前8時30分から和歌山地裁正面玄関前で、スタンディング集会が開催されます。闘う仲間の皆さんの結集を呼びかけます。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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関西生コン事件ニュース No.69 ココをクリック
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2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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